尽くすことに疲れた結果

ぽんちゃん

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 僕がエドワードのためにと、なんでもやってしまっていたから、エドワードは僕がいないとダメな人間になってしまったんだ。
 僕に責任がある。

 すっと立ち上がった僕は、全然違うところを探しているエドワードにゴミ袋の場所を教える。
 僕がいなくても生活出来るように、一から教えていこうと思う。
 忘れっぽいエドワードに、僕はその都度教え続けるつもり。


 エドワードが、家事をする人間がいなくても生きていけるように……。


 エドワードがゴミ出しに向かい、僕は着替えを出そうと鞄を開けると、パステルグリーンの服が目に飛び込んで来る。
 服や小物は、全部ユージーン様とお出かけをした時に一緒に選んだもの。
 特に猫耳のついたもこもこのパジャマは、僕のお気に入りなんだ。
 着心地もいいし、着ているだけで気持ちが明るくなるから気に入っている。

 それに、これはユージーン様とお揃いなんだ。

 毎日のように僕にこのパジャマを着せたがるユージーン様は、似合う似合うと言ってくれたのだけど、自分は全然着ていなかった。
 だから僕が、お揃いで着たいってお願いしたら、渋々着てくれたんだ。
 深々とフードをかぶった美猫が、無言で頬を赤らめている姿に、僕は胸を撃ち抜かれた。


 「なんでもないような顔をしてたけど……。本当は、すっごく恥ずかしかったんだろうなあ……。ふふふっ」


 僕のお願いは、基本的になんでも聞いてくれるユージーン様を思い出して、笑みがこぼれた。
 
 玄関の扉が閉まる音にハッとした僕は、慌ててパジャマを鞄に仕舞う。

 なにをしていても、ふとした時に、僕はユージーン様との何気ない日常を思い出していた。




 時間も遅かったから、久々に魔法を使って掃除をし、どっと疲れが押し寄せてきた僕は、寝る準備を始める。
 先に湯浴みを終えたエドワードが戻って来て、次は僕が浴室に向かおうとすると、腕を取られた。


 「なにもしないから、一緒に寝てもいいか?」
 「…………その前に、話したいことがあるんだ」


 ごくりと唾を飲んだエドワード。

 僕が戻って来たのは、エドワードが主役の舞台を観るまで支えたいと思ったから。
 エドワードのことは好きだけど、僕の心には、もう一人支えたいと思っている人がいる。
 僕の今の気持ちをきちんと伝えないといけない。
 そう思って意を決すると、くしゃりと顔を歪めたエドワードが、僕の両肩を掴んだ。


 「まさかっ、あの男を好きになったわけじゃないよな?」
 「…………僕は、」
 「ノエル。あの男は、ノエルの前では優しい顔をしているけど、それは魔法を使えるノエルに価値があるってわかっていて優しくしているだけだ。今後もノエルを利用するに決まってる」
 「っ、そんなこと」
 「もう、あの男に勝手なことはさせない。俺がノエルを守る」
 「エディー、聞いてっ!」


 僕の話を聞きたくないのか、何度も話を遮られてしまう。
 もう話したくないのか、今日はソファーで寝ると、寝室を出ていこうとするエドワードの背に、僕は思いを投げかけた。


 「僕がここに戻って来たのは、エディーが主役を務める舞台を観るまでは支えたいと思ったから。四年前の約束を破るつもりはないよ」
 「っ……それって、つまり、俺が主役になったら、俺たちの関係は終わりってことか? ノエルは……俺を捨てるのかっ?」
 「っ、そういうことじゃなくて」
 「じゃあ、どういうことだよっ!!」


 怒鳴ったエドワードに、僕は寝台の上に押し倒されていた。

 怒り狂う顔が怖くてたまらない。
 それでも今、僕はエドワードと向き合わないといけない。
 見た目はひ弱な僕だけど、黙ってやられるような男じゃないんだ。
 最悪、魔法をぶっ放そうと構える僕の手は、小刻みに震えていた。










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