ペンギンなう❤ レベル100を目指して戦っていたが死んじゃったので、ペンギンに転生して友達作ってほのぼのする話

サカナタシト

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第十話 ペンギン、情けをかける(情けは人のためならずって話) その2

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「一体何があったんだね」
「いや実はね、この子がスットロさんに薬草を売ってたんだけど――」
「そうなんです。あたしがスットロさんに薬草を売ってたんです」

 理由を聞いてきた名主に、仲買商の男が説明を始めたが、そこに割り込むようにデミが答えた。

「それで解毒作用のあるこの薬草と交換に、薬草の目利きを教えてもらってたんです、スットロさんに。雑草も混ざってるかもしれないけど良かったらどうぞ、って」

 デミは“交換”というところを強調する。

「交換って……これはけっこう高級な物なんだよ」

 納得しがたい表情の仲買商の男に、デミは首を振りながら答えた。

「高級な品だからこそです。今日は麻袋一袋をおじさんにタダであげて、損したって思うかもしれないけど、でもそれはあたしの知識としてずっと残ります。そしたら今度はずっとこの高級薬草を採る事ができるから、むしろおじさんには感謝してるんです」
「デミ……」

 詐欺師の薬師は言葉も出ないようだ。

「フフフ……そうだな、ウチはスットロさんの薬には世話になってるし。な、兄貴」
「ハハハ、デミには困ったもんだ。紛らわしい事しちゃだめだぞ」

 そういってシルベスタは太い腕をつかってデミの頭をなでた。
 デミもシルベスタもアーノルドも、なんてお人好しなんだ。
 そんな甘ちゃんじゃ、この世知辛い世の中騙され続けることになるぞ。
 それに、そんなんじゃこの詐欺薬師のオヤジも改心しないぞ。
 オレは心の中で毒つく。

「ペンペン、お前人の言葉がわかるの? 」
「お前、号泣してるよ」

 いかん心の汗が……、でも、エエ話やな~。
 それに、そういうジョシュアもジョアンも半泣きだった。
 すると反対隣に立っていたメグも半泣きで、ハンカチを差し出して涙を拭いている。
 なんだよ、みんな泣いてんジャン。
 まあ、心の中では毒ついてもやっぱり、オレも鬼じゃないし、みんなもあの薬師の娘の泣き顔は見たくないようだ。
 みんながそれで良いって言うならよしとするか。

「まあ当事者が良いって言うなら、罪に問う事は無いけど、スットロさんにはもう少し話を聞かせてもらうよ」

 なんとなく事情を察した名主も、事を荒立てない方向で話をまとめた。
 名主に連れて行かれるスットロと、手を引かれたその娘がトボトボと広場を離れようとしている。
 オレは娘を追いかけると、その寂しそうな肩に手をかけた。

「ペ、ペンギン? なんでここに? 」

 娘は初めてオレに気が付いたようで、かなり驚いた顔をしている。
 なぜここにペンギンがいるのか? それはオレも知りたい。気がついたら、近くの森に居たんだからな。
 そんな娘の言葉を無視して、オレはジョシュアに買ってもらった飴を娘に差し出した。
 娘に罪は無いからな。オレにできるのはこれくらいしかないけど、飴でも舐めて元気出せよ。
 娘は突然差し出された飴を見て少し驚いたようだが、一口舐めて「甘い」と呟いた。
 それを見ていた薬師が、半泣きの変な笑顔でオレに声をかけてきた。

「ピグエモン・・・・・・だったかな」

 しまった、このオヤジはデミから、変な名前を聞いていたんだった。

「グエッ!? 」
「ピグ…エ…え? 変な名前」

 突然、変な名前で呼びかけられて、オレは違うぞと言ったが、返事をしたと勘違いされたようだ。娘はオレの名前をピグエモンで認識してしまったらしい。

「ピグエモン、キミはやさしいね。良かったら娘の友達になってくれるかい? この子はまだ友達がいないんだ」
「そういえば薬師のおじさん、奥さんが亡くなって、つい最近こっちに引っ越してきたばかりだったな」

 デミが独り言を呟いた。
 飴をあげただけで友達と認められるなんて、いいのか? 
 相手はペンギンだぞ? 人間じゃないんだぞ? 
 まあ、オレとしては渡りに船だから、断る理由は無いけどね。
 娘のために情けをかけてあげたら、自分に返ってきた。
 情けは人のためならず、ってワケだ。うん、計算どおり。

「グワッ(わかった)」
「フフフ、ピグエモンよろしくね」

 それをみていたジョシュアたち姉弟がオレに飛びついてきた。

「え、ずるいピグエモン、あたしたちも友達だよね」
「何言っちゃってるんだよ姉ちゃん、ポコペンって名前付けたの僕だよ、僕こそ友達だよ」
「何言ってるの、僕がペンペンの友達なんだよ」

 三人がケンかを始めた。薬師の娘はあきれている。
 ケンカをやめて、オレのために争わないで。……なんて寒いことは言いたくないが、お前らケンカする必要ないだろ。
 友達って一人しかいないモンじゃないんだから。
 そこに双子の妹アニーとエニーと従妹のエマが来てアリシャと何かおしゃべりを始めた。
 アリシャもこの村で友達が出来たようで良かったな。オレもその内の一人だよね? 
 これで友達が四人出来たって、ことでいいのかな。

 テレッテレッテッテ~~ンンンンン♪
 どこかで何か効果音が聞こえたような気がした。
 これでレベルアップしたってことになるのか?
 これでレベル四かな。レベル百まで先は長いな。

 ちなみにこの後、薬草は改心した薬師が適正価格で買い取ってくれるようになった。
 ドクキエ草を含めると今までよりもだいぶ高い値段になって、デミや家族はすごくビックリしていたが、それはまた別の話だ。

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