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第四章 リリータウン

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 ビクトリアさんは、即答しました。
「私はあるじ殿の物、物に判断の力はない。あるじ殿がいなければ、私に生きる力はない。あるじ殿が私に来なくて良いとお思いなら、この剣で突き刺していただきたい。」
 と、剣を差し出しました。

 サリーさんが、
「ビクトリア、ここを越せば戻れませんよ、貴女には肉親などはないのですか?」

「私にはいない、私は謀反の嫌疑を掛けられ、一族が殺され唯一生き残った女だ。」
「傭兵家業を長く勤め、もうそろそろ人生を終わりたいと思っていた、そこにあるじ殿と出会った。」

「あるじ殿は何かが違う、私の感がそう言うのだ、だから無茶ないいがかりで、あるじ殿の側にいようとした。」
「そして私は全力で戦ったが瞬殺された。私はあるじ殿が行くところについていく、なにがなんでもだ。」

 さらにビクトリアさんは言葉を繋ぎます。

「あるじ殿、私の全てを捧げる、身も心もだ、女の覚悟を信じてくれ。」
「命じられれば、どのよう敵とも戦おう、たとえ一人になっても、あるじ殿のために剣を振るおう。戦士の覚悟を信じてくれ。」

「分かりました、もう戻れませんよ。」

「ビクトリアさん、私は確かにヴィーナスと名乗っていますが、これはこの世界の名前です。」
「さらにこの世界では、もうひとつの名前があります、黒の巫女といいます。」

「貴女は私の従者の一人になりますが、そのためにはそれなりの覚悟が必要だそうです、私は詳しくは知りません、サリーさんが説明してくれます。」
「サリーさん、よろしくお願いします。」

 サリーさんはビクトリアさんに、耳打ちしながら説明しています。
 説明しているサリーさんが、恥ずかしそうにしていますが、ビクトリアさんは表情ひとつ変えません。
 平然と仁王立ちして聞いています。

 説明を受けた後、ビクトリアさんは云いました。
「あるじ殿、可愛がってくれ、末永く仕える。」

 私たちは宿を引き払い、街を出て誰もいない場所へ移動しました。
「サリーさん、頼みます。」
 というと、サリーさんが目の前の空間に、ドアがあるかのように手を差し出し、何かを掴んだようにして、手を押し出しました。

 するとポカッと空間が開いたのです。

 サリーさんが、
「どうぞお嬢様、そしてビクトリアも。」
 私たちはその空間へ踏み込みました。

 踏み込んだ先は、九畳程度の細長い部屋でした。
 ロッカーみたいなものが置いてあり、それぞれにヴィーナス、サリー、ビクトリアと、札が貼ってありました。
 奥にドアが一つあります。

 サリーさんが服を脱ぎました。
「お嬢様、ビクトリア、ここでは服を脱ぐことが決まりです。服や装備はこのロッカーに入れてください。」
 サリーさんとビクトリアさんは、さっさと脱いでいます。

 サリーさんが、「ビクトリア、手伝って」と、私の服を脱がしにかかります。
 心なしか二人は楽しそうです。
 この二人は変態です、確信しました。

 私は、サリーさん達と次の間に入ります。
 次の間は医務室みたいな所で、ベッドが一つあるだけです、私はフラッシュライトみたいな光を浴びました。
 サリーさんに促され、一人で次の間に行きますと、今度は本当に小さい、三畳ほどの部屋でした。

 バスロープのようなものが三着、ルームシューズとセットで壁に掛けてあります、それぞれにネームプレートが付けてあり、私はそれをひっかけ、ルームシューズを履いて、サリーさん達を待ちます。

 しばらくすると、顔を上気させた二人が入ってきました。
 二人とも汗まみれです、恥ずかしいことって何でしょうね?

 二人を見ると、聞くなと顔に書いてあります。
 二人がバスロープを羽織りますと、ドアが開き、そこに女の子が一人立っていました。
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