29 / 83
第29話:新しい場所を求めて①
しおりを挟む
「......んっ......ん~、ふわぁ~よく寝たぁ......」
カーテン越しの柔らかい光が、
ホテルの部屋を静かに照らしている。
視界の端にはゼニスの淡い光が浮かび、
いつもの一定リズムでゆるく揺れていた。
((──おはようございます、遙。
本日も体調は安定しています。))
「おはようゼニス!今日は物件見に行く感じだね~!」
胸の奥が、
じわっと熱を帯びる。
((──はい。))
「ん~、じゃあ支度しよっか!」
掛け布団をぱさっと押しのけ、
軽く伸びをしながらベッドから降りる。
そのままシャワールームへ向かい、
サッと温かいシャワーを浴びた。
すっきりしたところで、
昨日買ったワンピースに袖を通し、
サンダルも合わせてみた。
「よし、準備OK~!」
((──準備完了を確認しました。))
「毎回確認するよね~、ふふふ」
((──はい。遥の状態確認は重要事項です。))
「はいはい、頼りにしてますよ~ゼニスさん♪」
((──では、該当不動産業者へ向かいましょう。))
「OK~!じゃあ行こっか!」
エレベーターを降り、
ロビーへと歩いていく。
外へ出ると、
景色はいつも通りで、
なにも変わらない。
「不動産屋さんは、ひより駅の方なのかな?」
((......おっと、外だったね......ふふ))
((──はい。ひより駅方面に向かいましょう。))
((どの辺なのかな?))
((──ひより駅北口方面です。))
((なるほど~、あっちなんだね。))
外へ出て、ひより駅へ向かって歩き始める。
道沿いを進むと、右手に《おしゃれセンターしもむら》があって、
そのまま通りすぎると、正面には駅ビル《ヒヨリナ》が見える。
駅ビル前の、ひらけた広場を横切り、
そのまま入口へ。
南口から北口へと抜ける通路を、まっすぐ歩いていく。
北口に出ると、南口より小さな広場があり、
その向こうに、不動産屋の看板が見えた。
((あの黄色い看板のことかな?《サンクチュアリ27》かぁ……
なんかおしゃれな感じの不動産屋さんだね~。))
((──はい。《サンクチュアリ27》が該当不動産業者です。))
((じゃ~入ってみようか。))
入口の前に立つと、
静かな電子音とともに、すっと自動ドアが開いた。
店内は明るくて、木目調のカウンターが正面に見える。
落ち着いた雰囲気があり、
外のざわつきとは少し違う静けさがあった。
「いらっしゃいませ!」
受付の女性が笑顔で声をかけてくる。
まさにテンプレート通り......
((どの店も同じなんだよな~......ホント録音みたい......))
そんな風に感じるのにも慣れて、
気にはならなくなってきている。
「すみません、物件を見たいんですけど......」
受付の女性に声をかけた。
「物件はお決まりでしたか?」
「はい、気になっているのがありまして......」
((ゼニス、なんて物件なの?))
((──候補物件は、
《ヒヨリ北レジデンス101》、
《コモレビテラス204》、
《ステラハウスA-3》の3件です。))
「えっと、ヒヨリ北レジデンス101と、
コモレビテラス204と、ステラハウスA-3の3件なんですけど......」
受付の女性は軽く頷き、やわらかく微笑んだ。
「かしこまりました。すぐ担当の者をご案内いたしますね。」
そう言うと、奥へ向かって声をかけた。
奥から足音が近づいてきて、
スーツ姿の男性が姿を見せた。
「お待たせしました。《サンクチュアリ27》の佐藤と申します。」
担当者の男性は名乗りながら、
にこやかに会釈をしてくる。
「ご希望の物件を案内させていただきますね。」
((──担当者は佐藤というようです。))
((いやいや、そこは佐藤『さん』でしょ......ふふ))
「はい、よろしくお願いします!」
自然と姿勢を整えながら返事をすると、
佐藤さんはタブレットを軽く操作し、確認するように画面へ視線を落とした。
「これから、すぐに内見できますが、いかがいたしますか?」
((──即時の内見が可能なようです。))
((いいね!こんなすぐ内見できるんだね~!
佐藤さんって暇なのかな?......ふふっ))
((──暇という表現は適切ではありません。
今の時間に偶然空きがあったと考える方が妥当です。))
((はいはい、冗談だよ~......真に受けないでよゼニス......ふふふ))
「はい!お願いしたいです!」
「では、準備をしてきますので、少々お待ちください。」
そう言い残して、佐藤さんは奥へと姿を消した。
((このまま即入居とかもあり得たりしてね......
そんなわけないか。))
((──可能性はあります。
本日の候補はすべて新築で、家具、家電つきの物件です。
即入居が可能な条件が揃っています。))
((ってことは......わたしが決めさえすれば、なんじゃない?))
((──はい。遙が入居の意思を示し、
手続きが完了すれば即入居が可能と推測できます。))
((おぉ~......ホテル暮らしともお別れかもね~......うふふ))
いつも通りゼニスと脳内会話をしていると、
準備を終えた佐藤さんが戻ってきた。
「それでは、ご案内いたしますね。」
「はい、よろしくお願いします。」
佐藤さんの後について店の外へ向かう。
自動ドアが開き、光が差し込む。
内見のわくわく感を抱えて、
物件へと向かった。
カーテン越しの柔らかい光が、
ホテルの部屋を静かに照らしている。
視界の端にはゼニスの淡い光が浮かび、
いつもの一定リズムでゆるく揺れていた。
((──おはようございます、遙。
本日も体調は安定しています。))
「おはようゼニス!今日は物件見に行く感じだね~!」
胸の奥が、
じわっと熱を帯びる。
((──はい。))
「ん~、じゃあ支度しよっか!」
掛け布団をぱさっと押しのけ、
軽く伸びをしながらベッドから降りる。
そのままシャワールームへ向かい、
サッと温かいシャワーを浴びた。
すっきりしたところで、
昨日買ったワンピースに袖を通し、
サンダルも合わせてみた。
「よし、準備OK~!」
((──準備完了を確認しました。))
「毎回確認するよね~、ふふふ」
((──はい。遥の状態確認は重要事項です。))
「はいはい、頼りにしてますよ~ゼニスさん♪」
((──では、該当不動産業者へ向かいましょう。))
「OK~!じゃあ行こっか!」
エレベーターを降り、
ロビーへと歩いていく。
外へ出ると、
景色はいつも通りで、
なにも変わらない。
「不動産屋さんは、ひより駅の方なのかな?」
((......おっと、外だったね......ふふ))
((──はい。ひより駅方面に向かいましょう。))
((どの辺なのかな?))
((──ひより駅北口方面です。))
((なるほど~、あっちなんだね。))
外へ出て、ひより駅へ向かって歩き始める。
道沿いを進むと、右手に《おしゃれセンターしもむら》があって、
そのまま通りすぎると、正面には駅ビル《ヒヨリナ》が見える。
駅ビル前の、ひらけた広場を横切り、
そのまま入口へ。
南口から北口へと抜ける通路を、まっすぐ歩いていく。
北口に出ると、南口より小さな広場があり、
その向こうに、不動産屋の看板が見えた。
((あの黄色い看板のことかな?《サンクチュアリ27》かぁ……
なんかおしゃれな感じの不動産屋さんだね~。))
((──はい。《サンクチュアリ27》が該当不動産業者です。))
((じゃ~入ってみようか。))
入口の前に立つと、
静かな電子音とともに、すっと自動ドアが開いた。
店内は明るくて、木目調のカウンターが正面に見える。
落ち着いた雰囲気があり、
外のざわつきとは少し違う静けさがあった。
「いらっしゃいませ!」
受付の女性が笑顔で声をかけてくる。
まさにテンプレート通り......
((どの店も同じなんだよな~......ホント録音みたい......))
そんな風に感じるのにも慣れて、
気にはならなくなってきている。
「すみません、物件を見たいんですけど......」
受付の女性に声をかけた。
「物件はお決まりでしたか?」
「はい、気になっているのがありまして......」
((ゼニス、なんて物件なの?))
((──候補物件は、
《ヒヨリ北レジデンス101》、
《コモレビテラス204》、
《ステラハウスA-3》の3件です。))
「えっと、ヒヨリ北レジデンス101と、
コモレビテラス204と、ステラハウスA-3の3件なんですけど......」
受付の女性は軽く頷き、やわらかく微笑んだ。
「かしこまりました。すぐ担当の者をご案内いたしますね。」
そう言うと、奥へ向かって声をかけた。
奥から足音が近づいてきて、
スーツ姿の男性が姿を見せた。
「お待たせしました。《サンクチュアリ27》の佐藤と申します。」
担当者の男性は名乗りながら、
にこやかに会釈をしてくる。
「ご希望の物件を案内させていただきますね。」
((──担当者は佐藤というようです。))
((いやいや、そこは佐藤『さん』でしょ......ふふ))
「はい、よろしくお願いします!」
自然と姿勢を整えながら返事をすると、
佐藤さんはタブレットを軽く操作し、確認するように画面へ視線を落とした。
「これから、すぐに内見できますが、いかがいたしますか?」
((──即時の内見が可能なようです。))
((いいね!こんなすぐ内見できるんだね~!
佐藤さんって暇なのかな?......ふふっ))
((──暇という表現は適切ではありません。
今の時間に偶然空きがあったと考える方が妥当です。))
((はいはい、冗談だよ~......真に受けないでよゼニス......ふふふ))
「はい!お願いしたいです!」
「では、準備をしてきますので、少々お待ちください。」
そう言い残して、佐藤さんは奥へと姿を消した。
((このまま即入居とかもあり得たりしてね......
そんなわけないか。))
((──可能性はあります。
本日の候補はすべて新築で、家具、家電つきの物件です。
即入居が可能な条件が揃っています。))
((ってことは......わたしが決めさえすれば、なんじゃない?))
((──はい。遙が入居の意思を示し、
手続きが完了すれば即入居が可能と推測できます。))
((おぉ~......ホテル暮らしともお別れかもね~......うふふ))
いつも通りゼニスと脳内会話をしていると、
準備を終えた佐藤さんが戻ってきた。
「それでは、ご案内いたしますね。」
「はい、よろしくお願いします。」
佐藤さんの後について店の外へ向かう。
自動ドアが開き、光が差し込む。
内見のわくわく感を抱えて、
物件へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる