悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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魔術学園-3

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最初は小さな事でした。

教室にいると後ろから私に対する悪意を感じるようになりました。
悪意の方をそっと窺うと、キリエカンナ=クロス侯爵令嬢が冷たい視線を寄越してくる事を確認しました。
休憩時間になると、Bクラスのアリアン=アメリー子爵令嬢とCクラスのロビーナ=ウッズ男爵令嬢がやって来てクロス様の後ろにぴったりと控えて、一緒にこちらを睨んでいます。
あからさまな悪意にシンディも気付いた様です。
次の日から小さな嫌がらせが始まりました。

最初はペンでした。
次にインク、プリント、ハンカチ…
なくしたり、汚されたり、壊されたり…
私の座る席に落書きをされる。
淫乱、男好き、化け物…
私が席を外すと必ず小さな落書きや、ゴミが置いてあったり、飲み物をこぼされていたりするようになりました。
血のついたハンカチがカバンの中に入れられていたり、虫の死骸や動物の毛。
こんな物をわざわざ用意して持ってくるその神経を疑います。
気持ち悪くないのかしら?

ロッカーに手紙を入れられて呼び出され、待ぼうけにされたり、移動教室を教えてもらえなかったり、違う教室を教えられたり。

連絡系統のいじめに関しては気付いたナビエ様やミランダ様、ハンナ様達が一つ一つ教えてくれるようになりました。それでも魔法騎士科は私一人で向かうので、その時に嫌がらせが集中するようになりました。

あの人達、自分も授業があるでしょうに…
毎回私に嫌がらせをやりに来ていたらご自分も遅刻するでしょうに、どうしているのかしら?

持ち物に関してはシンディがキッチリと管理するようになったのでもう手出しは出来ません。
連絡事項についてもナビエ様達がいつも教えてくれるので間違える事はなくなりました。
落書きや嫌がらせに机に悪戯される事も事務員や先生が教室を見回るようになったのでなくなりました。

最近では噂をばらまく事が主になっているようです。

「今日のリオネル殿下をご覧になりました?まさかあんなに凛々しく我が国の完璧王太子と言われた方がシルビア王女にデレデレしてなかなか手を離されないで、グズグズと駄々を捏ねている姿なんて私見たくありませんでしたわ。あんなにお変わりになるなんて、シルビア王女はとても魔力が多いと聞きますし、もしかして魅了の魔法でも使っていらっしゃるのでしょうか?でないとあんなリオネル殿下の姿、私とても信じられませんわ…」

私はどうやら魅了魔法でリオを篭絡しているそうです。

「お聞きになりました?シルビア王女は今、王妃宮にお住まいになっていらっしゃいますけれど、初めは王太子宮に住みたいとずいぶん食い下がったそうですわよ。王妃様が外聞が悪いからとシルビア王女をお諌めになったんですって。」

「まぁ!あのお優しい王妃様を怒らせるなんて常識知らずにも程がありますわ、やはりあの噂は本当でしたのね」

「男好き、淫乱、でしょう?まだ15歳だというのに男性に色目を使うなんて末恐ろしいですわ」

「何でも、お国でも婚約者のいる男性に必要以上に近づいていたそうですわよ、嫌だわ、私も婚約者に気を付けるように言っておかないといけないかしら?同じ騎士科にいるので心配ですわ」

嫌な噂が広がるのはとても早くて、私はあっという間に淫乱で王太子に魅了を使って籠絡した悪女に仕立て上げられていました。

「シンディ、噂って怖いわね」

「姫様、申し訳ありません。私が上手く対応出来ていたらこんな事には…」

「シンディのせいじゃないないわよ、悪いのは悪い事をする人、だからこの場合は悪い噂を吹聴している人ね」

「姫様、影に調べさせて犯人は特定出来ております。いつでも罰する事は出来ますよ。これは立派な王族侮辱罪にあたります。このまま放置するには悪質すぎます。」

「自分がまずい事をやっているって気づいて止めてくれないかしら?」

「無理でしょうね、クロス侯爵令嬢は昔からリオネル殿下に並々ならぬ恋情を持っていらして、何度お断りしても諦めない不屈の精神をお持ちの方なんです。両親に甘やかされているのか、リオネル殿下はクロス侯爵令嬢が好きなのに、魔力が釣り合わないせいで結ばれないと本気で思っていて、思い込みが激しすぎて周りの意見を全く聞かないですし、凄く前向きなんです。何でもよいように考える厄介な思考の持ち主なんです」

「リオはどう思っているのかしら?」

「殿下は大変お怒りです」

「あ…やっぱり?」

「昔からクロス侯爵令嬢には迷惑をかけられてきましたから今回は姫様がターゲットにされていますからもうカンカンです。どす黒いオーラがだだ漏れです」

「そんなに?」

「はい」

シンディの目が笑っていません。

本当にいい加減気付いて止めてくれないかしら…
このままでは家にも影響があるかもしれないのに、周りの人が止めてくれないかしら?
これ以上やると本当にまずいと思うのだけれど…

リオの機嫌は日に日に悪くなっているし…
たぶん影の報告を毎日聞いているのよね…
本当にあんなにわかりやすく嫌味を言うなんて、もしかして私の事、王太子の婚約者だって気付いてないのかしら?
まさかね…
噂を流すたび自分の首を絞めているっていうのに、特に取り巻きの二人はまずいんじゃ無いかしら?
このままだと没落一直線だと思うんだけれど…
直接言ったほうが彼女達の為かもしれないわね、そろそろ止めてもらわないと、リオの血管が切れちゃいそうだものね。

「ねぇ シンディ、やっぱり注意した方が良いわよね」

「えっ?言っちゃうんですか?放っておけば自滅するのに…」

「いや、自滅したらダメでしょう…」

「姫様はお優しいですよね 」

「うーーーん そうなのかな?でもこのまま放置して没落するのもなんか悪いような気がするのよね」

「まあ、確かにそろそろやめてもらわないとナビエ様達もお怒りですし、殿下も今にも学園に乗り込んで来そうですしねぇ、取りあえず1回釘刺しておきますか?」

「そうね、次に何かあればちょっと返してみようかしら?」

うん!頑張ろう!
彼女達の為でもあるんだもの。

















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