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第33話 リフォーム

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翌朝



「メーア、今までお世話になった。ありがとう。」



「ううん。別の街に行くの?」



「いや、家を買ったからこれからそこに住むんだ!」



「そうなんだ!体に気を付けてね!!」



「ありがとう!メーアもな。」



「うん!じゃあまたね!!」



「ああ。また!」



俺は新しいマイホームに帰った。



長年空いていたことで埃っぽかったので、全体に”クリーン”をかけた。

”クリーン”は行使する対象の汚れの程度や体積で消費MPが増えるため、屋敷全体となると32500ものMPがなくなった。



『結構消費したなぁ…そんなに汚かったのか。』



ドアを開けて家に入ると、それはまるで新築のようにピカピカしていた。



『”クリーン”の効果すごいな!?』



次に生活必需品のチェックをした。

一通りの家具はそろっているが、俺の部屋はベッドだけなかった。



『なんでベッドだけないんだよ…しかも俺の部屋だけ…』



最後に部屋の割り振りをした。

エンチャントをするには”付与魔法S”だけでなく”鍛冶S”も必要らしく、敷地内屋敷の外にあった小屋を鍛冶工房、天魔の剣があった地下室を錬金工房にした。



その後、俺は良いベッドが売っているところを聞くべくメリル魔道具に向かった。



「いらっしゃい。あ、ダグラス!家はどうだった?」



「ああ、いいところを安く買えたよ!」



「どこどこ?」



「あの高台になってるところに建ってる屋敷だよ!」



「え、でもあそこは呪われてるんじゃなかった?」



「もう大丈夫!呪いは完全に消滅させたからな。」



「はぁ…すごいねダグラス…」



「それで、屋敷にベッドがなかったからこれから家具を買いに行くんだけど、どこかおすすめはない?」



「あ、それならおすすめがあるよ!商会じゃなくて個人経営なんだけど、”キャンベル寝具店”ってとこ!

場所は商会の近くで羊の看板だよ!!」



「ありがとう!!それじゃあ早速行ってくるよ。また!」



「ええ、またね!」



俺は商会の近くに向かった。



「羊の看板は…ってえ!?」



見つけたが、そこはこじんまりとした建物だった。

しかし、ショーケースに飾られているベッドを”鑑定”してみると、それはSランクだった。



『…っ!!Sランクのベッドはすごそうだな…』



期待を胸に俺は店内に入った。



「いらっしゃいませー」



中はいろいろな種類のベッドで満ちていた。



「どのようなベッドをお探しで?」



「よく眠れるものがいいですね。」



「分かりました。そうしますと…」



俺は店員の説明とおすすめを聞いた。

おすすめされたものは”鑑定”するとDやCランクと微妙なランクの割に値段が高いものばかりだった。



「すみません。失礼を承知で言いますが、おすすめされた品すべて店頭に飾られていたものより数ランク下の物とお見受けしますが…」



「…見る目がありますね。すみません、試していたんです。奥にどうぞ。」



ヴァーリ領と違って王都はアルガンの鍛冶屋といい客を試している。

商魂が強いのだろうか。



「着きました。ところで、お客様はどうしてここに来られたんですか?」



「”メリル魔道具店”のオーナーのメリルさんと友人なのですが、彼女におすすめされたんです。」



「えっ!?メリル様に…!!」



店員はとても嬉しそうにすると同時に、緊張していた。



「お客様!!この店一番の品があるのでついてきてください!!!」



ついていくと、そこには3つのSランクベッドがあった。



「メリル様のご友人ということで、半額にさせていただきます!!!

こちらは王室御用達のベッドと同じSランクです!」



「ありがとうございます。」



『俺は別にB、Aランク程度のベッドでよかったんだがな…』



3つを”鑑定”してみると、1つ気になるものがあった。

それは”安眠”と”ステータス回復速度上昇”のエンチャントが付いたベッドだ。

おそらく後者のエンチャントの効果はHP MP TPの自然回復速度を上げるものだろう。



ポーションを飲まなくて済むので助かるが、無駄に大きいのでやめた。

ちなみにキングベッド4つ分くらいある。



「すみません、さっきの部屋の商品も見ていいですか?」



「え、ええ。もちろん。」



すべて”鑑定”してみると、Aランクのベッドに”ステータス回復速度上昇”が付いたベッドはやはりなかったが、”安眠”のエンチャントが付いたものはあった。



結果、俺は”安眠”のエンチャントが付いたAランクのベッドを買うことにした。

エンチャントは装備と同じで自分で付与しよう。



「これにします。」



「えっ…それでいいんですか…!?」



「はい。俺にはこれで十分です。」



「分かりました!では金貨50枚のところメリル様の紹介ということで半額にさせていただき、金貨25枚です。」



ぴったり支払った。



「どのようにしてお客様の家まで運びますか?」



「ああ、”アイテムボックス”に収納するから大丈夫。」



俺は腰に付けた収納袋にしまうふりをして”アイテムボックス”にしまった。



「…っ!!その魔法袋一体どのくらい入るんですか…!?」



「試したことはないからわからないが…いっぱい入ります。」



「はぁ…そうですか。最後にお客様のお名前を聞かせてもらえますか?」



「ダグラスです。」



「ダグラス様、またのご来店お待ちしております。」



良い買い物ができた。

家に着き、ベッドを配置してリフォームを終えた。



『メリルには紹介とか割引とか色々お世話になってるから今度恩返ししよう…』



しみじみとそう思った。
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