4 / 64
悪虐氷姫-1
しおりを挟む私の名前はシルビアリリィ=ノースウッド(15歳)
ノースウッド王国の第二王女として生を受けました。
大陸の北の最果てにある小国ノースウッド王国は、1年の3分の1を雪に閉ざされる自然豊かな国です。
季節は3つ。
雪に閉ざされる白の季節。
花が咲き緑が芽吹く碧の季節。
作物が実り木々が赤く色付く紅の季節。
とても小さな国だけれど、王国民はとても勤勉で、真面目で心優しく純粋で、毎日を一生懸命生きています。
そんな王国民を私は愛しています。
そんな私も今年で15歳。
現在貴族魔法学園の4年生で魔法騎士科に在席しています。
婚約者はまだいません。
王族たるもの小さな頃から婚約者がいるのは当たり前なのに私の持つ魔力が大きすぎて相手が見つからないのです。
私は水と氷の属性持ちで、その魔力は一国を滅ぼせるほど大きいらしいのです。
生まれてすぐに魔力暴走を起こし、王宮中を氷漬けにしてしまい、沢山の宮殿内の人間を危険な目に合わせてしまったそうです。
幸い、当時の魔導師団長が、私の魔力を相殺してくれたお陰で大事には至らなかったと聞いています。
でも、そのせいでお母様の身体はすっかり弱ってしまい、お母様は私を生んで1年も経たずに死んでしまいました。
私はお母様の顔も、お母様の温もりも何も覚えていません。
そんな私に、お父様が送ってくれたお母様の肖像画は、私とお母様を繋いでくれる大切な宝物です。
肖像画のお母様は、私と同じ青味がかったクセのあるフワフワした銀髪で、私よりも濃い銀色の混じる藍色の瞳をした、とても美しい人でした。私とそっくりの面立ちに、血の繋がりを強く感じる事が出来て、胸の真ん中が温かくなります。
肖像画のお母様はいつでも優しく微笑みながら私を見つめて下さいます。
悲しい時、辛い時、私はいつもお母様の
優しい微笑みに慰められていました。
お父様には現在、正妃ダイアナ様、第二妃ユリアーナ様、側妃リリル様の3人の妃がいらっしゃいます。
お父様は昔、若気の至りで学園時代に知り合った男爵令嬢のダイアナ様に夢中になり、当時、お父様の婚約者だった公爵令嬢を蔑ろにして、まわりの反対を押し切り、ダイアナ様を正妃に迎えました。
見事に正妃の座を射止めたダイアナ様は、フォース男爵と平民のメイドとの間に出来た子供で、メイドだった母が死に、仕方なく父であるフォース男爵が引き取った子供でした。
幸い男爵家には女の子がいなかった為、政略の駒に使えると思ったのでしょう。
扱いはそう酷いものでは無かったそうです。ただ市政育ちだった為か、平民の振る舞いがいつまでも抜けず、学園では高位貴族どころか、王族であるお父様にも馴れ馴れしくまとわりついて、その愛らしい外見で次々と男性を虜にしていったそうです。
そんな自由奔放な彼女が新鮮に映ったのでしょう。
最初は困った顔をしていたお父様も、やがて彼女に傾倒するようになり、いつの間にか恋仲になっていたそうです。
側近の言う事も、婚約者の言う事も、お父様の耳には届きません。
それどころかお父様に注意喚起する者は段々お父様から遠ざけられ、あろうことか卒業パーティーの時、学園生徒、関係者一同の前で、婚約者である公爵令嬢との婚約を勝手に破棄し、手を回してダイアナ様を伯爵家の養女とし、無理を通して正妃として迎えたのでした。
当時、王国民には世紀のラブロマンス、身分を超えた真実の愛と持て囃され、2人の間には第1王子であるキースお兄様も生まれ、お世継ぎの誕生と国中か浮かれていたそうです。
でも、そんな幸せも長くは続かなかったようです。
お父様の愛が冷めたのです。
市政育ちだったダイアナ様は王妃教育をしても、覚えが悪く、マナーも最低ランク、外国語も覚えられない、外交に連れて行くことはおろか、国内でも賓客の相手はさせられない。
その為公務にも差し障りが出ていたそうです。
それどころか次々と高額なドレスを作り、宝飾品を購入し、国の予算を使い潰していく始末。
国民からの評判はあっと言う間に地に落ちました。
まともな公務1つこなせない下品な正妃。
国家予算を使い潰す正妃。
問題ばかり起こすダイアナ様の相手にお父様はすっかり疲れ果て、臣下の進めもあって、公務をこなせる第二妃を迎える事になりました。
それが当時、3家ある内の1つフォルトナート公爵家のマリエルヴィオラ=フォルトナート公爵令嬢。
私達のお母様だったのです。
お母様はお父様との婚姻後すぐに第一王女である姉アリシアローズを産み、その2年後、王太子である兄アリステアカークを産みました。
公私にわたり、お父様を支えたお母様をお父様はとても大切にしていました。ダイアナ様とお母様を従えて夜会をこなし、外国への視察には、ダイアナ様の病弱を理由(立て前)にしてお母様を連れて外交をこなしていました。
お父様とお母様は仲睦まじく、お父様は目が覚めたかのように、良き国王、良き夫、良き父となっていきました。
でも、そんなお母様が私を生んで1年も経たない内に26歳と言う若さでこの世を去ってしまったのです。
姉は6歳、兄は4歳、私はもうすぐ1歳というときでした。
10
あなたにおすすめの小説
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです
果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。
幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。
ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。
月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。
パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。
これでは、結婚した後は別居かしら。
お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。
だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
魔力なしの役立たずだと婚約破棄されました
編端みどり
恋愛
魔力の高い家系で、当然魔力が高いと思われていたエルザは、魔力測定でまさかの魔力無しになってしまう。
即、婚約破棄され、家からも勘当された。
だが、エルザを捨てた奴らは知らなかった。
魔力無しに備わる特殊能力によって、自分達が助けられていた事を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる