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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2 ⑥
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観察するようだった視線が、溜息ひとつで外れていった。こちらが口を割る気はないと思い切ったのだろう。「なら、まぁいいけど」と苦笑気味に頷いてから、教室内に視線を走らせる。
「でも、まぁ、あんまりいつもの調子でふらふらすんなよ」
「さっきも聞いた」
生徒会室でも聞いたばかりだ。恣意的に敵を増やすなと言いたいのだろうが、この場合ある程度はしかたないはずだ。
「だからいただろ、ここに」
投げやりに応じると、うんざりとした指摘が返ってきた。
「あいつらが帰ってくるの待ち構えてただけじゃねぇの?」
「……」
「向原が戻ってこないか気にしてた理由、それか」
それは、まぁ、大ごとにしたかったからな。にこ、とほほえんでみせると、いっそう嫌な顔をされてしまった。
「おまえ……」
「しなくてもいい遠慮で、言いたいことが言えなくなったらかわいそうだろ?」
篠原の眉間の皺が深くなったが、嘘は言っていない。すべてしなくてもいい遠慮で、求めてもいない忖度だと思っている。けれど、理由はそれだけではなかった。
――まぁ、さすがにこれ以上苛立たせたくはないしな。
余計な手出しをされたくないが、あまり我慢させるのも忍びない。そう思っているからこそ、居合わされたくなかった。
それで、そんなふうに思うのは、自分が感じている負い目のせいだ。
――べつに、茅野に言われたからってわけじゃない、けど。
茅野が言っていたことは、間違ってはいないと思う。いかにもあの男が好みそうな正論だとも思った。感情として納得はできなかった、というだけで。
「なぁ、おまえ、嫌味ったらしいこと言ってたけど」
「ん?」
「喧嘩やめたんだよ……な?」
「あぁ、うん」
「なんだ、だよな。よかった……」
「でも、怒ってると思うよ」
さらりと告げると、篠原がぴしっと固まる。ほっとした顔が数秒としかもたなかったのは悪いことをした気もするが、これが事実だった。
いつからなのかは知らないが、少なくとも、今は間違いなく怒っている。
――本当、タイミング悪いんだよな。
なぜかは知らないけれど、昔から。昨日にしても、そうだ。あんな場所で出くわさなければこんなことにはならなかったし、そもそも――。
五年前の、あの夜。気づかれなければ、あんな意味のない約束をしなければ、こんなことにはなっていなかった。
だから、負い目に感じているのかもしれない。
「でも、その、話したは話したんだよな? それとも、あれか。またおまえが一方的に言っただけか。やめろって言っただろ」
「言ってたな」
一月ほど前に忠告されたことは、ちゃんと覚えている。そうやって放っておいたら、いつか爆発するぞと釘を刺されたことも。
「でも、まぁ、あんまりいつもの調子でふらふらすんなよ」
「さっきも聞いた」
生徒会室でも聞いたばかりだ。恣意的に敵を増やすなと言いたいのだろうが、この場合ある程度はしかたないはずだ。
「だからいただろ、ここに」
投げやりに応じると、うんざりとした指摘が返ってきた。
「あいつらが帰ってくるの待ち構えてただけじゃねぇの?」
「……」
「向原が戻ってこないか気にしてた理由、それか」
それは、まぁ、大ごとにしたかったからな。にこ、とほほえんでみせると、いっそう嫌な顔をされてしまった。
「おまえ……」
「しなくてもいい遠慮で、言いたいことが言えなくなったらかわいそうだろ?」
篠原の眉間の皺が深くなったが、嘘は言っていない。すべてしなくてもいい遠慮で、求めてもいない忖度だと思っている。けれど、理由はそれだけではなかった。
――まぁ、さすがにこれ以上苛立たせたくはないしな。
余計な手出しをされたくないが、あまり我慢させるのも忍びない。そう思っているからこそ、居合わされたくなかった。
それで、そんなふうに思うのは、自分が感じている負い目のせいだ。
――べつに、茅野に言われたからってわけじゃない、けど。
茅野が言っていたことは、間違ってはいないと思う。いかにもあの男が好みそうな正論だとも思った。感情として納得はできなかった、というだけで。
「なぁ、おまえ、嫌味ったらしいこと言ってたけど」
「ん?」
「喧嘩やめたんだよ……な?」
「あぁ、うん」
「なんだ、だよな。よかった……」
「でも、怒ってると思うよ」
さらりと告げると、篠原がぴしっと固まる。ほっとした顔が数秒としかもたなかったのは悪いことをした気もするが、これが事実だった。
いつからなのかは知らないが、少なくとも、今は間違いなく怒っている。
――本当、タイミング悪いんだよな。
なぜかは知らないけれど、昔から。昨日にしても、そうだ。あんな場所で出くわさなければこんなことにはならなかったし、そもそも――。
五年前の、あの夜。気づかれなければ、あんな意味のない約束をしなければ、こんなことにはなっていなかった。
だから、負い目に感じているのかもしれない。
「でも、その、話したは話したんだよな? それとも、あれか。またおまえが一方的に言っただけか。やめろって言っただろ」
「言ってたな」
一月ほど前に忠告されたことは、ちゃんと覚えている。そうやって放っておいたら、いつか爆発するぞと釘を刺されたことも。
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