ペンギンなう❤ レベル100を目指して戦っていたが死んじゃったので、ペンギンに転生して友達作ってほのぼのする話

サカナタシト

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第十一話 ペンギン、魔法を試す

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 オレの名はペンペン。何処にでもいるはぐれのペンギンだ。
 レベル百超の冒険者を目指し、今日もせっせと友達を作る日々をすごしている。
 
 ・・・・・・ちょっと、自分でも何言ってるんだか分かりません。
 こいつの頭かなりカワイソウなことになっている、と思われるだろうが、事実なんだ。
 もう少し詳しく説明すると――、
 オレは生前、レベル百を目指して修行をしていたが果たせず、滝行中にレベル九十九で死んでしまい、駄女神’sから、友情パワー×百人分で、レベル百の壁をブレイクスルーしろといわれ、つい先日、ペンギンに生まれ変わったのだ。
 これでもまだわけが判らない? 
 でもまあそういうことだと納得して欲しい。
 レベル百の壁は友情パワーがないと越せないらしい、そしてカワイイペンギンは友達作りに最適らしい。

 というわけで、オレはさっそく人間の村に行って友達を作るべく行動を開始した。
 デミという十五歳の女の子とさっそく友達になり、その弟たち、村の薬師の娘とも友達になった。
 うん計算どおり。
 駄女神’sの話を信じるなら、これでレベル四になったはずだ。

『信じるものは救われるのじゃ』

 なんだか変な声が聞こえてくるが、気のせいだ。
 今まではレベル0で魔法も格闘術も何も使えなかったが、果たして何か使えるようになったかな。

 レベルアップしたか試してみるべく出かけようと思ったが、そう簡単にはいかなかった。
 ヨチヨチ歩いているところを、この家の女共に捕まった。

「あら、ペンペン急いでどこ行くの? 」

 後ろから抱き上げられて、オレの腹に頬ずりするのは、オレが居候している(ペットで飼われてるんじゃないよ、あくまでも友達として居候してるんだよ)この家の大黒柱シルベスタの長女のデミと、シルベスタの弟の妻ジェシカだ。

「あ~ん、もうフカフカ」
「いやジェシカ姉、こういうのをモフモフっていうのよ~」

 ペンギンの羽毛は水中でも温かいように空気が含まれていて、乾いているとフカフカでモフモフになっている。

『グエ~グエ~(俺は忙しいんだから離せ)』

 オレが短い腕でデミの顔を押しのけようとするが、いかんせんペンギンの腕では逃げられる物ではない。

「いや~、スッゴイ喜んでる~」
「いやいやジェシカ姉、単純に嫌がってるんだよ、でもその冷たい感じがまたたまらない~」

 変態女だ。
 だがオレの抵抗もそこまでだった。
 ソファの上に寝転がされて腹をなでられるとなんだか気持ちが良くなってきた。
 犬が腹をなでられているみたいなものだ。なんだか犬の気持ちがよく分かった気がした。
 だが、ふと立てかけてあった姿見に写ったオレの格好をみてオレは愕然とする。羞恥心とか尊厳とか、人間として捨ててはいけない何かを捨ててしまった気がした。
 これではいけない。
 やっとの思いでデミたちを押しのけ、オレはようやく家を脱出する。
 家を出たところで、シルベスタの奥さんの妹メグの怒った声が庭から聞こえてきた。

「コラ、エマ。どこ行くの? あんた昨日服を泥だらけにして帰ってきたんだから、今日は遠くに遊び行っちゃダメよ。あっ」

 なにを怒っているんだ、と声の方を振り返るとその瞬間、五歳の女の子でデミの母親の妹メグの娘、つまりデミにとっては従妹にあたるエマが、オレの脇を通り過ぎて村の門の方向へ走って行くところだった。

「コラ~、話はまだ終わってないからね。もし汚したらあんた裸でいてもらうからね~」

 洗濯物を山ほど抱えたメグが、鬼の形相でその後姿に怒鳴り声を上げていた。
 大家族で、しかも病み上がりでまだ家事がまだ出来ない女性が二人もいる為、家事はメグとジェシカ、そして薬草採取がなくなったデミの仕事だった。
 大家族なだけに洗濯だけでも一苦労なんだろう。

「あっペンペン、おはよう」

 と思っていたらメグがオレを見つけて駆け寄りざま抱きついてきた。
 あ~こいつもか~。頬ずりするのを両手で押し返す。

「あなたは偉いわね~、服を汚さないから」

 そりゃそうだ。オレ、服着てないからな。
 メグにとってはペットだろうが友達だろうが、洗濯物を出すやつは敵なのかもしれない。
 だが、もしこの間、薬草を作るときに台所を汚しまくったのがオレだとばれたらどうなるかな・・・・・・。
 オレはメグからす~っと目線をそらす。何かを感づいたのか、メグがドスの聞いた声で聞いてきた。

「あれ、ペ ン ペ ン? あんたも何か後ろ暗いことがあるのかな? 」

 なんだか髪が逆立って、笑顔がどす黒くなっている。
 オレはあわてて、首を横に振りメグの腕を振り切って、テテテッと逃げ出した。
 なんでこの家の人間は、ペンギンに普通に話しかけるんだ? 謎だ。
 まあそれはそれとして、うん、メグには逆らわないようにしよう。

 森までやってきた。
 森までの道のりはかなり簡単になった。今までの半分ほどの時間で着いた。体が軽いのだ。これもレベルが上がったお陰か。
 さっそく効果を実感したオレは、機嫌よくさらに他に何か効果があるのか検証してみることに。
 巾着袋に入っていた武器を取り出して構えてみるが、武器は相変わらず持てなかった。こればかりは体格の問題も有るので、専用の小型の武器が無い限り無理かな。
 だったら、格闘術か。
 殴る、蹴る、突く、ぶちかますといった打撃系でどれだけ威力が上がったか、まずは立ち木や岩などで試してみる。
 手ごろなオレと同じ大きさほどの岩があったので拳を固めて正拳突を繰り出す。

「グッギャーーーーッ! (イッテーーーーッ! )」

 岩にぶち当たったオレの拳? というかヒレ(フリッパーというらしい)の手が変な方向に二、三回曲がっている。
 全然ダメだ。まるで役に立たない。
 まっすぐ突くのがダメならフックのように横から殴ってみる。
 ペチンと小さな音がしただけだ。殴るというよりも平手打ち。しかも威力は無い。
 殴るのは無理だな。体の仕組みがそれように出来ていないようだ。
 蹴りはどうか、・・・・・・足が上がらん。
 短足すぎて、岩まで足が届かなかった。
 それじゃあ、少し離れた所からドロップキックはどうか。
 トトトトトトトトッ、ピョン、ドサッ。
 勢いがまるで無い。そりゃそうだ。足が短いからまともに走れない。
 オレはジャンプした所から、ほとんど離れていない場所で横向きに倒れただけだった。
 エルボードロップに近い感じ? ・・・・・・キックには程遠いな。
 体当たりならどうだ? 
 オレは少し離れたところから勢いをつけて岩に体当たりをする。
 トテトテトテッ、ムギュッ。
 やはりスピードがないから、威力も何もあったもんじゃない。
 幼児がチョット離れたところからお母さんに駆け寄って抱きついた感じ、と言ったらぴったりだろうか。
 今のレベルでは、打撃系は、あきらめよう。だがきっとレベルも上がれば腕の力も強くなり岩も割れる様になるだろうし、身体も成長すれば足も長くなって蹴り足も岩まで届くようになるはず? ・・・・・・足の長いペンギンってのは不気味だな。変な妄想は止めよう。
 続いてオレはサブミッション、関節技を試してみようと思ったが、試してみる相手がいない。さすがに岩や立ち木相手に関節技というわけにはいかないだろう。
 次は、・・・・・・魔法だな。
 魔法には魔力が必要だが、それは問題ない。
 拡張魔法のかかった巾着袋は持つものの魔力量によって中身の大きさが変わるのだが、少なくとも使えている時点で魔力は有るのだから。
 生前のオレは魔法は何でも出来た。
 火、水、風、土の基本魔法から、上級の聖、光、闇、雷、時空、応用で氷、嵐、熱風、土石流、飛行。そして精霊と契約して精霊の得意とするオリジナルの魔法も行使したものだ。
 そして生前のオレは、五歳の頃から森で狩りをしていて、レベルが三になった頃、六歳の時から魔法が使えるようになった。
 レベルが四になった今のオレに使えないはずが無いのだ。
 まずは火の魔法、心の中で叫ぶ。
 枯葉よ燃え上がれ!
 オレは無詠唱で火の魔法を発動させる。
 ・・・・・・足元の枯葉に変化は無い。
 水魔法も試してみる。
 水よ現われよ!
 オレの傍で水が湧く気配は微塵も無い。
 ふむ、無詠唱がいけなかったかな? 
 そういえば確か、無詠唱で魔法を使えるようになったのはレベルがそこそこ上がってからだったような気がする。

「グアー…略…(響け響け風の音、照らせ照らせ命の火生きとし生ける全ての命の源、この世の理をたがえて火を灯せ、枯葉よ燃え上がれ)」

 オレは火の魔法を詠唱してみる。
 全然、火が点かない。 
 オレはもっと魔力を込め、さらに腕を振り上げ体内で魔力を循環させながら魔法を詠唱する。
「グアー・・・中略・・・(響け響け風の音、照らせ照らせ命の火生きとし生ける全ての命の源、自然の摂理を書き換えて風よ起これ、枯葉よ舞い上がれ)」
 ハァハァハァ。
 疲れるほど力を入れたが微動だにしない。オレの鼻息の方が強いんじゃないかと思うくらい、無風だ。
 魔法はまだ使えないのか、それとも詠唱が悪いのか。
 やはり、ギャーとかグオーとか叫んでいるが、とても魔法の詠唱をしているようには聞こえない。これが悪いのだろう。
 傍目には、手を上下にさせて踊りながら森の中で叫ぶ、たんなる怪しいペンギンだ。
 そう考えると、誰に見られているわけではないが、妙に恥ずかしい。
 やはりあの駄女神’sのいうことを信じたオレがバカだったのかもしれない。
 ペンギン諦めが肝心だ。
 どこか首をくくるのに枝振りのいい木は無いかな。

『ま、待つのじゃ。諦めるのはまだ早いのじゃ』

 どこかからそんな声が聞こえてきたような気がする。
 そうだな、もう少し検証してみるか。

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