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しおりを挟むエドワードがどんなに僕を家に閉じ込めたいと思ったとしても、僕は魔法を使えるから、正直なところ、なにをされても簡単に抜け出せる自信がある。
でも逃げるつもりなんてないのだから、おかしなことはしなくていいよと話しておいた。
稽古に集中して欲しいとお願いをして、僕は食事を終える。
いつもよりバクバク食べる僕に驚いているエドワードだったけど、残さず食べてくれた。
食後の紅茶を飲んで一息つく僕たちは、恋人というより幼馴染みに戻ったような感じだ。
今の距離感がとても心地よいと思うのは、僕が恋をすることに疲れてしまったのかもしれない。
今後は一人になって、いろんな人と関わりたい。
レオンさんやアルバートくんにも会いたいし、もしかしたらジナさん以外にも、僕のことを見守ってくれている人がいるのかもしれない。
そう思ってエドワードに話してみると、やっぱり返事を渋られてしまった。
でも僕が引かないでいると、エドワードが両手を上げる。降参ポーズだ。
「だったら、ノエルが俺に本気で怒った時は、俺が主役になっていなくても、家を出て行く……」
「っ、うん」
「……あんまり喜ぶなよ。俺は、ノエルを怒らせるようなことをするつもりはないからな? それに、今までノエルが怒ったところを見たことがない。ノエルは、俺が今まで出逢ってきた人の中で、ダントツに優しい子だからな」
そう言ったエドワードが、柔らかく微笑んだ。
僕が昔から大好きだった笑顔だ。
今のエドワードと一緒に過ごしたら、きっと穏やかな時間を過ごせそうな気がする。
でも……。
また昔のような寂しい思いをしたくない僕は、エドワードが変わったところを見てから判断したいと思った。
「怒るというより、なんで家に食材がないのに料理をして待っていてって言ったのかなって疑問には思ってるよ? だって僕が魔法を使えなかったら、家から出られなかったと思うよ?」
嫌味に聞こえないように言ってみたのだけど、エドワードはあんぐりと口を開けている。
……とにかく僕に、外出して欲しくなかったみたいだ。
「これから食費は、折半にしてくれるの?」
「っ、ごめん。今すぐ全額払う」
慌てて財布を取りに行ったエドワードに、月の食費がいくらかわからないから、好きなだけ持って行ってくれと言われた。
相手が僕だからいいけど、騙されないか心配だ。
あとで、食材の値段も教えてあげようと思う。
僕がユージーン様となにをして過ごしたのかが気になって仕方がない様子のエドワードに、僕は三ヶ月の間のこと全てを話した。
「告白しないで、メルヴィンの話は嘘だって教えたのか……。俺だったら……。っ、やっぱりなにを考えているのかわからない」
なにやらボソボソと独り言を言っているエドワードは、僕の話を聞いてもユージーン様のことが信用ならないみたいだ。
「でも、なんとなくわかった……。寂しい思いをさせないように、ノエルと同じ時を過ごせばいいんだな?」
「……エディー?」
「よしっ。明日からは、俺と一緒に行動しよう。これからはずっと一緒だからな、ノエル」
満面の笑みを浮かべたエドワードは、なんだか甘い言葉を吐いたような気もするけど、ちょっとズレているような気もする。
結局、あれだけユージーン様を嫌っていたのに、お手本にするつもりみたいだ。
正直、部外者の僕が稽古場に行ってもいいのかわからないのだけど、見学に来る人はいるみたいだから、そこに紛れ込むらしい。
でも、このまま家に閉じこもっているのも嫌だと思っていたし、リフレッシュすることが出来そう。
今は、変わろうと努力しているエドワードを見守ろうと思う。
この時の僕は、エドワードとは幼馴染みに戻りたい気持ちが強かった、はずだった──。
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