ゼニスは視界の隅で笑う~争いはバトルで裁かれる、監視社会の現代版コロッセオ~

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第56話:久しぶりの外食

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カーテンの隙間から、
いつも通り変わらない光が差し込む。

「んっん~......」

((──おはよう、遥。))

「おはよ、ゼニス。」

((──睡眠は、
  いつも通り安定していたよ。))

「疲れてたのかな......
 なんか、すぐ寝ちゃったもんね、ふふっ」

((──そんな時は、
  ゆっくり休めばいいんだよ。))

「うん、ありがと。」

軽く伸びをしてから、
ベッドを降りキッチンへ。

コーヒーをカップに注ぎ、
ソファーに座り一口飲む。

まだ眠っていた意識が
少しずつクリアになってくる。

「ふわぁ~......
 まだ眠いかも......」

((──うん。))

「シャワー浴びようかな。」

((──うん。そうだね。))

浴室へ行き、
少しぬるめのお湯でシャワーを浴びる。

さっきまでの眠気は、
どこかへ行ったかのように
意識がはっきりとした。

「完全に目が覚めた感じだね。」

((──うん。))

「なにしようかな~......
 今日は......」

ソファに腰を下ろし、
カップのコーヒーを飲む。

「たまには、
 外でご飯食べようかな。
 ゼニスはどう思う?」

((──とても良いと思う。))

「でしょ!」

((──うん。
  唐揚げがあれば、さらに良いよね。))

「ホント、
 どんだけ唐揚げ好きなのさ、あっはは」

((──唐揚げとチョコレートは、
  非常に良いものなんだ。))

「うんうん、知ってる~。」

ソファから立ち上がり、
サッと着替えをして準備を済ませる。

「北口の方には飲食店ってないもんね?」

((──うん。
  北口側は住宅エリアで、
  スーパーやコンビニはあるけれど飲食店はないね。))

「だよね。南口の方にいくかヒヨリナか......」

((──うん。そうなるね。))

「ヒヨリナよりは、南口の方かな~。」

((──うん。そうしよう。))

バッグを肩から下げ、
玄関に鍵かけて外に出る。

「いつも通り天気はいいね。」

((──そうだね。))

「ひかり食堂の方って、
 他にも飲食店あるのかな?」

((──ホテルの裏側の区画だね。))

「そうそう。」

((──あの通りは、
  他にも飲食店があるよ。))

「だよね、なんかありそうだもんね。」

ゼニスと会話をしながら、
北口からヒヨリナを抜けて
南口広場へと辿り着く。

「とりあえず、
 ひかり食堂の方に行ってみよっか。」

((──うん。))

「唐揚げありそうなとこにしないとね、ふふっ」

((──うん。そうだね。))

おしゃれセンターしもむらの脇を
ひかり食堂の方に向かって歩く。

特盛の唐揚げ弁当を買ったお店の隣にも、
食堂が並んでいる。

「この路地って飲食店街って感じだね。」

((──うん。))

「なんかいい感じのお店探そっ!」

((──うん。いいね。))

和食のお店やイタリアンレストランなど、
様々なジャンルの飲食店が立ち並んでいた。

「このお店はどうかな?
  表の看板に唐揚げ定食って書いてあるよ。」

((──うん。『キッチン・モナド』の唐揚げは、
  衣のサクサク度が85%と推定されるよ。))

「衣のサクサク度って、
 どうやって算出したわけ?あはは」

((──うん。
  それは、『キッチン・モナド』を訪れた人の評価を
  分析した結果なんだ。))

「ひかり食堂の時は分析してないじゃん。」

((──それはね、
  ひかり食堂には評価が存在しなかったからなんだ。))

「なるほど、評価がないから分析できなかったわけね。」

((──うん。))

「あっ!それならさ、
 ここの飲食店街でサクサク度が100%に近い
 唐揚げのお店探そうよ!っていうか探してよ!ふふ」

((──うん。
  データを集計するから少し待っててね。))

「OK、ぜんぜん待ってるよ。」

ゼニスの光が少し輝きを増して、
データを分析している雰囲気を出している。

ほどなくして、
光はいつもの明度に戻っていた。

((──遥、お待たせ。
  この飲食店街の唐揚げデータをまとめたよ。))

「さすが、ゼニス!
 それで、結果はどうだったの?」

((──評価を分析した結果、
  『キッチン・モナド』よりサクサク度の高い
  飲食店はなかったよ。))

「そうなんだね~......
 でも唐揚げって、サクサクもいいけどしっとり系もアリでしょ。」

((──そうだね。
  そこは好みの部分になるかな。))

「ゼニスは、サクサクとしっとりはどっち派なの?」

((──遥と違って、
  噛んで食べることができないから、
  あまり重要ではないかもしれないね。))

「そうだよね、あっはは」

((──だから、遥の好みで決めてね。))

「うん、わかった。
 じゃ~せっかくだし『キッチン・モナド』にしよっ。」

((──うん。そうしよう。))

入口を開け店内へと入ると、
香ばしい揚げ物やカレーなどスパイスの匂いが食欲を刺激する。

((すっごい食欲湧く匂いだね~。))

((──うん。遥の反応から、
  選択して良かったことが伝わってくるよ。))

((でしょ。))

入口付近で立ち止まっていると、
女性の店員さんが気が付いてくれた。

「いらっしゃませ。
 空いてるお席にどうぞ。」

「はい。ありがとうございます。」

店内には飲食を楽しんでる人も居て、
半分くらい席が埋まっていた。

空いてるテーブル席を見つけ
椅子に座りメニューを手に取る。

((やっぱり唐揚げ定食だよね。))

((──うん。
  でも、他に食べたいものがあるなら、
  唐揚げ定食じゃなくてもいいと思うよ。))

((うん、でも唐揚げだろうね。))

店員さんが
水の入ったコップをテーブルに置く。

「ご注文はお決まりですか?」

「はい、唐揚げ定食をお願いします。」

「唐揚げ定食ですね、少々お待ちください。」

注文を伝えると
店員さんは厨房へと入っていく。

コップの水を飲みながらメニューを眺め、
唐揚げ定食の到着を待った。
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