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第四章
96 魔物の気持ちがわかった ※
しおりを挟む意識が飛んでいた俺は、じゅぶじゅぶと卑猥な音と、じんとした快感に目を覚ます。
「っ、は……ぁっ……あっ……んぁっ……」
「イヴ……可愛い……」
「ん、んぅ……っ」
もう二度も欲を吐き出しているというのに、未だに硬く熱を持つ陰茎は、俺の中を住処にしている。
俺が意識を飛ばしても、ゆるゆると突き上げられて起こされる。
確かに好きにしてとは言ったが、何度繰り返せば気が済むのかと、色っぽい顔で俺を見下ろす美丈夫を虚な目で見上げた。
「大丈夫か?」
「ぁっ……ぁ、むりっ……んっ……ぁぁっ」
「もう少し付き合ってくれ」
「っ、体力……ありすぎ……ぁっ、んぁ……」
「ククッ、気持ち良いな?」
「んっ……んっ、は、ぁ……殺される……」
目を伏せて、化け物だと心の中で呟く。
力を無くした陰茎を握られて、俺は中を行き来する熱を締め付けた。
「やっ……もう、出ないっ……あっ、ぁあっ」
「気持ちいいだろう?」
「ンンッ……やらっ……死ぬ……ぁンッ……」
「イヴ?」
優しく問いかけてくるエリオット様だが、俺の良いところを知り尽くしている手や腰の動きは、容赦がない。
答えるまでやめてくれないことを体に覚え込まされている俺は、揺さぶられながらゆるりと頷いた。
「は、ン……いいっ、きもちいぃ、えりぃ……だから、もう、終わっ、ぁぁあッ!」
敏感な亀頭を捏ねくり回されて、何かが込み上げてくるのを感じた。
目を見開けば、なぜか意地悪そうな表情になるエリオット様が俺の顔を眺めていた。
「や、やらっ、なんか……いやっ……ぁあっ、あっ、くるっ……手、やめてっ……ああァッ、中もいやっ……どっちもだめぇっ……」
過ぎた快感になにを口走っているのかわからなくなっている俺は、逃げ出したいのに体に力が入らなくて、ぼろぼろと涙を溢しながら首を振る。
「出していいぞ」
「ひ、ぁぁあっ、でるっ……でちゃうっ……や、やだっ……なに、いやっ……ぁぁああ──ッ!!」
先端からプシュッと水飛沫のようなものが出て、驚きと快感に中の陰茎を締め付ける。
頬を上気させて険しい表情になるエリオット様に奥を突かれる度に、ピュッと水が吹き出る。
まさか気持ち良すぎて漏らしたのかと青褪める俺に、うっとりと息を吐く美丈夫は、俺の中で暴れ回る陰茎を膨らませた。
「絶景だな、潮を吹くほど気持ち良かったか」
「っ……な、なに……? や、やらっ、やめてっ……ぁあンッ、いやっ……」
「本気で嫌ならやめるが。イヴの体は喜んでる」
「っ、へんたい、だっ……んぁ」
「それはイヴもだろう? 気持ちいいな?」
汗に濡れる前髪を横に流してくれ、大人の色気を爆発させる美丈夫に同意を求められる。
頭がぼんやりとしている俺は自然と頷いていた。
「んっ……きもちいいっ、」
「イヴは大きい方が好きだからな?」
「ん、好き……おっきいの、好き……」
「くっ……」
俺に言わせている張本人が、何かを堪えるように口を引き結ぶ。
なんとなく射精が近いのかと感じとった俺は、重い腕を持ち上げて、首元にしがみつく。
難しい顔を見たくなくて、一文字になる唇をぺろりと舐める。
「えりぃのが、好き……」
笑って欲しくて微笑むと、瞳孔が開いた。
俺に噛み付くように口付けたエリオット様は、最後にリップ音を鳴らして唇を離した。
「悪い子だ」
「ひっ……ああァッ!」
上体を起こして膝裏を持ったエリオット様は、よがり声を上げる俺を見下ろして妖艶に微笑む。
微笑んでいるのに、危険な空気を纏うエリオット様に射抜かれて、ぞくりと肌が粟立つ。
最強の漆黒の騎士を前にした魔物も、こんな気持ちなのかと息を詰めた。
その直後、肌を打ち付けるように激しく突き上げられて、気付けばよがり泣きながら絶叫していた。
涙でぐしゃぐしゃな酷い顔になっているというのに、俺を虐め抜く絶倫美丈夫の陰茎は、喜んでいるかのように大きく膨れ上がっていた。
「出すぞ?」
「ああぁッ! ぁ、くっ、出してっ、」
「ん?」
「っ、はぁっ、あっ、あっ、はやくっ」
慰め合いの最中に死にたくない俺は、早く早くと懇願する。
俺の蕩けた目に、険しい表情をしているが、口角の上がる様が映し出される。
何も考えられないのに、エリオット様は俺が素直な方が興奮するのかもしれないと、ふと気付いた。
誰にも懐かない一匹狼だった俺に甘えられると、喜びを感じるのかもしれない。
そう思った俺は、エリオット様に言わされ続けていること口にしていた。
「んっ、んっ、えりぃ、きもちいぃっ、」
「っ、」
「ぁっ、ぁあっ……中に、出して……おねがぃ、えりぃっ……奥に、いっぱい、欲しぃっ」
「く、イヴ……」
「~~~~~~ッ!!」
唸るエリオット様が咎めるように俺の名を呼び、奥に白濁を叩きつける。
視界に白い靄がかかって意識を保てなくなった俺は、身を震わせながら達していた。
言葉は少しアレンジしてしまったが、身の安全を確保出来たので良しとする。
陰茎を引き抜かれて、収まりきらなかった白濁が後蕾から溢れ出る。
……どんだけ出してるんだ、この絶倫野郎っ。
もう目を開けていられない俺は、必死に空気を吸い込みながら、心の中で吐き捨てる。
一ミリも動けない俺の身を清めるエリオット様は、無駄に良い声で鼻歌を歌っていた。
俺にもっと体力があったのならば、もう一回戦突入されていたことだろう。
後蕾に指を突っ込まれて、白濁を掻き出されながら身震いする。
「んぁ……っ」
「ククッ、可愛い……」
真面目なエリオット様が、無愛想な俺を可愛い可愛いと愛でる様は、異様な光景でしかないと思う。
今日で秘密の関係が終わりを告げたとしても、絶対に口外してはならないと心に誓った。
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