ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

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第一章

17 聖堂にて1

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「ここが聖堂?」
「そう。商売の女神ディエーラが祀られているんだ」
「そうなのねぇ。で、『女神が微笑む場所に 花は開く』と言うのは、どういう意味なのかしら?」
「うーん、聖堂までくれば何かヒントがあるかとおもったんだけどなー」
「何のお話かわかりかねますが、『女神が微笑む場所』でしたら、聖堂の裏庭にディエーラの像がありますわよ」

 聖堂に到着すると、早速何かヒントがないか探し始めたロザリンドとトマス。それまで黙って二人の後を付いてきていたジュリアは、二人の会話を聞いてなぜか参戦してきた。

「ディエーラの像か、まず聖堂で祈りを捧げて、それから行ってみよう!」

 一行は祈りを捧げるために聖堂に入った。


 ホールを抜けて、いかめしい扉を開けると祈りの為の空間に出る。
 見上げた吹き抜けの天井には、女神ディエーラの物語が描かれた壮観な天井画。
 正面には巨大なステンドグラスから色とりどりの光が降り注ぎ、祭壇を照らしていた。

「わあ…なんて美しいの…」

 ロザリンドは思わず呟き、一歩一歩祭壇へと進み、祈りを捧げた。
 光に包まれながら祈るその姿は、まるで真上の天井画から抜け出し、舞い降りた天使のようで、トマスや祈りに訪れていた他の客、神官たちは息を呑んでその光景を見守っていた。

 そんな様子に、ジュリアは目を逸らすと、祈りもそこそこに先に聖堂を出た。

 ―――何よ。あんな田舎女…。何が幼馴染よ!わたくしはずっと、ずっとトマス様の事を!悔しい!

 ジュリアは手に持っていた扇子を地面に叩きつけようと手を振り上げた。

 ――その時


「本当に可愛いブローチよね!これ」
「良かったですね。お嬢様」
「うん!ほら、このつぶらな瞳がなんとなくエドワードに似てると思わない?」
「え?…そうでしょうかね?」
「会いたいわ。元気にしてるかしら…」


 ―――エドワードって誰?

 祈りを終えたロザリンドが、ルーシーと共に出てきたので、咄嗟に隠れたジュリアは、そのまま二人の話を聞いていた。
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