12 / 21
第四の記録
テープ B面
しおりを挟む
「よし、これでええな。せめて、記録だけでもせなあかん」
(B面に入っても、雑音が多い)
「…相変わらず、あの黒いモンは交番の前におる。さっきも言うたけど、あら絶対に普通やない。人間なんかやない」
(バタンと大きな音)
「うわっ!何や!」
(突然雑音が消え、無音状態が何秒か続く)
「ああ、本が落ちただけかいな。勘弁してくれ、こんな時に。ほんまに、どないしたらええねや…ここはガラス張りで丸見えやから、取り敢えず奥の部屋に隠れよか思うたけど、何やしらんけど、嫌な予感がすんねや。ここであれを見張っとかな、あれがこん中に、入ってきてまうんとちゃうやろか、って。有り得ん事かもしれんけど、怖てしゃあないねん。まあ、見張るいうても、凝っと見ることはようせえへんけどな」
(コトコトという音。本人が触れていないので、何の音であるかは不明)
「もうこうなったら、同僚に、電話かけて助けにきてもらうしかあらへんな。せやけど、どない説明したらええねん。やばいモンがおるから、来てくれっちゅうんかいな。けど、この際や。しょうもないこと言うてる場合やない」
(ゴソゴソという音。暫くすると、ピッピッという音。恐らく、携帯の電子音だと思われる。応答が無いのか、話す事なく、一定の間隔で電子音が鳴っている。掛け直しているのだろうか。その間、明らかに携帯の音とは思えないような音が微かに記録されていたが、本人が触れていないので不明)
「あかん、繋がりもせん。出よらんのやなくて、番号も間違うてへんのに、繋がらへんのや。訳が分からへん。ああっ!また近付いてるんちゃうか。いや、間違いあらへん。絶対さっきよりも近うなっとるで。見てみい。言わんこっちゃない。ほんまに近付いてきとんのや」
(男が喋っている間から、今度は奇妙な甲高い音を捉え始めた。こちらも不明)
「ん?あれが立っとんのは、よう見たら車道やないか。いっちゃん始めに見た時は、車道の向こう側におったのに…こらあっちゅう間に来てまうで。それまでにどないかせなあかん。っちゅうか、よう考えたら、車道に立ってるのもおかしいやんけ。幾ら夜や言うても、ここは暗なると一台も車が通らんような場所やない。あんなもんが道路に立っとったら、ごっついクラクション鳴らされるか、跳ね飛ばされるかのどっちかや。こんな事言うたらあかんけど、ほんま、跳ね飛ばしてほしいで、あんな…」
(発言の途中で雑音が入り、10秒程度声が途切れる)
「…よう考えたら、車だけやない。人もや。あの小母はんが帰ってから、一人もこの前を通ってへん。皆して、今日だけこん前通らんっちゅうのは、有り得ん…いずれにせぇ、あれは絶対にこっちへ辿り着きよる。それまでに、どんな手使てでも、ここから逃げなあかん。せやけど、どないして逃げたらええねん。表のドアは、まず論外や。裏口はあるけど、あそこを開けるには、鍵がいんねん。さっきはちょっと目ぇ放しただけで、えらい進みよった。鍵なんて捜しとったら、それこそあっちゅう間に…でもやるしかあらへんか…鍵は確か、机の中に入れとった筈や…よっしゃ、やったろやないか」
(この後20秒程度、突然無音状態になる。話の流れからして、移動する音が聞こえてもおかしくないのだが、雑音どころか、あらゆる音が聞こえなくなった)
「うわっ!」
(叫び声と共に、激しい雑音。恐らく、テープを落とした音だと思われる。その為、ここから声が先程よりも遠くなっている)
「えらいこっちゃ…電気が、消えよったで…あかん…何も見えへん…」
(またしても甲高い雑音)
「あかん、尻餅ついて、テープも落としてもうた。うわっ、街灯も消えとるやないか。いや、そんなモン、始めからついとったんか…?ともかく、ほんまに何も見えへん」
(ドンドンドンという音。窓を叩いているような音に近い)
「あかん、もう来よった…!」
(バンという大きな音。音の正体は不明)
「逃げな、逃げな、あかん…」
(ここから、男が何かを喋っていたかもしれないが、雑音が大きくなり、ほとんど聞こえない。途中、男の声のようなものともとれるような声が聞こえるが、釈然としない。その上、声は男のものでは無いような気もする。詳細は不明)
「うわあああああああああああっ…!」
(男の凄まじい絶叫)
「▲▲▲▲…」
(テープは、まだ残っているのにも関わらず、ここで切れる。最後の記号で記した部分については、全く分からない。聞き方によっては、何かが床を擦れる音とも捉えられるが、誰かの声のような気もする。声は決して男のものでは無いのだが、先程あった甲高い音とも似ているかもしれない。直感的に、声だと二人とも判断したので、括弧をつけて示してある)
(B面に入っても、雑音が多い)
「…相変わらず、あの黒いモンは交番の前におる。さっきも言うたけど、あら絶対に普通やない。人間なんかやない」
(バタンと大きな音)
「うわっ!何や!」
(突然雑音が消え、無音状態が何秒か続く)
「ああ、本が落ちただけかいな。勘弁してくれ、こんな時に。ほんまに、どないしたらええねや…ここはガラス張りで丸見えやから、取り敢えず奥の部屋に隠れよか思うたけど、何やしらんけど、嫌な予感がすんねや。ここであれを見張っとかな、あれがこん中に、入ってきてまうんとちゃうやろか、って。有り得ん事かもしれんけど、怖てしゃあないねん。まあ、見張るいうても、凝っと見ることはようせえへんけどな」
(コトコトという音。本人が触れていないので、何の音であるかは不明)
「もうこうなったら、同僚に、電話かけて助けにきてもらうしかあらへんな。せやけど、どない説明したらええねん。やばいモンがおるから、来てくれっちゅうんかいな。けど、この際や。しょうもないこと言うてる場合やない」
(ゴソゴソという音。暫くすると、ピッピッという音。恐らく、携帯の電子音だと思われる。応答が無いのか、話す事なく、一定の間隔で電子音が鳴っている。掛け直しているのだろうか。その間、明らかに携帯の音とは思えないような音が微かに記録されていたが、本人が触れていないので不明)
「あかん、繋がりもせん。出よらんのやなくて、番号も間違うてへんのに、繋がらへんのや。訳が分からへん。ああっ!また近付いてるんちゃうか。いや、間違いあらへん。絶対さっきよりも近うなっとるで。見てみい。言わんこっちゃない。ほんまに近付いてきとんのや」
(男が喋っている間から、今度は奇妙な甲高い音を捉え始めた。こちらも不明)
「ん?あれが立っとんのは、よう見たら車道やないか。いっちゃん始めに見た時は、車道の向こう側におったのに…こらあっちゅう間に来てまうで。それまでにどないかせなあかん。っちゅうか、よう考えたら、車道に立ってるのもおかしいやんけ。幾ら夜や言うても、ここは暗なると一台も車が通らんような場所やない。あんなもんが道路に立っとったら、ごっついクラクション鳴らされるか、跳ね飛ばされるかのどっちかや。こんな事言うたらあかんけど、ほんま、跳ね飛ばしてほしいで、あんな…」
(発言の途中で雑音が入り、10秒程度声が途切れる)
「…よう考えたら、車だけやない。人もや。あの小母はんが帰ってから、一人もこの前を通ってへん。皆して、今日だけこん前通らんっちゅうのは、有り得ん…いずれにせぇ、あれは絶対にこっちへ辿り着きよる。それまでに、どんな手使てでも、ここから逃げなあかん。せやけど、どないして逃げたらええねん。表のドアは、まず論外や。裏口はあるけど、あそこを開けるには、鍵がいんねん。さっきはちょっと目ぇ放しただけで、えらい進みよった。鍵なんて捜しとったら、それこそあっちゅう間に…でもやるしかあらへんか…鍵は確か、机の中に入れとった筈や…よっしゃ、やったろやないか」
(この後20秒程度、突然無音状態になる。話の流れからして、移動する音が聞こえてもおかしくないのだが、雑音どころか、あらゆる音が聞こえなくなった)
「うわっ!」
(叫び声と共に、激しい雑音。恐らく、テープを落とした音だと思われる。その為、ここから声が先程よりも遠くなっている)
「えらいこっちゃ…電気が、消えよったで…あかん…何も見えへん…」
(またしても甲高い雑音)
「あかん、尻餅ついて、テープも落としてもうた。うわっ、街灯も消えとるやないか。いや、そんなモン、始めからついとったんか…?ともかく、ほんまに何も見えへん」
(ドンドンドンという音。窓を叩いているような音に近い)
「あかん、もう来よった…!」
(バンという大きな音。音の正体は不明)
「逃げな、逃げな、あかん…」
(ここから、男が何かを喋っていたかもしれないが、雑音が大きくなり、ほとんど聞こえない。途中、男の声のようなものともとれるような声が聞こえるが、釈然としない。その上、声は男のものでは無いような気もする。詳細は不明)
「うわあああああああああああっ…!」
(男の凄まじい絶叫)
「▲▲▲▲…」
(テープは、まだ残っているのにも関わらず、ここで切れる。最後の記号で記した部分については、全く分からない。聞き方によっては、何かが床を擦れる音とも捉えられるが、誰かの声のような気もする。声は決して男のものでは無いのだが、先程あった甲高い音とも似ているかもしれない。直感的に、声だと二人とも判断したので、括弧をつけて示してある)
0
あなたにおすすめの小説
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】ホラー短編集「隣の怪異」
シマセイ
ホラー
それは、あなたの『隣』にも潜んでいるのかもしれない。
日常風景が歪む瞬間、すぐそばに現れる異様な気配。
襖の隙間、スマートフォンの画面、アパートの天井裏、曰く付きの達磨…。
身近な場所を舞台にした怪異譚が、これから続々と語られていきます。
じわりと心を侵食する恐怖の記録、短編集『隣の怪異』。
今宵もまた、新たな怪異の扉が開かれる──。
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる