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第116話 フェンリル
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翌朝
「今日はパーティメンバーの方を連れてきてくれるんですよね?」
「ああ。ちょうど今から連れてくるところだ。」
「分かりました。ではフィンを呼んでおきますね。」
「ありがとう。」
俺は屋敷に”転移”し、リヴェリアの部屋へ向かった。
「リヴェリア、準備はできてるか?」
「ええ!今行くわ!!」
そう言って部屋から出てくると、今日は耳を隠していなかった。
「今日は隠さなくていいのか?」
「ええ。精霊様相手に隠し事するのは良くないもの。」
「確かに。」
エルフ族は精霊信仰をしているので、人間だと神様に隠し事をしているようなものだ。
「じゃあ転移お願いね。」
「分かった。」
精霊の森内部に”転移”しようとしたが、何かに阻まれてしまった。
こんな事態は初めてだ。
「っ!?なんだ!?」
「ど、どうしたの!?」
「精霊の森に直接”転移”できなかったんだ。」
俺が修復した結界の効果だろうか。
それとも、精霊の森の出入りを認められていないリヴェリアと一緒だからだったのだろうか。
「…まあいい。近くの森でいいか?」
「え、ええ。」
「じゃあいくぞ。」
俺はフェンリルに足止めされた、森の中腹辺りに”転移”した。
すると、転移した目の前でドライアド…エイミ(A3)が待っていた。
「エイミか。どうしてここに?」
「精霊の森に内部は結界の影響で来れないと思いまして…外で待っておりました。」
「なっ…?ダグラス、どうしてドライアド様を名前で呼んでいるの!?しかも随分親しげじゃない!!」
「あ、ああ。昨日名前を付けたんだ。森の人達みんなに。」
「みんなに!?」
リヴェリアのこんなに驚いた顔は、初めて”転移”したとき以来だ。
やはり驚いていても美人は美人のままだ。
「あの…どうかしましたか?」
「い、いえ!!ドライアド様、失礼いたしました!!!」
リヴェリアがすごい勢いで膝をつき、ひれ伏している。
「わたしはエイミというダグラス様に付けていただいた名前があります。名前で呼んでください!!」
「それは恐れ多いです…!!」
「名前で呼んでください!!」
「…分かりました。エイミ様。」
リヴェリアはいつも物分かりが良く、何かを否定するのは初めて見た。
それほど信仰心が深いのだろう。
「それで、リヴェリアさんはフィンに用があるんですよね?」
「はい。」
「今呼んできますね。」
そう言って後ろの木の中に溶けていき、姿を消した。
数分後、大きな影が前から迫ってきた。
「っ!ダグラス!!警戒を!!」
「心配しなくて大丈夫だ。」
「どうしてよ…?」
「見たら分かる。」
すると、目の前の巨大樹の後ろからエイミとフェンリルが来た。
「連れてきましたよーー!!リヴェリアさん、どうしてそんなに警戒していらっしゃるんですか?」
「い、いえ!失礼しました!!」
リヴェリアが顔を赤くしてこちらを睨んでくる。
「我に用があるハイエルフというのはお前か?」
「ええ。リヴェリア=ウォーカーよ。」
「ウォーカー?…っ!?あいつの子孫か!?」
フェンリルの顔に驚きの色が見えた。
「あいつって…?」
「マルティナ=ウォーカーだ!」
「…!?それは私の叔母様よ!」
「そうか…道理でよく似ているわけだ。」
「どうして叔母様を知っているのかしら?」
「以前マルティナに仕えていたのだ。」
「ええ!?じゃあフェンリルを従えてたって話は本当だったのね!!!」
俺が連れてきたのだが、完全に蚊帳の外になってしまった。
「まあまあ二人とも。ダグラス様が退屈なさっているし続きは精霊の森の中にしましょう。」
「む…すまなかった。」
「ごめんねダグラス。つい盛り上がっちゃって!!」
「いや、気にしなくていい。それより早く入ろう。」
エイミは長の権限があるからか、妖精の道を作らなくても自由に出入りできるようだ。
「話が逸れてしまったが、それで我に用とはいったいなんだ?」
「悪属性の神話生物を一緒に倒してくれないかしら…?」
「…本気で言っているのか?」
フェンリルが突然、威圧感を出し始めた。
「本気よ!!」
「…分かった。マルティナの奴、まさか孫の口から同じ言葉が出てるなんて思わなかっただろうに。」
「…っ!?叔母様も神話生物を!?」
まさか家族揃って神話生物に厄介なことをされたのだろうか。
「ああ。マルティナはその際に怪我をしてハイエルフの森に帰ったのだ。」
「そうだったのね…叔母様は強いと思っていたけどまさかそんな過去があったなんて…」
「フィン、それで答えはどうするの?」
「我でよければ手を貸そう。ダグラス殿のおかげで警備の必要もなくなったことだ。」
「ありがとう!!」
「フィン、これからよろしく。」
「ダグラス殿、リヴェリア、こちらこそよろしく頼む。」
リヴェリアの願った通りに事が運んでくれたようでよかった。
「今日はパーティメンバーの方を連れてきてくれるんですよね?」
「ああ。ちょうど今から連れてくるところだ。」
「分かりました。ではフィンを呼んでおきますね。」
「ありがとう。」
俺は屋敷に”転移”し、リヴェリアの部屋へ向かった。
「リヴェリア、準備はできてるか?」
「ええ!今行くわ!!」
そう言って部屋から出てくると、今日は耳を隠していなかった。
「今日は隠さなくていいのか?」
「ええ。精霊様相手に隠し事するのは良くないもの。」
「確かに。」
エルフ族は精霊信仰をしているので、人間だと神様に隠し事をしているようなものだ。
「じゃあ転移お願いね。」
「分かった。」
精霊の森内部に”転移”しようとしたが、何かに阻まれてしまった。
こんな事態は初めてだ。
「っ!?なんだ!?」
「ど、どうしたの!?」
「精霊の森に直接”転移”できなかったんだ。」
俺が修復した結界の効果だろうか。
それとも、精霊の森の出入りを認められていないリヴェリアと一緒だからだったのだろうか。
「…まあいい。近くの森でいいか?」
「え、ええ。」
「じゃあいくぞ。」
俺はフェンリルに足止めされた、森の中腹辺りに”転移”した。
すると、転移した目の前でドライアド…エイミ(A3)が待っていた。
「エイミか。どうしてここに?」
「精霊の森に内部は結界の影響で来れないと思いまして…外で待っておりました。」
「なっ…?ダグラス、どうしてドライアド様を名前で呼んでいるの!?しかも随分親しげじゃない!!」
「あ、ああ。昨日名前を付けたんだ。森の人達みんなに。」
「みんなに!?」
リヴェリアのこんなに驚いた顔は、初めて”転移”したとき以来だ。
やはり驚いていても美人は美人のままだ。
「あの…どうかしましたか?」
「い、いえ!!ドライアド様、失礼いたしました!!!」
リヴェリアがすごい勢いで膝をつき、ひれ伏している。
「わたしはエイミというダグラス様に付けていただいた名前があります。名前で呼んでください!!」
「それは恐れ多いです…!!」
「名前で呼んでください!!」
「…分かりました。エイミ様。」
リヴェリアはいつも物分かりが良く、何かを否定するのは初めて見た。
それほど信仰心が深いのだろう。
「それで、リヴェリアさんはフィンに用があるんですよね?」
「はい。」
「今呼んできますね。」
そう言って後ろの木の中に溶けていき、姿を消した。
数分後、大きな影が前から迫ってきた。
「っ!ダグラス!!警戒を!!」
「心配しなくて大丈夫だ。」
「どうしてよ…?」
「見たら分かる。」
すると、目の前の巨大樹の後ろからエイミとフェンリルが来た。
「連れてきましたよーー!!リヴェリアさん、どうしてそんなに警戒していらっしゃるんですか?」
「い、いえ!失礼しました!!」
リヴェリアが顔を赤くしてこちらを睨んでくる。
「我に用があるハイエルフというのはお前か?」
「ええ。リヴェリア=ウォーカーよ。」
「ウォーカー?…っ!?あいつの子孫か!?」
フェンリルの顔に驚きの色が見えた。
「あいつって…?」
「マルティナ=ウォーカーだ!」
「…!?それは私の叔母様よ!」
「そうか…道理でよく似ているわけだ。」
「どうして叔母様を知っているのかしら?」
「以前マルティナに仕えていたのだ。」
「ええ!?じゃあフェンリルを従えてたって話は本当だったのね!!!」
俺が連れてきたのだが、完全に蚊帳の外になってしまった。
「まあまあ二人とも。ダグラス様が退屈なさっているし続きは精霊の森の中にしましょう。」
「む…すまなかった。」
「ごめんねダグラス。つい盛り上がっちゃって!!」
「いや、気にしなくていい。それより早く入ろう。」
エイミは長の権限があるからか、妖精の道を作らなくても自由に出入りできるようだ。
「話が逸れてしまったが、それで我に用とはいったいなんだ?」
「悪属性の神話生物を一緒に倒してくれないかしら…?」
「…本気で言っているのか?」
フェンリルが突然、威圧感を出し始めた。
「本気よ!!」
「…分かった。マルティナの奴、まさか孫の口から同じ言葉が出てるなんて思わなかっただろうに。」
「…っ!?叔母様も神話生物を!?」
まさか家族揃って神話生物に厄介なことをされたのだろうか。
「ああ。マルティナはその際に怪我をしてハイエルフの森に帰ったのだ。」
「そうだったのね…叔母様は強いと思っていたけどまさかそんな過去があったなんて…」
「フィン、それで答えはどうするの?」
「我でよければ手を貸そう。ダグラス殿のおかげで警備の必要もなくなったことだ。」
「ありがとう!!」
「フィン、これからよろしく。」
「ダグラス殿、リヴェリア、こちらこそよろしく頼む。」
リヴェリアの願った通りに事が運んでくれたようでよかった。
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