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エピローグ 金曜日のチョコレート
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いつもの起床時間よりかなり早く目が覚めた壱岐は、小さな寝息を立てながら、自分の腕に収まって眠る由希子の顔を眺めていた。
(寝顔も可愛いなぁ…。未だに夢みたいだ)
互いの想いを伝えあったあの日から、度々こうしてどちらかの家に泊まっているが、目が覚める度に壱岐はそんな幸福感に浸っていた。
そっとその頬を指で撫でると、「うーん」と小さく唸りながら由希子が目を覚ます。
寝起きでぼんやりとしながらも、壱岐の姿を捉えると由希子は微笑む。
「おはよう悠くん」
「おはよう由希子さん」
軽く啄むようなキスをすると、由希子は上半身を起こして伸びをした。
「うーん!ちょっと早いけど、起きよっか」
「俺はもうちょっと由希子さんの温もりを感じていたいなぁ…」
壱岐が由希子の腰に絡まりながらそう言うと、由希子は眉を下げながら、その頭を撫でる。
(前から思ってたけど、甘えん坊の大型犬みたい)
「ねぇ今、甘ったれの大型犬みたいとか思ったでしょ」
「え?なんでわかったの?エスパー?」
「ぶはっ!やっぱりね」
壱岐も上半身を起こすと、由希子を背後から抱え込む。
「由希子さんは自分で気づいてないかもしれないけど、実は考えてることが声に出てる時が結構あるよ」
「え!?うそでしょ?」
由希子が慌てて振り向くと、壱岐は微笑みながらその額にキスをする。
「嘘じゃないよ。俺、コンビニでバイトしてる時もよく聞いてたよ。チョコ選んでる時とか、全部声に出てるよ」
「やだもう!早く言ってよぉ…」
由希子が恥ずかしさのあまり、再び前を向いて俯くと、壱岐は抱え込む腕に少しだけ力を込め、赤くなっているその首筋から耳にかけて優しく口づけていった。
「でも、それで由希子さんに興味持ったんだよ。なんか可愛い人だなって」
耳元で囁くと、由希子を抱え込んだまま再びベッドに倒れこんだ。
◆
あくる日、由希子と壱岐は二人並んで会社のエレベーターに乗っていた。
「ところで、誰もいませんが、会社でイチャついてもいいですか?佐野さん?」
前を向いたまま壱岐が語り掛ける。
「ダメです。壱岐君」
同じく前を向いたまま由希子が返すと、エレベーターの扉が開き、大勢の人が乗り込んでくる。
二人で奥によけると、どさくさに紛れて壱岐が由希子の手を握ってきた。
驚いた由希子が慌てて壱岐を見上げると、壱岐もいたずらっぽい笑みを浮かべて、由希子を見る。
「エレベーターでこっそり手を握るのは?」
そっと壱岐が耳元で囁くと、やや赤面しながら由希子が答える。
「…善処しましょう」
そのまま二人はこっそりと指を絡めた。
今日は金曜日。二人で一緒にチョコレートを買いに行く。
(寝顔も可愛いなぁ…。未だに夢みたいだ)
互いの想いを伝えあったあの日から、度々こうしてどちらかの家に泊まっているが、目が覚める度に壱岐はそんな幸福感に浸っていた。
そっとその頬を指で撫でると、「うーん」と小さく唸りながら由希子が目を覚ます。
寝起きでぼんやりとしながらも、壱岐の姿を捉えると由希子は微笑む。
「おはよう悠くん」
「おはよう由希子さん」
軽く啄むようなキスをすると、由希子は上半身を起こして伸びをした。
「うーん!ちょっと早いけど、起きよっか」
「俺はもうちょっと由希子さんの温もりを感じていたいなぁ…」
壱岐が由希子の腰に絡まりながらそう言うと、由希子は眉を下げながら、その頭を撫でる。
(前から思ってたけど、甘えん坊の大型犬みたい)
「ねぇ今、甘ったれの大型犬みたいとか思ったでしょ」
「え?なんでわかったの?エスパー?」
「ぶはっ!やっぱりね」
壱岐も上半身を起こすと、由希子を背後から抱え込む。
「由希子さんは自分で気づいてないかもしれないけど、実は考えてることが声に出てる時が結構あるよ」
「え!?うそでしょ?」
由希子が慌てて振り向くと、壱岐は微笑みながらその額にキスをする。
「嘘じゃないよ。俺、コンビニでバイトしてる時もよく聞いてたよ。チョコ選んでる時とか、全部声に出てるよ」
「やだもう!早く言ってよぉ…」
由希子が恥ずかしさのあまり、再び前を向いて俯くと、壱岐は抱え込む腕に少しだけ力を込め、赤くなっているその首筋から耳にかけて優しく口づけていった。
「でも、それで由希子さんに興味持ったんだよ。なんか可愛い人だなって」
耳元で囁くと、由希子を抱え込んだまま再びベッドに倒れこんだ。
◆
あくる日、由希子と壱岐は二人並んで会社のエレベーターに乗っていた。
「ところで、誰もいませんが、会社でイチャついてもいいですか?佐野さん?」
前を向いたまま壱岐が語り掛ける。
「ダメです。壱岐君」
同じく前を向いたまま由希子が返すと、エレベーターの扉が開き、大勢の人が乗り込んでくる。
二人で奥によけると、どさくさに紛れて壱岐が由希子の手を握ってきた。
驚いた由希子が慌てて壱岐を見上げると、壱岐もいたずらっぽい笑みを浮かべて、由希子を見る。
「エレベーターでこっそり手を握るのは?」
そっと壱岐が耳元で囁くと、やや赤面しながら由希子が答える。
「…善処しましょう」
そのまま二人はこっそりと指を絡めた。
今日は金曜日。二人で一緒にチョコレートを買いに行く。
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