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討伐依頼-7
しおりを挟む【アスラン】
「アスラン!」
久しぶりに主に呼び出されて行ってみれば、大切な番が攫われたと主が泣きそうになっていた。
こんなに切羽詰まった主を見るのは初めてだ。
番の魔力のもとへ運んでくれと言われ、主を乗せて砂漠を飛んだ。
飛んだ先に物凄い量の魔力の奔流が見えた。
あれが主の番の力…
思わず従いたくなる様な大きな力だ
番のいる場所は、ここが砂漠だと言う事を疑いたくなる様な氷の山になっていた。
氷山は遠くからも見える程大きく、気候が変わってしまうのではないかと心配する程だ。
氷山の傍に降りると、主はいきなり炎の魔法を連発して、番を氷山の中から宝物の様に大切に抱き上げて出て来た。
番は主の腕に抱かれて、恥ずかしそうに「一人で歩けるから」と言っているが主がそれを許さない。
これ程の魔力を放出したのに番はまだまだ余力がありそうだ。
さすが我が主の番。
わたしの背に乗せてやると言った時
「こげちゃいませんか?」
等と、可愛らしい事を言っていた
こんな素直な所も主は気に入っているのだろう。
すぐに宮殿に帰ると言う二人を乗せて戻ると、いつもの護衛騎士や侍女達が泣きながら番の無事を喜んでいた。
主の番はずいぶん周りの者に愛されているようだ。
主が良き番を得て、私も嬉しくなった。
主は、番を危険に晒したこの土地を、一刻も早く離れたいと言うので、王都まで乗せてやろうと言ってやった。
主はすぐに帰ろうと、皆を置いて、番と二人、王都に向けて出発した。
夜の砂漠は真っ暗で、一体 今何処を飛んでいるかも分からないだろう。
だが空を見上げれば、満天の星空が広がっている。
「リオ、凄いです!星があんなにたくさん!手を伸ばせば届きそうですよ!」
私の背中で星空を見てはしゃいでいる番も可愛らしい。
主も、番が落ちない様にしっかりと腕の中に抱え込んで
「あぁ、綺麗だ、でもシルビアの方がもっと綺麗だ。銀の髪が月明かりで煌めいてまるでダイアモンドみたいだ」
と、とろける様な笑顔を向けて番の髪を一房取って口づけている。
こんなに愛情溢れる主を見るのは初めてだな。
なんと微笑ましい。
二人の間に子が出来るのもそう遠くなさそうだ。
2時間の空の旅は二人の距離を更に縮めたのだろう。
私の背で主は随分 番に愛を囁いていた。
我ら聖獣は美しい物を愛している。
二人の愛情は我にとってもとても心地よいものだった。
思わず祝福せずにいられない程
夜空を飛ぶ私の羽根から、炎の祝福がキラキラと舞い散る。
その日王都への道すがら、空飛ぶ聖獣が振り撒いた祝福は、その日生まれた子供達に火の加護を授けた。
まさに伝説の1日になったのだ。
火の神に後からやり過ぎだと叱られてしまったがしょうがない。
そういう火の神も笑っていたから、私のした事はきっと良き事だったのだろう。
主と番はこれからも仲睦まじく、良き夫婦となるであろう。
二人の間に生まれる子に祝福を授けるのが今から楽しみで仕方がない。
きっと火の神も私と同じ気持ちに違いない。
その証拠に、いつになくニヤニヤと上機嫌なのだから…
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