7 / 85
私の運命
ストーリー7
しおりを挟む
「何で私だけがこんな目に……」
さっき使い果たしたかと思った涙がまた溢れ出す。大好きな彼氏には振られ、住む所も失った。今日はなんて日なんだ。
それにしても明日からどうしよう。貯金もないから引っ越しも生活も出来ない。私の頭の中では不安だけがグルグル回る。
「取り敢えずここで仕事をするかしないかだが、どうする?」
社長はテレビを消して私に聞いてきた。
ハウスキーパー……家主に代わり家の事全般を行う人。果たして私に務まるのだろうか。いや、今の私には選んでる余裕はない。
「やります。詳しく話を聞かせて下さい」
私は涙を腕で拭い、ゆっくりと立ち上がる。そして社長の前に立った。
「別に特別な事は何もない。俺がいない間に家の事をやってもらうだけだ。やる事やったら後は自由にして構わない」
「それだけ?」
もっと小難しくて大変かと思っていたが、どうやら普通のハウスキーパーの仕事みたいだ。
「但し、条件がある」
やっぱりか。
心の中でそう思ったが、話の続きを聞いた。
「まず、俺の部屋は何もしなくていい。絶対に無断で入るな」
「はい」
「それからこの家に誰が訪ねてきても応対しなくていい。無視しろ」
「分かりました」
「最後に、ココで仕事をする事は誰にも言うな。知ってるのは俺と高瀬とお前だけだ。いいな」
社長に念を押され、私は力いっぱい頷く。それを見た社長はソファから立ち上がり、奥の部屋へ入っていった。
「社長の事よろしくお願いしますね」
「はい、頑張ります」
社長がいなくなると高瀬さんがこっそりと言ってきたので、私も小さな声で返事した。今日起きた不幸な出来事を忘れるくらいがむしゃらに働こう……そう思った。
高瀬さんと話をしていると、社長が部屋から戻ってきた。そして一枚の紙を渡された。また借用書かな?と私は恐る恐る紙を受けとる。
「雇用契約書だ。問題なければサインしろ」
社長はそう言ってテーブルの上にボールペンを置く。ちゃんと契約書を準備してくれだんだ。私は渡された契約書に目を通す。
「ん?」
目をこすりもう一度契約書をじぃっと見直す。
「あ、あの……社長……これ」
「何だ、給料に不満でもあるのか?」
「そうじゃなくて……ココ」
給料には何の問題もない。むしろこんなに頂いて良いのかってくらいだ。私は契約書に書かれている気になる一文に指を指す。
『住み込み』
何度見直しても住み込みで勤務すると書かれている。でもまさか……。
「住み込みで働くのが条件だ。嫌なら仕事を断ってもいいぞ?」
「いえ、住み込みで働かせて下さい。お願いします」
今日何度目だろう。私はまた涙がでそうになる。でもこれは歓喜の涙。
恐らく行くあてのない私を社長は拾ってくれた。社長のさりげない優しさが身にしみる。私は少し手を震わせながら契約書にサインをした。
「これで契約成立だな」
社長はサインした契約書を手に取り、軽く笑みを浮かべる。
「ついて来い」
「はい」
社長はさっきから出入りしている部屋の一つ部屋の前で止まる。そしてドアを開けた。
「お前の部屋だ。ここを掃除して使うといい」
私の部屋って、今まで住んでいたアパートより断然広いし綺麗だ。
「社長、そろそろ社に戻らないと」
「分かった。おい、携帯を貸せ」
私のスマートフォンを社長に渡す。すると何やらスマートフォンを操作し始めた。何してるんだろう?操作が終わると私にスマートフォンを返してきた。
「家に帰ってまで社長と言われたくないからな」
『進藤 敬輔』
スマートフォンを見ると、社長の名前と携帯番号が登録されていた。名前で呼べって事なのかな?
「掃除用具はそこの部屋にあるから俺が帰るまでに掃除しとけよ」
社長……いや、進藤さんは会社に戻るため高瀬さんと玄関へ向かう。私もお見送りのため2人の後をついていく。
靴を履き終えた2人。すると、高瀬さんがクルッと振り返り私の方を見た。
「私も携帯をお借りして良いですか?」
私はスマートフォンを渡す。そのスマートフォンを受け取ると高瀬さんは何やら操作をし始めた。
「ありがとうございました。私の番号も登録してますので、何かあればいつでも連絡して下さいね」
高瀬さんは笑顔でスマートフォンを返してきた。
「はい、ありがとうございます」
私も高瀬さんにつられて笑顔を返す。そして進藤さんと高瀬さんは会社へ戻った。
さっき使い果たしたかと思った涙がまた溢れ出す。大好きな彼氏には振られ、住む所も失った。今日はなんて日なんだ。
それにしても明日からどうしよう。貯金もないから引っ越しも生活も出来ない。私の頭の中では不安だけがグルグル回る。
「取り敢えずここで仕事をするかしないかだが、どうする?」
社長はテレビを消して私に聞いてきた。
ハウスキーパー……家主に代わり家の事全般を行う人。果たして私に務まるのだろうか。いや、今の私には選んでる余裕はない。
「やります。詳しく話を聞かせて下さい」
私は涙を腕で拭い、ゆっくりと立ち上がる。そして社長の前に立った。
「別に特別な事は何もない。俺がいない間に家の事をやってもらうだけだ。やる事やったら後は自由にして構わない」
「それだけ?」
もっと小難しくて大変かと思っていたが、どうやら普通のハウスキーパーの仕事みたいだ。
「但し、条件がある」
やっぱりか。
心の中でそう思ったが、話の続きを聞いた。
「まず、俺の部屋は何もしなくていい。絶対に無断で入るな」
「はい」
「それからこの家に誰が訪ねてきても応対しなくていい。無視しろ」
「分かりました」
「最後に、ココで仕事をする事は誰にも言うな。知ってるのは俺と高瀬とお前だけだ。いいな」
社長に念を押され、私は力いっぱい頷く。それを見た社長はソファから立ち上がり、奥の部屋へ入っていった。
「社長の事よろしくお願いしますね」
「はい、頑張ります」
社長がいなくなると高瀬さんがこっそりと言ってきたので、私も小さな声で返事した。今日起きた不幸な出来事を忘れるくらいがむしゃらに働こう……そう思った。
高瀬さんと話をしていると、社長が部屋から戻ってきた。そして一枚の紙を渡された。また借用書かな?と私は恐る恐る紙を受けとる。
「雇用契約書だ。問題なければサインしろ」
社長はそう言ってテーブルの上にボールペンを置く。ちゃんと契約書を準備してくれだんだ。私は渡された契約書に目を通す。
「ん?」
目をこすりもう一度契約書をじぃっと見直す。
「あ、あの……社長……これ」
「何だ、給料に不満でもあるのか?」
「そうじゃなくて……ココ」
給料には何の問題もない。むしろこんなに頂いて良いのかってくらいだ。私は契約書に書かれている気になる一文に指を指す。
『住み込み』
何度見直しても住み込みで勤務すると書かれている。でもまさか……。
「住み込みで働くのが条件だ。嫌なら仕事を断ってもいいぞ?」
「いえ、住み込みで働かせて下さい。お願いします」
今日何度目だろう。私はまた涙がでそうになる。でもこれは歓喜の涙。
恐らく行くあてのない私を社長は拾ってくれた。社長のさりげない優しさが身にしみる。私は少し手を震わせながら契約書にサインをした。
「これで契約成立だな」
社長はサインした契約書を手に取り、軽く笑みを浮かべる。
「ついて来い」
「はい」
社長はさっきから出入りしている部屋の一つ部屋の前で止まる。そしてドアを開けた。
「お前の部屋だ。ここを掃除して使うといい」
私の部屋って、今まで住んでいたアパートより断然広いし綺麗だ。
「社長、そろそろ社に戻らないと」
「分かった。おい、携帯を貸せ」
私のスマートフォンを社長に渡す。すると何やらスマートフォンを操作し始めた。何してるんだろう?操作が終わると私にスマートフォンを返してきた。
「家に帰ってまで社長と言われたくないからな」
『進藤 敬輔』
スマートフォンを見ると、社長の名前と携帯番号が登録されていた。名前で呼べって事なのかな?
「掃除用具はそこの部屋にあるから俺が帰るまでに掃除しとけよ」
社長……いや、進藤さんは会社に戻るため高瀬さんと玄関へ向かう。私もお見送りのため2人の後をついていく。
靴を履き終えた2人。すると、高瀬さんがクルッと振り返り私の方を見た。
「私も携帯をお借りして良いですか?」
私はスマートフォンを渡す。そのスマートフォンを受け取ると高瀬さんは何やら操作をし始めた。
「ありがとうございました。私の番号も登録してますので、何かあればいつでも連絡して下さいね」
高瀬さんは笑顔でスマートフォンを返してきた。
「はい、ありがとうございます」
私も高瀬さんにつられて笑顔を返す。そして進藤さんと高瀬さんは会社へ戻った。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。
和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。
政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる