悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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魔術学園-4

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今日の午後は騎士科の授業です。
そろそろかしら?と心の準備をしているとやって来ました、噂撒き散らし三人組。
今日もやる気まんまんのようです。
階段の踊り場で私の行方に三人が立ち塞がりました。

「まぁ、シルビア様、今日も騎士科で男漁りですか?」

クロス侯爵令嬢の後ろで取り巻き令嬢二人がクスクスと私を嘲笑います。

「クロス侯爵令嬢ごきげんよう、そういうあなたは王太子殿下の婚約者である私に嫉妬して、わざわざこんな所まで嫌味を言いに来られるなんて、よほどお暇なのですね、申し訳ありませんが私はあなたのお相手をしている余裕はありませんので、そこを通していただきたいわ。」

クロス侯爵令嬢の顔が怒りに歪みます。

「リオネル様もお可哀想、あなたの本性も知らずにいくら魔力が釣り合うからと言って後継者の為だけにこんな性悪女を娶らなければならないなんて、同情いたしますわ」

「あいにく殿下は魅了にもかかっておりませんし、私の事をとても大切にして下さいます。他の女性に見向きもしないで私だけをその瞳に映してくださいますわ、名前呼びを許されてもいないあなたが、殿下のいない所で親しげに名を呼ばれていると知ったら、どう思われるでしょうね、早速今夜聞いてみようかしら?不敬罪で罰せられてもおかしくは無いですよね、私の事もありますし、影が色々報告している様ですし、気を付けた方がよろしいのではないかしら?個人に対する罰で済めばよろしいのですけれど、家ごと処分なんて事もあるかも知れませんわね」

言った!言ってやりました!

私の言葉にやっと自分のやった事がどういう事なのか理解した様子の取り巻き令嬢二人の顔は、青いを通り越して真っ白になっています。クロス侯爵令嬢は怒りで顔を真っ赤に染めて、握りしめた拳がブルブルと震えています。

「私の言った言葉の意味を理解していただけると良いのですが…では私は次の授業がありますのでご機嫌よう。」

そう言って、クロス侯爵令嬢達の横を通り過ぎ、階段に一歩を踏み出した時、私はクロス侯爵令嬢に後ろから思い切り突き飛ばされました。
一歩踏み出した足は空を切り、私はそのまま階段を落ちる所でした。

『アイスバーン』

私はとっさに階段の上に氷の膜を張って頭を下にしたまま滑り降りました。
途中で身体の向きを返し、何とか肩から下に受け身を取りながら無事に着地出来ました。

ふう………

よかった、助かった… 

「姫様!!!」

「シンディ…」

「お怪我は?お怪我はありませんか?大丈夫ですか?」

「大丈夫、心配しないで、私なら大丈夫だから、怪我も無いし、シンディ、落ち着いて、ね?」

階段の踊り場を見上げると、真っ青な顔をしたクロス侯爵令嬢がエリオ様に取り押さえられていました。
エリオ様の拘束から逃れようと、「離せ!」と喚きながら暴れています。
私は階段を登り、クロス侯爵令嬢の目の前に立ち、押さえつけるエリオ様の手から逃れようとする彼女を見下ろしました。
クロス侯爵令嬢は私を睨みつけています。

「クロス侯爵令嬢、さすがに階段から突き落とそうとするのはやり過ぎですわ。怪我がなかったからよかったものの下手をすればあなた、極刑でもおかしくないのですよ」

悔しすぎて涙を流すクロス侯爵令嬢にため息が出ます。

「エリオ様、離してあげて下さい」

「ですが、姫様!」

「大丈夫だから」

私はエリオ様にクロス侯爵令嬢を離すように言うと、もう一度、彼女に向き合いました。

「クロス侯爵令嬢、次はありません。もし、もう一度問題行動を起こした時は私も全力で反撃いたします。よく考えて行動してください」

そう言って私はシンディとエリオ様を連れてその場を去りました。

廊下を曲がり、クロス侯爵令嬢の姿が見えなくなると、私は腰が抜けたようにその場に座り込んでしまいました。

「姫様!」

慌ててシンディが駆け寄ります。

「ごめんなさい、シンディ、何だか緊張が解けて…」

「本当にお怪我はないんですね?」

シンディの瞳が心配そうに私を見つめます。

「ええ、大丈夫よ本当に気が緩んで腰が抜けただけだから…」

私はシンディとエリオ様の手を借りて立ち上がりました。

「姫様、今日はもう帰りましょう、帰って休まれた方が良いです」

「でも…」

「姫様、シンディの言うとおりです、今日はもう帰りましょう、急いで馬車の手配をします」

「ありがとう、シンディ、エリオ様」

そうして私は王妃宮に帰りました。

王妃宮に着くと知らせを受けていたリオが待っていてくれました。

「シルビア!」

「リオ」

私の姿を見るなりリオが私を抱き上げ私の部屋に向かいました。

「リ…リオ?」

リオの真剣な横顔に次の言葉が出ませんでした。
部屋に着くとリオは私を抱いたまま寝室に向かい、私はベッドの上にそっと降ろされました。
私の前に跪いたリオが私に怪我が無いかを確かめます。

「本当にどこも怪我をしていない?」

「はい、大丈夫ですよ、魔法で上手くかわしました」

「頭から落ちたと聞いた」

「ちゃんと頭を打たない様に上手く身体を入れ替えましたから」

「肩を見せて」

「えっ?!」

「身体を入れ替えたなら、肩が下になったんだろう?肩を打っていないか確かめたい」

「殿下!淑女のドレスを脱がすおつもりですか?!」

「黙れ、シンディ、シルビア肩の部分を少しずらすだけでいい、ちゃんとこの目で確認したい。」

リオの真剣な眼差しに、私は仕方なくリオに背中を向けて肩の部分を少しだけずらしました。

「やっぱり…」

「リオ?」

「赤く痣になっている、かなり内出血しているみたいだ。シンディ、医者の手配を!」

「姫様!すぐに呼んでまいります!!」

「リオ、ごめんなさい」

「いや、私のせいだ、クロス嬢の事は分かっていたはずなのに」

「リオのせいじゃありません。私が自分の力を過信したせいです、令嬢にあんな事が出来ると思わなくて、煽りすぎた私が悪かったんです」

しょんぼりする私を、リオが抱き締めてくれます。

「シルビア、私はあなたがとても大切で愛おしい。だから危ない目に遭ってほしくないし会わせたくない。あなたはこれまでたくさんの嫌な思いをしてきて痛みに慣れすぎている、そんなあなたを見るのは私もとても辛いんだ。だからどうか私の為にも自分を大切にしてほしい、攻撃されたらちゃんと自分の身を守ってくれ、手加減は必要無い」

「でも…」

「何も殺せって言ってる訳じゃ無いんだ、シルビアは私と出会った頃よりずっと魔力制御も上手くなっているし、相手を傷付けなくても相手を交わすことが出来るようになっていると思う、相手に圧倒的な力を見せつつ戦意を喪失させる、威圧を使って相手の行動を抑制する、方法は色々あるから」

そう言いながら優しく背を撫でてくれます。
リオの腕の中でリオの香りに包まれて、私は甘える様にリオの背中に手を回し、リオの胸に顔を寄せ、しっかりとリオに抱きつきました。

「リオ、もう怪我をしたりしません、もっと魔法の勉強をして、リオに心配をかけないように頑張ります」

「約束だよ?」

「約束します」

そうしてリオは私に口づけました。

こうしているとリオと離れがたく、私は、シンディが医者を連れて戻って来るまで、ずっとリオを抱き締めていま
した。


























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