悪虐氷姫の幸せな結婚

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婚姻の儀-6

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「おはようございます姫様、ご気分はいかがですか?」

朝、目が覚めると、シンディとビビアンが待っていたように部屋に入って来ました。

「おはよう、シンディ、ビビアン、今日はよろしくお願いね。」

「「かしこまりました。」」

今日は待ちに待った『婚姻の儀』当日です。

11時 大神殿の大聖堂で婚姻の儀
12時 大通りをパレード
14時 王城にて『祝福の儀』
18時 婚姻披露舞踏会

朝からとても忙しそうです。

まず、大神殿へリオと二人で向かいます。
神殿に用意されたそれぞれの控え室で婚礼衣装に着替えます。
化粧、ヘアセットをシンディやビビアン、大勢のメイドに囲まれて、美しい花嫁が作られていきます。

「さぁ、姫様 出来ました。」

ほぅ…

女性陣のため息が、「美しい」と呟く言葉が、私に自信をつけてくれます。

「ありがとう、シンディ、ビビアン、皆…」

コンコンコンと扉がノックされて、迎えが来たようです。

「そろそろお時間です。準備はよろしいでしょうか?」

神官の言葉に緊張が走ります。

「さぁ、姫様 参りましょう。殿下がお待ちですよ。」

控え室を出ると隣の控え室から出て来たリオが私を見てニッコリ笑いました。

赤に金の刺繍が施され、たくさんの勲章を胸に付けた素敵な新郎が両手を広げて私を迎えてくれます。

「シルビア、とても綺麗だ。」

顔をほんのり赤く染めたリオが目を細めて褒めて下さいます。

「リオもとても素敵です。」

リオの笑顔が眩しいです。

「では、シルビア姫、行きましょうか?」

そう言って差し出されたリオの腕を取り、私達二人は大聖堂に向かいました。

大聖堂には既に大勢のお客様が私達二人の登場を待ち構えていました。

祭壇まで長く続く赤いカーペットの上をリオと腕を組んで静々と歩いて行きます。
両脇には外国からのお客様、そしてトルティア帝国の貴族達が私達を見守ります。

祭壇に到着すると大神官の挨拶が始まりました。
大神官から祝福をいただき儀式に則って、夫婦の誓いが宣誓されました。

「今日、この時、神に二人の婚姻を認めていただきたく、誓の言葉を唱和させていただきます。」

大神官の言葉にリオと私は神の像の前に膝まずき、宣誓を行います。

「本日、私達二人は神の御前にて、共にその生を終えるまで、お互いを労わり、慈しみ、愛を持って生きることを誓います。どうぞ神の祝福があらん事を…」

すると、大きなドーム状の天井からキラキラと光が舞い降りて来て神の像の傍らにアスランが現れました。

『良き夫婦となるよう、そなたら二人に祝福を与える』

そう言ってアスランが羽ばたくと、辺りは光に包まれて、その光は聖堂全体に広がりました。
光の収束と共にアスランも姿を消し、緊張していた人々の口から感嘆のため息が漏れました。

「なんと素晴らしい」

「まさか、聖獣様をこの目で見られるとは…」

「これ程神聖な婚姻の儀を見た事が無い…」

「さすが火の神様の加護を受ける国だ。」

ザワザワといつまでも聖堂内がざわついていました。しばらくしてやっと場内が落ち着くと、大神官が

「神の祝福により、二人を夫婦と認めます。」

神の前で私達二人の婚姻が認められました。王都に婚姻の儀の成立を告げる教会の鐘の音が、響き渡り、王都中が喜びに包まれます。

大神殿の扉が開かれ、私達二人が民の前に姿を現すと、辺りに震えるような大歓声が巻き起こりました。

王城まで4頭の白馬が引く屋根の無い真っ白な馬車にのって、王都をパレードします。
紙吹雪が舞い、花吹雪が舞い、人々の歓声は最高潮に達し、人々の笑顔が私の心を浮き立たせます。

多くの人に祝福されて、こんなに幸せな事はありません。
リオも終始ご機嫌で、時々私を見てはキスをしてきます。
その度に 「キャーキャー!!」という悲鳴の様な歓声が聞こえて更に盛り上がっています。
パレードが終わって王城に入ると、次は『祝賀の儀』です。

神殿で神に誓いを立て、次は王城で帝王の前で誓いを立てます。

「陛下、王妃陛下、私達二人は国の為、民の為、生涯二人で支え合い、労りあい、死ぬ最後の瞬間まで国の為に在ると誓います。」

「そなた達二人を夫婦と認める。お互い思いを一つにして、国の為に尽くすように。」

「「ありがとうございます」」

そうして私とリオは正式な夫婦として認められました。

『祝賀の儀』が終わり、舞踏会まで少しの間休憩を取るために私とリオは一旦控え室に下がりました。

舞踏会の為のドレスに着替えて軽く軽食を摘んで、果実水で喉を潤し、ホッと一息つきました。

舞踏会用のドレスはリオが用意してくれました。
私に一番似合うドレスをとデザイナーのカリナ様に注文してくれたのは、濃い藍色のマーメイドドレスです。
胸元とドレスのサイドに銀色の海の波の飛沫の様な美しい刺繍が施されていて、月夜の海を思わせる美しいドレスでした。

リオも私とお揃いの濃い藍色のスーツをピシリと着こなして、夜の海に燃える赤金の髪が美しいイメージです。

「ああ、やはり良く似合う。昼間の赤いドレスも綺麗だったけれど、シルビアにはやはりこの色がとても良く似合うな。」

「リオも素敵です。」

「ダンスのステップは頭に入ってる?」

「頑張ります。」

「大丈夫、私がついているからね。」

そう言って、チュッ!と耳にキスされました。

耳を押さえて真っ赤になっていると

「化粧が崩れるとシンディに怒られるからね。」

そう言って、いたずらっ子の様に笑います。

時間が来て、舞踏会の会場に二人で向かいます。
大勢に見つめられて、ファーストダンスをリオと二人で踊ります。

今はまだ簡単なステップのダンスしか踊れませんが、いつかもっともっと上手になって、どこに出ても恥ずかしくないダンスを踊れる様になりたいです。

「シルビア、愛してるよ」

「私も、リオを愛してます。」

今日、私達は夫婦になりました。

その日の夜
私は早めに舞踏会の会場を後にして部屋に戻りました。
今日から私の住む宮は王太子宮の王太子妃の部屋になります。

部屋に入ると、既にメイドとシンディとビビアンが待っていて、湯浴み、マッサージ、軽食、着替えと、初夜の準備が整えられていきます。

夫婦の寝室に案内されて、中でソファに座ってリオの訪れを待ちます。

心臓が口から出そうなほどドキドキしています。

座っているのも落ち着かなくて、バルコニーに出てみました。

大きな満月が庭を明るく照らしています。
リーリーと何処からともなく可愛らしい虫の声も聞こえます。

「満月に吸い込まれそう…」

手を伸ばすと、夜空の満月に手が届きそうです。
その手を急に掴まれ、振り返るとリオが切なそうに私を見ています。

「リオ?」

私がリオを呼ぶとリオは私をきつく抱き締め

「シルビアが月に帰ってしまいそうに見えた…」

私の耳元でそう呟きました。

「シルビアは何処にもやらない。私のものだ。」

「リオ、私は何処にも行きませんよ。私のいる場所はここですから」

そう言って、私はリオを抱き締め返しました。

「シルビア、身体が冷たい。一体どのくらいここにいたの?さぁ、中に入ろう」

「はい…」

リオに手を取られ中に入ります。

寝台に二人で腰掛けてリオを見ると、リオの唇が降りて来ました。
何度も何度も、唇を啄む様なキスが落とされ私はもう何も考えられません。

「シルビア、嫌なら私を押しのけて…」

ガッチリと私を抱き込んで、私の首元でリオが切なそうにそう言いました。

「リオ、大好きです。ずっと孤独だった私の心を救ってくれたリオの事を拒むなんてあり得ません。リオとつながる事でもっとリオと近づく事が出来るなら、私はリオと繋がりたいです。心も身体も、リオと一つになりたいです。」

「ありがとう、シルビア愛してる、私の妃、私の唯一、大切にするよ」

そうして私達は本物の夫婦になりました。

翌朝、いつまで経っても起きない二人に痺れを切らして部屋に入って来たシンディが、キスマークだらけでぐったりと横たわる私を見て、

「殿下…」

と、どすの効いた声でリオを脅していました。

私はリオの愛に一晩中包まれて、とてもとても幸せでした。

だから、シンディ、そんなにリオを怒らないであげて下さいね。




              《完》

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ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。
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本当にありがとうございました。

























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