89 / 100
婚姻後
16
しおりを挟む愛するシュヴァリエ様と、可愛すぎる息子二人に囲まれる僕は、幸せな毎日を送っていた。
二番目に生まれたセナは、恥ずかしがり屋で口数が少ない。
それでも僕にくっついて離れない甘えん坊なところは、父親にそっくりなんだ。
髪色以外はシュヴァリエ様似で可愛いし、間違いなく異世界人の血が流れている。
それなのに、ミラジュー王国の人たちにはブサイクに見えているみたいだ。
シオンの時のように、お披露目会を早めて欲しいと言われなかったんだ。
……こんなに可愛いのに、失礼だと思う。
それでも僕たち家族が溺愛しているから、セナはとてもいい子に育っている。
多分、頭の回転も速い。
大人の早口の会話も、理解しているような表情をしている時があるんだ。
そして、運動神経がすこぶるいい。
そこもまた最強騎士である父親に似たのだろう。
ただ……。
「どうして二刀流なの?」
三歳の誕生日プレゼントに、僕の両親から子供用の剣を二本貰ったセナ。
シュヴァリエ様だけでなく、第二騎士団の人たちも舌を巻くくらいの見事な剣捌きだ。
「トーマに、ならった、です」
「……トーマ? 父様の間違いじゃないの?」
「正確にはトーマがやってたゲームなんだけど。そんなことを話したら、母様がニホンを思い出してしまうかもしれない……」
「え? 今、なにか言った?」
ふるふると首を横に振るセナは、白銀の髪の剣の師匠のもとへいく。
何年経ってもかっこいいルドルフくんは、二人を可愛がってくれているんだ。
でもここから、ちょっとした揉め事が起こる。
「やるぞ」
「っ、セナ! ルドルフは、私の師匠なのだ!」
「……剣は、おれだけでいい」
「ぐぬぬっ。し、しかし! 私もやるのだ!」
「さ、三人で仲良く稽古しましょうか」
僕の愛する息子二人が、ルドルフくんを取り合っている。
恋のライバルになるかもと焦っているシオンは、僕に似て運動音痴だから、剣術はからっきしだ。
……誠に申し訳ない。
「あしでまといになるなよ」
「~~ッ!! セナはかっこいいのだっ! 兄様が怪我をしないように、心配してくれているのだろう? セナはとっても優しい子なのだ」
「っ、ふん」
そっぽを向くセナだけど、頬を赤らめている。
明るくて優しいシオンのことが大好きなんだ。
結局、二人についていけないシオンは、ぜーはー肩で息をしていた。
逆に息一つ乱れていないセナは、いずれ精鋭揃いの第二騎士団に入隊できると思う。
狩猟大会でも活躍する姿を容易に想像できてしまったのは、僕が親バカだからではないと思う。
ちなみに、地面に座り込んでいじけているシオンだけど、ちゃっかりルドルフくんを見つめている。
慰め待ちだ。
でも、二人の稽古を邪魔しないようにしているところはすごく偉いと思う。
シオンも可愛くて仕方がないんだ。
稽古を終えた二人が戻ってきて、すぐにルドルフくんに抱っこされて上機嫌になるシオン。
「汗をかいても爽やかだ!」と叫んでいるけど、ちょっと変態発言じゃないかな……?
でもルドルフくんは気にしていないから、セーフだ。……きっと。
微笑ましく見守っていると、セナが父親のように格好良く髪を掻き上げた。
「汚れ仕事は俺がやる」
「「「…………」」」
さっさと屋敷に戻っていった小さいけど頼もしい背を見つめる僕たちは、『セナって三歳だよね?』と確認しあっていた。
「もしかしたら、ジャスティン様の影響?」
「お祖母様かもしれません。なかよしですし」
「いや、団長の可能性も……」
「うっ。みんな、発言には気をつけようね!」
うんうんと頷いていた僕たちは、セナが誰よりも優しいオースティン父様を守るために、日々剣の腕を磨いていることを知らなかった。
229
あなたにおすすめの小説
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
的中率100%の占い師ですが、運命の相手を追い返そうとしたら不器用な軍人がやってきました
水凪しおん
BL
煌都の裏路地でひっそりと恋愛相談専門の占い所を営む青年・紫苑。
彼は的中率百パーセントの腕を持つが、実はオメガであり、運命や本能に縛られる人生を深く憎んでいた。
ある日、自らの運命の相手が訪れるという予言を見た紫苑は店を閉めようとするが、間一髪で軍の青年将校・李翔が訪れてしまう。
李翔は幼い頃に出会った「忘れられない人」を探していた。
運命から逃れるために冷たく突き放す紫苑。
だが、李翔の誠実さと不器用な優しさに触れるうち、紫苑の頑なだった心は少しずつ溶かされていく。
過去の記憶が交差する中、紫苑は李翔の命の危機を救うため、自ら忌み嫌っていた運命に立ち向かう決意をする。
東洋の情緒漂う架空の巨大都市を舞台に、運命に抗いながらも惹かれ合う二人を描く中華風オメガバース・ファンタジー。
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる