婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか?

ぽんちゃん

文字の大きさ
90 / 100
婚姻後

17

しおりを挟む


 夕飯の席では、僕が作った唐揚げを爆食いしているイケメン集団がいる。
 仕事で体を動かしているから、素晴らしい食べっぷりだ。

 「リュセ様の手料理は、どれも本当に美味しいですっ!」
 「どんな金持ちでも、こんなに美味しいカラアゲを食べてる人はいませんよ!」
 「ああ。幸せだ……。居心地が良すぎて、家に帰る気が失せるな」
 「わかるっ! 俺たちがこんなに楽しく食事ができるのは、女神が住まう屋敷だけです!」

 キラキラとした視線を送られてしまった僕は、照れ臭くて微笑んだ。
 みんなはシュヴァリエ様の部下だし、僕たちの護衛もしてくれている。
 僕はシュヴァリエ様の妻として、当たり前のことをしているだけ。

 それでもみんなはいつも褒めてくれるんだ。
 お世辞ではなく本心を語っていることは、みんなの目を見たらわかる。
 いくつになっても、褒められたら嬉しい……。

 「ふふっ。いつもシオンとセナの面倒をみてくれてありがとう。そのお礼だよ」
 「「「っ……天使だ」」」
 「天性の人たらし」

 ひとりだけ、みんなと違うことを言ったセナは、黙々と唐揚げを食べている。

 ……人たらしって聞こえたけど、僕の気のせいかな?

 教えてもいない言葉をよく使っているセナをじっと観察していると、完璧なテーブルマナーで食事を終えたシオンが、すっと立ち上がった。

 「今日から自分の部屋で寝ます!」
 「……本当に大丈夫? なにかあったらすぐにベルを鳴らしてね?」
 「はいっ! 私は次期当主になるのです。今から親離れの練習をするのです!」

 ライトニング公爵家の跡取りとして、頼もしい発言をしたシオン。
 毎日一緒に寝ていた僕としては、嬉しいような悲しいような、複雑な心境だ。
 それでもシオンの頑張りを、僕は応援するぞ!

 「父上も、よろしいですか?」
 「ああ。寂しくなったら、深夜でも来ていいからな?」
 「はいっ! ありがとうございます」

 シュヴァリエ様の許可を取ったシオンは、黒い瞳をキラキラと輝かせていた。
 そんなに親離れしたかったのかと、ちょっとびっくりしていた僕。
 笑顔でおやすみなさいと挨拶をしたシオンが、ルドルフくんの手を取った。

 「やったぞっ! 父上の許可を取った! 公認だっ! 一緒に寝るのだっ!」
 「「「…………」」」

 戸惑いながら、僕とシオンに交互に視線を送るルドルフくんだったけど、ぐいぐいと引っ張られて食堂を後にした。
 残された第二騎士団員たちは、ぽかんと口を開けて、顔を見合わせている。

 「……一人で寝るんじゃないのか?! なぜルドルフを連れて行く必要があるんだ」
 「っ、お、おおお落ち着いてください、シュヴァリエ様っ!」

 ブチギレ寸前のシュヴァリエ様が席を立ち、僕は慌てて引きとめていた。
 なんの罪もないルドルフくんが、ボコボコにされてしまいそうだ。

 「シオンは自分の部屋で寝ると言っていましたけど、一人で寝るとは言っていませんでしたよ?」
 「くっ。言われてみれば……。たばかられたかっ」
 「いやいや、シオンは策士ではないと思いますけど……」

 めちゃくちゃ悔しそうにするシュヴァリエ様が可愛すぎて、僕は笑いを堪える。

 「シオンになにかあったら……」
 「でも、シオンはまだ八歳ですよ? それに、心配した方が良いのはルドルフくんの方かも……?」
 「……俺もそう思う」

 ぼそりと呟いたセナは、騒ぐ両親を他所に、淡々と口許を拭っていた。





 「この並びで、本当にあってる……?」

 天井を見上げて寝ている僕は、右隣のシュヴァリエ様、左隣のセナから抱きしめられていた。

 「広いから落ちる心配はないけど……。普通は、セナが真ん中じゃないのかなあ?」
 「母様が真ん中の方が安全です」
 「そうなの……?」

 よくわからないけど頷いだ僕は、二人に抱きつかれて暖かくなり、すぐに微睡んでいた。

 「母様のことは、俺と父様の最強コンビが守る。兄様はルドルフが守ってくれるし、イチャつけるだろうからウィンウィンだ」
 「…………ん? なんて?」
 「いえ。父様とふたりきりになりたいなら、俺も一人で寝ますので」
 「っ!?」

 びっくりして飛び起きたけど、おかしな発言をした張本人は、すやすやと寝息を立てていた。
 三歳児に気を遣われてしまった僕とシュヴァリエ様は、驚愕した表情のまま目を瞬かせる。

 「……確かに。たまにはリュセと二人で寝たい」
 「~~っ、シュヴァリエ様っ!? そうじゃないでしょう!?」

 三十を過ぎても美しすぎる夫にチュッチュされまくる僕は、ダメですぅ~! と言いながらも、デレ顔で受け入れていた。










しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

的中率100%の占い師ですが、運命の相手を追い返そうとしたら不器用な軍人がやってきました

水凪しおん
BL
煌都の裏路地でひっそりと恋愛相談専門の占い所を営む青年・紫苑。 彼は的中率百パーセントの腕を持つが、実はオメガであり、運命や本能に縛られる人生を深く憎んでいた。 ある日、自らの運命の相手が訪れるという予言を見た紫苑は店を閉めようとするが、間一髪で軍の青年将校・李翔が訪れてしまう。 李翔は幼い頃に出会った「忘れられない人」を探していた。 運命から逃れるために冷たく突き放す紫苑。 だが、李翔の誠実さと不器用な優しさに触れるうち、紫苑の頑なだった心は少しずつ溶かされていく。 過去の記憶が交差する中、紫苑は李翔の命の危機を救うため、自ら忌み嫌っていた運命に立ち向かう決意をする。 東洋の情緒漂う架空の巨大都市を舞台に、運命に抗いながらも惹かれ合う二人を描く中華風オメガバース・ファンタジー。

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

処理中です...