【完結】私がいなくなれば、あなたにも わかるでしょう

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(1)薄情な婚約者と彼女のかわいい妹

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満月のような金色の瞳に、藍色から紫、紫から薄桃色にグラデーションする美しい長い髪。

白い肌は真珠のように輝き、まるで女神のように美しい。

金色の瞳は、知性と慈愛に満ちていて、社交界では、王国一の美女と評判で、淑女中の淑女として、有名な女性。それが、わたしの婚約者だ。

彼女の名前はエメラルダ・ノートン(17歳)
ノートン候爵家の長女だ。

彼女とは、13歳の時に 婚約を交わした。

美しく、聡く、まだ たったの13歳だというのに、彼女はすでに 完璧な淑女だった。

私の名前は、アクオス・シーガル(17歳)
シーガル侯爵家の嫡男だ。

サファイヤのような青い瞳に、プラチナブロンドの髪。

美しいエメラルダの横に並んでも 見劣りしない容姿を持っていると、自負している。

婚約を交わして以来、私達は お互いの家を行き来し、交流を深めている。

お茶会ではいつも、穏やかな笑顔で 私の話に耳を傾け、優雅にお茶を飲んでいた。

夜会では、エメラルダをエスコートし、私の贈ったドレスで着飾る美しい彼女に、私は大変 満足していた。

私達の仲は、良好だった。

私は、美しい婚約者が、とても 気に入っていた。

だが、1つだけ、気になる事があった。

それは、エメラルダの一つ年下の妹、サファイヤの事だった。

エメラルダと同じ 藍色から紫、そして 薄桃色にグラデーションする長い髪。
(後で知ったが、エメラルダのマネをして、染めていたそうだ。)
琥珀の瞳のサファイヤは、美しいと言うより、愛らしい少女だった。

いつも、花がほころぶ様な愛らしい笑顔で、私を迎えてくれた。

「アクオス様」と 私を呼ぶ声は、コロコロと鈴を転がすように可愛らしい。

なのに、エメラルダは 妹の事をあまり、良く 思っていないようなのだ。

その日も、ノートン候爵家で 行われたエメラルダとの 2人だけのお茶会に サファイヤがやって来た。

「お姉様、アクオス様がいらっしゃいましたのね、ご挨拶させていただいてもよろしいかしら?」

愛らしい笑顔を私に向けて、エメラルダに挨拶の許しを請うサファイヤ。

彼女が応接室に入って来た途端、一瞬だがエメラルダの眉間が歪んだのを 私は見逃さなかった。

だが、すぐにやんわりとした笑顔に戻る。

「サファイヤ、今はオスレイ先生がいらしてたはずでしょう?先生をお待たせして わざわざこちらに顔を出す必要はないと、お母様にも言われていたでしょう?先生に失礼よ。すぐに部屋に戻りなさい。」

「お姉様、そんな言い方 酷いわ···私はただアクオス様にご挨拶したかっただけなのに···」

サファイヤの瞳に 見る見るうちに涙が溢れていく。

「エメラルダ、私は構いませんよ。こんにちは、サファイヤ様。お邪魔しているよ。」

すると、さっきまで泣いていた顔が、花がほころぶように ぱあっと笑顔になった。

正直、可愛いと思う。

愛らしい彼女の笑顔から 目が離せなくなる。

エメラルダの笑顔は、いつも 何処か冷めていて、取り繕った笑顔。偽物の笑顔にしか見えないから、サファイヤの素直な笑顔に 惹かれずにはいられない自分がいた。

「さぁ!もうご挨拶は済んだでしょう。あまり先生をお待たせするものでは無いわ。早く部屋に戻りなさい。」

「ーーーだって···」

不満を隠そうともしない ふくれっ面がまた 可愛いと思ってしまう。

「サファイヤ様、今日の所はお部屋に戻った方がいい。今度はあなたの都合の良い日に、我が家のお茶会に招待しますよ。エメラルダと一緒にぜひいらして下さい。」

「まぁ!本当ですの?約束ですわよ、アクオス様!指切りして下さいますか?」

琥珀の瞳をキラキラさせて、可愛らしいお願いをしてくる彼女に、思わず笑顔になる。

「ええ、良いですよ。」

そう、快諾して、彼女の白くて細い小指と自分の小指を絡ませて、指切りをした。

小さな手を一生懸命振る姿もまた、可愛い。

エメラルダとは、こんな事した事ないな···
なんて、考えながら 約束を交わす。

約束に満足すると、サファイヤは部屋に戻って行った。

少し、名残惜しいと思ってしまった。

「アクオス様、サファイヤが申し訳ありません。」

「構いませんよ。少しの我儘くらい可愛いものじゃぁありませんか。私と貴方が結婚すれば、彼女も私の妹になるのですから、仲良くしてもらえるのは嬉しいですよ。」

「それなら、良いのですが···」

ニコニコして答える私を見つめるエメラルダの瞳に、不安の影が揺れていた事に この時の私は 全く気づかなかったのだ。


    




    
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