愛のない結婚だと知ってしまった僕は、

ぽんちゃん

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19 居場所がなくなる

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 衝撃的なことが起こりすぎて、フレイは脳がショートしそうだった。
 そんなフレイに気付いているのか、いないのか。
 レニーが笑顔で追い打ちをかけてくる。


「これからは、だろうし、フレイとは仲良くしたいと思ってるんだよ」

「…………」

 
 そう言って、フレイの手を取ったレニーが、ふわりと微笑んだ。

(っ、一体、何の話をしているの……?)

 なぜ、フレイが夫の元婚約者と一緒に暮らすことになるのか。
 いくらレニーがジョナスの命の恩人だとしても、常識的に考えてあり得ないことだ。
 全くもって理解不能なのだが、言いたいことは言えたのか、レニーは笑顔で去って行った。

「フレイ様……。大丈夫ですか?」

 気遣わしげな表情のコニーに、フレイはぎこちなく頷いた。

「う、うん。ちょっとびっくりしただけ……」

 強がっていると思われたのか、コニーの哀れむような視線に、胸が痛くなる。
 でもフレイは、どうすることもできなかった。

(あの人に、僕の居場所が、取られちゃう……)

 ジョナスやヴァレリオだけでなく、多くの使用人に囲まれているレニーから、フレイはそっと目を逸らした。







 台所に行き、客人のための料理を手伝うが、フレイは浮かない気分のままだった。
 あれからヴァレリオとジョナスは、治療薬のことなどで忙しくしており、話せていないのだ。

(でも、レニー様も一緒に暮らすって話は、普通に考えてありえないし、心配しなくてもいいよね?)

 もし、レニーがグランディエ公爵邸に留まりたいと願ったとしても、そもそもヴァレリオの許可が必要なのだ。
 フレイを気遣い、レニーに挨拶しなくてもいいとまで話してくれたヴァレリオが、一緒に暮らすことを許可するはずがない。

 それでも、レニーと顔を合わせたくないのだが、公爵夫人としてそのような行動は許されない。
 それに、ジョナスの命の恩人ゆえに、皆がレニーを歓迎しているのだ。

(僕も、心を込めておもてなしをしないと……)



 豪華なディナーを用意し、フレイも食堂に向かえば、既にジョナスとレニーが座っていた。

「お待たせしました」

 笑顔で料理を運ぶフレイだが、内心動揺を隠せない。
 席順が、いつもとは違ったからだ。
 ジョナスの食事の手伝いをするため、フレイはいつもジョナスの隣なのだが、ジョナスの隣にはレニーが座っていた。

「っ……フレイがわざわざ作ってくれたの? フレイはすごいね、ありがとう」

 純粋に喜んでくれているレニーは、さっそく食べようとご機嫌だ。
 フレイもジョナスの隣に席を用意しようとしたが、レニーに制される。

「あっ、フレイ! ジョナス様はおひとりで食事をされるから、大丈夫だよ?」

「……えっ……?」

「ジョナス様には、ボクが特注したスプーンをプレゼントしたんだ。だから今日から、ジョナス様のお手伝いは必要なくなるんだ。よかったね、フレイ」

「…………」

 さあ、食べましょう! と場を仕切るレニーに、フレイは自分の居場所がなくなるのを感じていた――。













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