悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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婚姻の儀-5

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陛下の誕生パーティーから二週間が経ちました。
なんとかデビューも無事に終わって、今日は婚礼衣装が届きました。

トルティア帝国では火の神様の加護にちなんで婚礼衣装は赤いドレスと決まっているそうです。
燃えるような赤いドレス。
果たして私に似合うのか?
少し不安ですが…
いえ、ものすごーーーく不安ですが…

シンディとビビアンがうやうやしくドレスを出してトルソーに掛けてくれます。

「殿下から宝飾品も届いていますよ。」

そう言って見せてくれたネックレスとイヤリングはしっかりと殿下の色そのものでした。

金の台に真っ赤なルビー、ピジョンブラッドと呼ばれる最高級のルビーだそうです。
値段を聞くのが怖いです。

トルソーに掛けられた真っ赤なドレス。
当日は髪を上げるので首から背中はデコルテが美しく見えるようにドレスの首元が広く開いています。
その首元に値段が付けられない程の金とルビーのネックレス。
そして耳には同じお揃いのイヤリング。
当日、ブーケは真っ赤なアマリリスが用意されるそうです。
赤いユリの花が無いのでよく似た花を探してくれたそうです。
ヴェールも赤に金の刺繍が施されたとても美しい物です。
本当に全身リオの色でまとめられていて、エリオ様が

「殿下の独占欲ハンパなきですねぇ」

などと言っています。

「「確かに…」」

シンディとビビアンの声が揃いました。

「姫様、一度着てみて頂けますか?お直しが必要かどうかチェックしたいので」

ドレスをデザインしてくださったデザイナーのカリナ様がお針子さん達を呼んで私をドレスルームに連れていきました。
ドレスルームでは女性陣が集まって

「ここはもっと詰められそうね」

「ヴェールの長さはどう?」

「お胸が少しきつくなったかしら?」

嬉しい言葉が聞こえました。

(私 成長してる?)

ドレスを身に着け、ネックレスとイヤリングを付けてバランスを確かめます。

「ネックレスのチェーンをほんの少し短くした方が良さそうね」

お針子さん達とシンディ達の手によってどんどん修正されていきます。

こんな風に完全オーダーメイドのドレスを作った事が無かったので見るもの全部珍しくて何だかとても楽しくなってしまいました。

ドレスのお直しが終わって数日
学園、王太子妃教育、グレース先生の授業、王妃様とのお茶会と、忙しくしている間に一ヶ月を切りました。ポツポツと招待状の返事が返ってきて、隣国の賓客がトルティア帝国に訪れると、先触れが来るようになりました。
他国の王族や大使の為の宿泊の準備も慌ただしくなって来ました。
警備も抜かりなく整えられ、リオも忙しくなって、もう、五日も会えていません。
婚姻の儀まであと二週間になっていました。

そんな中、お兄様がトルティア帝国にやって来ました。

「シルビア、久しぶりだね 元気にしていたかい?」

久しぶりにお会いしたお兄様は少し疲れているように見えました。
ダイアナ様を亡くして気落ちされているお父様に代わって政務を代行されていて忙しくしていらっしゃるのでしょう。

「お兄様、お久しぶりです、私は元気にしておりましたわ」

そう返事すると、安心したように笑顔になられました。

「そうか…良かった」

「お父様は?」

「ああ、父上も元気にしているよ。シルビアの事を気にかけていたよ。」

「そうですか…
お兄様、私はもう大丈夫です、リオネル様に大切にされて、私を軽んじる者はここにはいません。どうかお父様にも、私は幸せに暮らしているからと伝えていただけますか?」

「わかったよ、父上にしっかり伝えるよ、シルビアの事を聞けば、父上もきっと安心されるだろう。」

その時、扉がノックされる音がして、リオがお兄様と会いたいとやって来ました。

「シルビア、私も義兄上に挨拶させていただいてもいいだろうか?」

「リオ、来てくれたんですね」

「シルビア、お邪魔するよ。」

部屋に入って来るなり、リオは私を抱き寄せて軽く頬にキスをすると、お兄様に向き合いました。

「お久しぶりです義兄上、ようこそよくいらっしゃいました。」

「お久しぶりです、リオネル殿下、私の方が年下ですどうぞ、アリステアとお呼びください。」

「では遠慮なく、アリステア殿、長旅お疲れではありませんか?」

「はい、道中初めて見る物ばかりで勉強になりました。私も国から出るのは初めてでしたので。」

「それは良かった。案内を付けますので王都観光もなさってください。」

「ありがとうございます。おことばに甘えます。」

そうして、和やかに、お兄様との謁見は終わりました。
それからもリオと私は、お祝いに訪れるお客様をもてなし、忙しい日々を送っていました。

婚姻の儀まであと三日
今夜は王族が集まって晩餐をいただく事になりました。
陛下、王妃様、リオ、私の四人です。

こうして見ると、本当に王族の少なさに驚きます。
トルティア帝国の王族は一途で情熱的な方が多くてあまり側妃を取る方はいないそうです。
しかも魔力が多いので、子供が出来にくく、リオも一人っ子でした。
陛下には姉が一人、お祖父様の代には王弟が一人いらっしゃったそうです。
学園長がその王弟の孫だったはず…
リオとははとこ同士と聞いています。
だからこそ私に対する期待が大きいようで少しプレッシャーを感じてしまいます。

晩餐が終わり、リオと夜の庭を散歩します。
こんな風にゆっくりとリオと会うのは久しぶりな気がします。
東屋の中のベンチに二人並んで座り、リオにもたれて手を繋ぎました。

「もうすぐですね」

「ああ、待ち遠しいよ」

「失敗しないか心配です。」

「シルビアなら大丈夫だよ」

リオの唇が私の頭にずっとくっついています。リオの言葉が直接頭に響いてドキドキします。
少し頭を上げたらキスしてしまうんじゃないでしょうか?

「義兄上には安心してもらえたかな?」

「はい、久しぶりに会えて、私の幸せそうな様子を見て、安心してもらえたと思います。」

「そうだね、シルビアが楽しそうで良かった。昔の事を思い出して、辛い思いをしていないか少し心配だったんだ」

「私なら大丈夫ですよ、リオと一緒にいられるだけでこんなに幸せなんですから」

「なら、良かった…」

空には月が明るく優しく辺りを照らしています。
もうすぐこうして、リオと一緒にいられる様になります。

「早くリオとずっと一緒にいられるようになりたいです。」

「私もだよ、朝、起きた時君に隣にいてほしい」

「待ち遠しいですね」

「ああ、本当に…」

リオの瞳に私が映っています。
きっと、私の瞳にも…

リオの顔が近づいてきて、私はそっと目を閉じました…


















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