異世界転生録if~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
178 / 186

第178話 蟲のダンジョン 上層②

しおりを挟む
22層に着くと、そこは樹海フィールドだった。

そして目の前の巨大樹にカブトムシの魔物が、遠くの巨大樹にはクワガタの魔物が生息していた。



『この層は昆虫系の魔物か…』



遠くから見て察するに、カブトムシ魔物の体長は7mほどで攻撃手段はその尖った角だろう。

クワガタ魔物も体長は同じくらいで、攻撃手段はその鋭いハサミだろう。

また、両者とも立派な羽根をしまっているので空を飛ぶこともできるだろう。



『近づいたら角かハサミで攻撃され、距離を取ったら飛んで懐に入られて攻撃され…なかなか厄介だな。』



数匹を同時に相手するのは辛そうなので、一匹ずつ戦って確実に仕留めて進むのが良いだろう。

さらに、一撃で仕留められたら上出来だ。



『とりあえず周辺を警戒して進もう。』



“レーダー“を行使すると、巨大樹だけでなく地中にも反応があった。



『…っ!!罠か!?…いや、魔物の幼虫か。』



突然成長して足元から襲われても嫌なので、地中の幼虫も倒しながら進もう。

…とは言っても地中の座標ぴったりに攻撃するのは“空間魔法“を行使してもなかなか難しい。



『…環境に悪いけどここはダンジョン内だからな。気にしなくて良いか。』



俺は大量のMPを消費して毒魔法“デッドリーポイズンエリア“を地面に向けて行使し、22層全体の土を毒で汚染した。

これで地中の幼虫達は自身に毒を取り込み、勝手に死んでいくだろう。



『さて…地上の魔物は…っ!?』



俺が幼虫に攻撃したことに気付いたようで、周辺の魔物が皆、一直線にこちらに向かってくる。

それも、子を攻撃されて激怒しているようだ。



反撃しようにも相手の数が多すぎる。

目視だけでもカブトムシとクワガタ両方の魔物の混合集団が十匹以上、こちらに向かってきている。



『まじか…』



こうなったら結界魔法で防御しながら大規模魔法で一掃したい。

自身の周りに結界魔法“絶対不可侵結界“を展開した直後、集団の先頭にいたカブトムシの魔物が結界を角で刺突してきた。



まるで硬い金属の武器同士で鍔迫り合いした時の金属音のような、はたまた木の棍棒で人を殴った時の鈍い音のような、そんな音が響いた。

しかし、カブトムシ魔物の角が折れたことでその音は鳴り止んだ。



『あぶね…!ギリギリ結界が間に合ってよかった…』



しかし安堵している暇はなく、後ろにいた集団が一斉攻撃をしてきた。

大量の魔物の体で結界全体が覆われ、結界の外が何も見えなくなった。



『うわ…これは閲覧注意だな…気持ち悪すぎる。』



俺は水属性魔法限界突破Lv.1“止水球“を結界外に“転移“し、自身に向けて放った。

魔物の集団は子をやられて理性を失っているのか、元々知性がないのか、一目散に結界を攻撃し続けて“止水球“の存在に気付いていない。



気付かれないように徐々に距離を詰めていき、そして魔物全体を巻き込める位置に来た。



『…今だ!!』



俺は“魔力念操作“で“止水球“を操作し、魔物の集団にぶつけた。

次の瞬間、魔物達は次々と水圧で粉砕していき、粉々になった身体の雨が降ってきた。



『自分でやったとはいえ…オーバーキルだったな…』



追加で魔物が来ていないか調べるため“レーダー“を行使すると、なんと今の攻防で22層にいた全ての魔物を仕留めていたようだ。



『多いなとは思ってたけど…まじか。』



危険が無くなったのでそこら中に散らばった欠片を“鑑定“すると、魔物スキルはそれぞれ“刺突強化“と“斬撃強化“で、使えそうなので“略奪“した。

ドロップは予想通りそれぞれ角とハサミで、武器や防具の作成に使えそうなので“アイテムボックス“に収納した。



その後、一息ついてから樹海フィールドを探索した。



『…おっ、これは使えるんじゃないか?』



中央にそびえ立つ一際大きい大樹の地上15m地点あたりで、樹液が溢れていたのだ。

風属性魔法で近づき“鑑定“すると、どうやら超激レア素材だったようだ。



『おぉ…!加工して嗜好品に…または昆虫系魔物のテイム食材に使えるのか!』



味が気になるので、少しだけ食事用に取って残りは“アイテムボックス“に収納した。



『さて…加工は“調理“スキルで出来るみたいだしやってみるか。』



早速煮詰めたり焼いたりと作業を始めて数十分。

甘い香りを放つ黄色いドロっとした液体になった。



『じゃあ一口…っ!?!?蜂蜜のような砂糖のような…ただ美味しいということは分かる!!』



前世では食事に興味がなかったし、貴族時代の生活でも特に嗜好品を食べたりはしなかったので、舌が肥えていないのだ。



『美味しいが…そこまで中毒性はないな。…今度誰かに振る舞ってみようかな。』



それからフィールドを隅から隅まで探索して宝箱を四つ見つけたが、〇〇のリングどころかボロボロの鉄の装備ばかりでどれもハズレだった。

おそらく超激レア素材の樹液がある分、宝箱の中身の質が落ちているのだろう。



『…それだったら樹液がなくて超激レア装備品を得られた方が嬉しかったな。』



もし超激レア装備品だったら、果たしてどれほど高ランクの装備が出ただろうか…?

そんなことを考えると、どこかムカついてきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...