おお魔王よ、死んでしまうとはお疲れ様です。

イマノキ・スギロウ

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第二章 ~魔王勇者課~リプタリア編

第12話 「未来世界」

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 邪神人材派遣会社、ここは魔族や魔王を各異世界に派遣して業務を行い、その対価として報酬を得る会社である。そしてその会社の中で先ごろ出来た新たな課、『魔王勇者課』は魔王だけでなく勇者も派遣する部署として多忙の日々を送っていた。

「先輩、この前の派遣世界での業務報告書と経費請求書と次の派遣業務予定異世界の資料一式です」

「…ありがと、そこ置いといて」

「それと別の魔王課にも勇者を引き入れるための方策会議が明日あるから先輩も出席するようにって先ほど連絡が」

「それも了解……、つーかその話もう6か月目なんだけど、いつ新人入るのよ」

「メアリーさん、ルーク君派遣世界から戻ってきたんですけど、疲れ果ててただの屍の様に動かないんでここに置いときますよ?」

「お疲れ様です邪神官さん」

「あと追加の業務依頼書を持ってきたので此処に置いときますね」

「だぁーーーーーーーもう!!! 仕事量増えすぎでしょ!! 戻ってきたら次、戻ってきたら次、魔王業務ってのはこんなライン作業でするもんじゃないのよ!? 前は一回一回もっと余裕があってそんな忙しくもなかったのに、」

「…まぁ、一回につき数年は余裕でかかるハズの業務なのに魔王勇者課うちが派遣すると勇者役が大体ルーク君のおかげで手間なく短期間で終わるからと、どんどん仕事が集まったのは必然と言えば必然ですよね」

「冷静に状況分析するヒマがあったらあんたも手を動かしなさい。仕事量増やすわよ?」

「さあ! 自分の分の仕事をバリバリ頑張りましょう。だから定時で帰らせて下さい。……ホントマジで」

「ふ、甘い。トラップ発動! 提出書類地獄!!」

「ぎゃー! 睡眠がーー!肌荒れがーー!」

「ふん、そんなもん気にして派遣業が出来るか」

 魔王勇者課課長となったメアリーベルと正社員になったデスフレアはこうして今日もデスクで書類と言う名の敵と激闘を繰り広げる。

「じゃ…、じゃあ、僕は…みんなの夜食を、買って、…きます」

「ルーク、無理なくていいからもう少し休んでなさい」

「いえ…、大分、回復しま…した」

「いいから、この書類と明日の会議が終わったらあんたには付き合ってもらう用があるからそれまで身体休めてなさい」

「え? 付き合うって、それって…」

「おーおー、赤くなってるねールーク君、青春だねー」

「フレアさん!」

「あぁ、デスフレア、あんたも来なさい」

「へ?わたしも?いやいや、二人のデートを邪魔するなんてそんなひどい事できませんよ。なので私は明後日の休暇を一人でのんびりと」

「いや、異世界しごとだから」

「いやーーー!もう休日出勤はいやーーー!!」

「安心しなさい。明後日の分は振替休日付きよ」

「たった一日じゃないですか! 何十日向こうに拘束されると思ってるんですか!?」

「なぁに、早ければほんの千日くらいよ」

「その分の休日も振替がほしいです~~~!!」

 2日後、メアリーベルに引きずられる形でデスフレアは転移の間に連れてこられ、3人分の荷物を持ったルークとともに仕事先となる異世界に彼女達は転移した。
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「それで、今回の業務はなんですか? また『事前訓練』ですか?」

「いや、今回は『選定』の方よ」

「選定?」

「ああ、ルークは初めてだったわね。要は依頼してきた神の指定対象を殺してから討たれるだけよ」

「神に命を狙われるようなのがいるんですか、もしかして魔王みたいな奴ですか?」

「まぁあながち間違いでもないかもね」

「ところで先輩、ここどこですか?」

「ん? 業務予定の惑星の上空3万メートルくらいかな?」

「あの~、先輩の結界があるとわかってても地味に怖いんですけど、転移場所もっと選べなかったんですか?」

「仕方ないでしょ、今回の世界はいろいろと見つからないための配慮が難しいから手っ取り早く見つからない場所って言うと夜側の高高度くらいしかなかったのよ」 

「それにしても地上の光すごいですね」

「そりゃそうよ。普段仕事してる異世界に比べればここは二、三千年は先を行ってる未来世界だもの」

「ヴィーギナウスよりもすごいんですか?」

「行けば分かるわよ」

「あの、質問良いですか?」

「なに?」

「選定の対象はどんな生物なんです?」

「選定対象はこの星、リプタリアの『人類』よ」

 ルークの質問にメアリーベルはなんの躊躇もなくそう言い切った。
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