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婚姻の儀-1
しおりを挟む【婚姻の儀まであと6ヶ月】
私の誕生日まであと6ヶ月
つまり、婚姻の儀まであと6ヶ月です。
ここで新たな問題が発覚しました。
「私、ダンスを踊れないんです」
「「「えーーーっ?!」」」
シンディ、ビビアン、エリオ様の声が重なります。
「まさか…」
シンディが、
「嘘ですよね?」
ビビアンが、
「姫様、冗談キツイなぁ…」
エリオ様が、
三人の視線が私に集中します。
「あの…姫様、一度くらいは……」
シンディが言いにくそうに聞いてきます。
「一度も無いの…」
「練習も?」
ビビアン、そんな信じられないっていう顔をしないで欲しいです。
「私、魔力制御が下手で、私の手を取れる人が周りに殆どいなくて…」
「それは…仕方が無いですね。」
エリオ様の残念顔が辛いです…
「今更もう遅いでしょうか?」
「と、とりあえず殿下に相談しましょう!」
「そうね、シンディ、まずはリオに相談してみるわ。」
「そ、そうですね、殿下ならきっと何とかして下さいますよ。」
「ビビアン…」
「姫様、踊るのが殿下だけならきっと何とかなりますよ。殿下はダンスが上手ですからね。きっと大丈夫ですよ。」
「エリオ様…」
私は三人に励まされ、翌日、朝からいつものお迎えに来てくれたリオに朝食の時、相談してみました。
「踊れない?」
「はい…」
「踊った事が無いの?一度も?」
「はい…」
「そうか…」
そう言ったきり、、リオは口元に手を当てて、考え込んでしまいました。
「そう言えば、ノースウッドでも一度も踊らなかったな…というか、夜会に出ていない?!」
「あの、事件のせいで夜会が中止になりましたから…」
「そういえば、ベリアルでも一度も踊らなかったな…」
「舞踏会ではなかったですし…」
「なんてことだ!トルティアに来てからも一度も夜会に参加していない!」
「まだ未成年ですから…」
「そう言えば、シルビア デビューは?」
「まだです」
「なんてことだ…私とした事が…」
朝食の手を止めてリオが私をじっと見つめます。
「まずはデビューだな、ちょうど四ヶ月後父上の誕生日パーティーがあるんだ。その時をシルビアのデビューにしよう!」
「四ヶ月後ですか…」
「あぁ、シンディ、ビビアン、二人にはドレスの準備を頼む、もうあまり日がないが何とかなるか?」
「かしこまりました。早速手配致します。」
「装飾品は私が用意しよう!君の瞳に合わせて銀と青い石を使って…」
「リオ?」
会話が途切れて心配になった私はちょっぴり不安になってしまいました。
「ああシルビア、そんなに心配しなくても大丈夫だから、準備はシンディ達に任せておけば心配いらないよ。ダンスも私に任せて。君のデビューのパートナーを出来て嬉しいよ、しかも君のファーストダンスだ、とても光栄だよ。こんなに嬉しい事は無い。」
こんなにリオに喜んでもらえるなんて…
「あの、私頑張ります。よろしくお願いします」
「ああ、任せて、早速今日から練習しよう」
そう言って、アンドレ様に
「アンドレ、1時間でいい、今日から毎日ダンスの練習をするから王妃に言って部屋を準備してもらってくれ、ピアノはお前に頼むよ。」
「はぁ、仕方ないですね、かしこまりました。」
「アンドレ様がピアノを?」
驚いて私が聞くと
「ああ、アンドレのピアノはプロ並みだからね、私達に合わせて上手く弾いてくれるから安心して。なに、父上の誕生パーティーまで、まだ四か月もあるんだ、何とかなるよ、楽しみだねシルビア、一緒に頑張ろう。」
「はい…よろしくお願いします。リオ」
そうして私は、その日から毎晩ダンスを特訓する事になったのでした。
その日の夜、夕食の後、リオが王妃宮にやって来ました。
早速、一番簡単なステップを教えてもらいます。
ワン、ツゥー、スリー
ワン、ツゥー、スリー
前、後ろ、左、右
前、後ろ、左、右
1、2、3
1、2、3
リオの足元を見て、足運びを頭の中に叩き込みます
うん、覚えました。
覚えたのに…
ちゃんと覚えた筈なのに…
なぜ??
「あっ!」
「ご!ごめんなさい!!」
「大丈夫、全然痛くないから、ほら、もう少しやろう。」
レッスンを始めて今日で1週間
もう何度リオの足を踏んだ事でしょう
ステップは頭にちゃんと入っているのに
リズムと、身体と、頭がチグハグで、未だに上手く踊れません。
リオに申し訳ないです…
「シルビア、ステップの確認をしたいから、一度一人で踊ってみてくれる?」
「あ、はい!」
私はリオに言われた通り一人で踊ってみます。
「一人だと大丈夫みたいだね、ちゃんとステップも間違えていない。」
「はい…」
ああ…そうなんです
一人なら大丈夫なんです
一人なら…
なのに、二人になると何故か
何故か頭と身体と曲のバランスがぐちゃぐちゃになってしまうんです。
どうして?
私が聞きたいです。
しょんぼりして、床を見つめていると、リオの優しい手が私の頭をよしよしと撫でてくれます。
「シンディ、シルビアのダンスを見てどう思う?」
「そうですね、姫様は足元を気にしすぎています。殿下の足を踏まないようにと、気を使いすぎてステップがおろそかになっているようです。」
「ビビアンはどう思う?」
「シンディの言う通りですね、いっそ殿下の足を踏んでやる位の気持ちでいてもいいと思います。」
ビビアンがとんでもない事を言っています。
「エリオは?」
「そうですねぇ、まず、下を見ない様にする事ですね、いつもみたいに殿下の顔だけ見ていれば良いんじゃないですか?」
エリオ様?私そんなにリオの事を見てますか?
「だって?シルビア、君は私の事だけ見つめていれば良いらしい、じゃあそれを踏まえてもう一曲、踊っていただけますか?レディ」
おどけて言うリオの手を取ります。
言われた通り、下を見ない
リオの顔だけを見つめて
しっかりと曲を聞いて
リオの瞳の金と赤が揺らめいています
『なんて 綺麗…』
赤金色の長い髪がターンする度に揺れていい匂いがします。
リオに見惚れているうちに一曲終わっていました。
「私、踊れてた?」
「ああ とても上手に踊れていたよ」
リオがニッコリと笑っています
そっと私の耳元に顔を寄せて
「そんなに私に見とれてくれるなんて嬉しいな」
素敵な声で囁かれて物凄く
ものすごーーーく恥ずかしくて
「ふふ…シルビア 首まで赤いよ」
リオの笑顔!!
笑顔が眩しい!!
ピッタリくっついて赤くなっている私とクスクス楽しそうなリオを見て、アンドレ様が
「皆が見てますよ、いい加減にして下さい」
と、ピアノを片付けながら呟いていました。
ああ…なんて恥ずかしい
リオの馬鹿!
私はもっと馬鹿!
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