異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
124 / 188

第124話 戦力増強

しおりを挟む
『領地の結界に使う魔石はどう調達しようか…』



早速大きな問題に直面していた。

俺は精霊の森の魔石ほど大きい物を見たことがない。



『…いや、海龍の魔石があるじゃないか!!』



”アイテムボックス”から魔石を取り出してみると、一回り小さかったが結界を維持するのに十分そうだ。

あとはこの魔石に魔力を込め、”絶対不可侵結界”の魔法陣を組み込むだけだ。



「グレイ、居るか?」



「はっ!何でしょう?」



「今から城の中で作業をする。絶対に他の者を入れないでくれ。」



「はっ!承知いたしました!」



さて、後はMP回復ポーションを用意して魔力を注入し続ければいいのだが、一つ疑問が生じた。

それは、魔力が無色から黒色の死の魔力になっていることだ。



『死の魔力も普通に使って大丈夫なのか…?』



試しに”アイテムボックス”に入っていたオークの魔石に注入したところ、正常に機能した。

しかし死の魔力の密度が高いからか、魔石から途轍もなく禍々しい気配が放たれていた。



「ダグラス様、先程から少し力が上昇したのですが…」



「…?もしかしてこの魔石か?」



「っ!!その通りでございます!!」



どうやら死の魔力は敵を死に至らしめるだけでなく、魔族の力を向上させる作用があるようだ。

ということは、この魔石は領地に結界を展開するだけでなく配下の能力も向上する、一石二鳥の品物のようだ。



「グレイ、この魔石を50倍くらいにしても大丈夫か?」



「そうですね…私めやリリスなど、族の長は耐えられるでしょうが普通の魔族では理性を失いかねません。」



「そうか…」



この魔石を上手く使えれば、他の魔王候補者など造作もないほど最強の集団が作れる予感がしたのだが。

仕方ないが、配下の能力向上を諦めて死の魔力を”偽装”で普通の無色の魔力にすればいいだろう。



「ダグラス様、一つ提案がございます。」



「なんだ?」



「恐れ多いのですが、配下たちに”名付け”をしてはいかがでしょうか?」



「何か変わるのか?」



「はい。名付け親の能力に左右されますが、魔族としての格が上がります。」



「そうしたら理性を失わずに済むか?」



「はい。」



精霊も魔族も、名付けで存在がランクアップするのは同じらしい。

上手く事態が行き過ぎている気がしなくもないが、結果得られるものは大きいので気にしないでおこう。



「グレイ、もう一度皆を集合させてくれ。」



「はっ!かしこまりました。」



名前は精霊のときと同じように、A1とかで良いだろうか。

しかし、今後も関わりがありそうなのでちゃんとした名前を付けた方がいいだろう。



『…どうしよう。ネーミングセンスが…』



「ダグラス様、整列完了いたしました。」



「あ、ああ。今行く。」



結局何も思いつかずに時間が来てしまった。



「また集まらせてすまない。先程グレイと話し合い、皆に名付けをすることにした。」



「おおおおおおおおお!!!!!!!」



「ついに名前がもらえるんだー!!」



配下たちは皆涙を流して喜んだ。

同時に、俺はこれから適当な名前を付けることに罪悪感を感じた。



『ま、まぁこの世界の人はアルファベットとか知らないからな。名前だと言われたらそう認識するだろう。』



実際に精霊の時はそれで特に何もなく終わったので今回もきっと大丈夫だろう。



「では初めに各種族の長に名付けをする。まずはグレイ、前に。」



「はっ!」



先程グレイに聞いたのだが、既に名前を持っている者でも名付け親が変わったら能力の向上率も変わるらしい。

その際、同じ名前を付けようが新しい名前を付けようが変わらないようだ。



「お前はそのままグレイ=ブラッドと名乗れ。」



「はっ!」



名付けた瞬間、俺の魔力がごっそり奪われ、同時にグレイのステータスが爆上がりした。



「おぉ…名前をいただくだけであんなに強くなるのか…」



「これを私たち配下全員にしてくださるなんて…」



それからリリス→リリス、ルカ→ルカと命名し、数時間後配下全員の名付けを終えた。

結果、全体の戦力はおそらく3倍以上になった。



『これは…ひょっとして既に最強の軍勢なのでは?』



グレイとリリス、ルカはリヴェリアや師匠のステータスを大幅に超えた。

そして、各種族の皆はAランク冒険者とSランク冒険者の中間くらいのステータスに上昇した。



『人数が少ないのが玉に瑕だな…穏健派の魔族たちを吸収してもっと大きな集団にするか。』



とりあえず、戦力確保より結界の展開をしよう。

俺は玉座に戻り、名付けで減ったMPをポーションで回復して魔石に魔力を込めた。



『ふぅ…やっと魔力が満杯になったか…』



城を出て”鑑定”すると、異様な光景が広がっていた。

各種族の皆がリヴェリアたちと同等のステータス値を誇り、長たちは俺と同じくらい強くなっていた。



『…まじか。これもし謀反が起きたら終わりだな…』



自分自身に変化がないか”鑑定”してみると、なんとステータスが3倍ほどになっていた。



「…ん!?」



どうやら”魔王候補者”の効果で、配下のステータスが自分のステータスに加算されるらしい。



『…チートすぎないか?』
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...