69 / 137
68 アルバート
しおりを挟む「ノエルちゃん、本当にごめんなさい……」
稽古場で三ヶ月ぶりに会ったノエルちゃんを別室に呼び出し、真っ青な顔で土下座をしているレオンは、想い人に嫌われる覚悟で真実を話していた。
エドワードからの土産を、自分からの土産だと思わせて渡していた件について。
レオンは、ノエルちゃんが傷付かないように送り主を黙っていたのだけど、実際は多忙なエドワードが後援者に頼んで、代わりに購入してもらっていただけだった。
エドワードは、最初からノエルちゃんのために用意していたんだ。
「レオンさんっ、やめてください!」
「いや、俺が悪かったんだ……。勘違いしていたとはいえ、二人の仲を拗らせるようなことをしてっ、どうやって償ったらいいのか……っ」
ノエルちゃんが療養することになったのは、自分の責任でもあると、この三ヶ月ずっと悩み続けていたレオンは、謝罪の言葉を繰り返した。
一向に頭をあげないレオンの前で膝をついたノエルちゃん。
ビンタをするのかと思いきや、片手でレオンの頬をむにゅとさせていた。
不細工な面になるレオンが顔を上げて、目を瞬かせている。
その顔を見てくすりと笑ったノエルちゃんは、地上に舞い降りた天使だった。
「僕はお土産があってもなくても、レオンさんが僕に毎日会いに来てくれたことが嬉しかったです」
「っ……」
(桃色天使、ノエル降臨……っ!)
ほうっとノエルちゃんに見惚れているレオン。
本当に反省しているのかと、赤頭を引っ叩いてやりたいけど、僕もノエルちゃんにメロメロだ。
そしてノエルちゃんは、隣で不服そうな表情を浮かべている恋人に視線を向けた。
「エディー。他人事じゃないよ? いくら忙しいからって、いつも良くしてくれているレオンさんを、顎で使うようなことをして……」
「っ……いや、そういうつもりじゃ」
「それに、レオンさんに誤解されないように、一言言うべきだったと思う。もしくは、僕宛の手紙を添えればよかっただけなんじゃないのかな?」
「……確かに。ごめん」
いつのまにかレオンではなく、エドワードが叱られている。
この前会った時のノエルちゃんは、エドワードに迷惑をかけたくないと、気を遣っている感じの子だったのに、今は母親のように教えている。
会わない間に、僕の大好きなノエルちゃんは、パワフルな子になって帰ってきた。
前からもっと言ってやれと思っていた僕は、逞しくなったノエルちゃんに、より好感を抱いている。
自身の行いを反省しているのか、明らかに落ち込むエドワードの顔を、ノエルちゃんが覗き込む。
「キツいこと言ってごめんね……。でも、あの時の僕は、プレゼントじゃなくて、ただエディーの顔が見たかったんだ……」
「っ、ノエル……」
へにょりと眉を下げたノエルちゃんに、半泣きのエドワードが飛びつく。
ごめん、悪いところは全部直す、好きだ、ずっと一緒にいて欲しい、って縋り付いている。
爽やかな顔をしたイケメンは、実は中身がとっても女々しかった……。
こういうところが母性本能を擽るのだと思う。
ちなみに僕は、全く惹かれないけどね?
想い人が恋人と仲直りをしている姿を間近で見て、涙をこらえて祝福するような笑顔を浮かべているレオンの方が、何百倍もかっこいいと思う。
僕の大好きなレオンには、失恋を乗り越えたついでに、エドワードを超える舞台俳優になって欲しいと、切実に願っていた。
142
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる