廻道めぐるは決まった道しか散歩しない

卯月春吉

文字の大きさ
6 / 31
第1話:廻道めぐるの散歩道

廻道めぐるの散歩道

しおりを挟む
   廻道めぐるはその道をひたすら静かな商店街を歩く。
   休日に何をしているのかは不明で“プライベートのためついてってはいけない”という新ルールが導入されるようになった。

    それなら別に構わないのだが、彼女が人と付き合うのが面倒くさく思う気持ちは分かる。
    分かるが、どうして“ルール”というものを作ろうと思ったのか私にも教えてくれない。
  
  「ねぇ、めぐるちゃん。」
  「何?」
   「なんでめぐるちゃんはルールというものを作るようになったの?」
   「さあ?」
   
   「いい加減教えてよ…めぐるちゃん…。」
  「んん…。」
  
   そればっかり彼女はその理由を明らかにしない。
    私達はいつもの喫茶店に出ていつもの道へ周り道をする、それがルーティン。

    黙る彼女にごねた。

   「ねぇ、黙っていると私もごねるよ。」  
  「もうごねているじゃない。」


  「うわっ!!」


    私達の目の前にナメクジの死骸があった。
   太陽に当たってしまい、干からびたのだろか?
    私はその死骸から逃げようと他の道へ行こうとすると彼女が突然思慮深い顔で質問をぶつけて来た。
   
  「ねえ、どうしてナメクジってどうして存在すると思う?」
  「そりゃあ地球生命体だからじゃない?」
  「地球生命体というもので片付けるのは如何だけど、私は負の存在と化された悲しき珍獣だと思っているわ。」
  「何負の存在って…。」
   
   彼女の謎の答えは勝手に妄想をし始めた。
  
  「ナメクジは大昔では最強の存在でとてつもなく大きかった…けど私たちが生まれて何千年という月日が経ち、その存在は小さくなってしまった。
    害虫として負の存在へと化してしまった彼等は生き延びる、そして仲間が失っても…。」
  
   「彼等は生き続けるだろう、でしょ。
    そんなのファンタジーの世界じゃないんだからかっこよく言わなくたって生き続けるでしょ。」


    「ぬっ・・・!!」


  何かが“グ二っ”と潰してしまった。
  それは半分に潰された死骸であった。
    恐怖の余り逃げる事も出来ない私は彼女に冷たい言葉を浴びせられた。

   「残念ね、附田さん。
     貴方はもう今日の夜、ナメクジの呪いの夢を見る事になるわ。」
  「そんな!」
  「じゃあね。」
  「んもおおお…。」

     その潰してしまった靴の下を地面擦り落とし、追いかけた。

   そしてその夢が彼女の一言によってその夢が現実にならないか不安になりながら思った。


────絶対夢なんて出る訳がない。
     一言でその夢を実現させてしまうなど、呪いの一言なんて子供騙しも程があるだろ!────


     布団へ潜り込み私は眠りに入った。

    
────翌日  …


     学校で彼女に会に会った私は挨拶をする気さえも失ってしまった。
    
  「あら、やっぱりその夢実現したのね。」
  「誰のせいだと思っている?」
  「私のせいだと思われているわね。」
  「でしょーね。
    お陰であたしの夢は排水口から大量に現れるという気持ち悪さ100倍で終ったよ…。」
  「100倍ってどこから来たの?
    その言葉?」
   「知らないよ。」
   「あら?」

 ────私はふて寝をし、そしてまた下校の時間となってしまった。

    1日というのは何故こんなにも早いのだろう、一掃の事忘れてしまう程1日が長ければいいのにと思ってしまう。

    彼女と共にまたあの寄り道をし、同じ道を歩いてしまった。


   “ああ…またあの害虫が出ませんように…”
   
   
    と願うばかりだった。
    
    しかしその道にナメクジの死骸など無かった。
  
    安心をして帰れると思い、彼女に聞いた。

    「その道にとって、めぐるちゃんは何がそんなにいいの?
    毎日同じ寄り道をして、その道を通って、なんかいい思い出とかあるの?」
   
   私にはその道への思い出すらもない。
    中学生の時からその道へ通っているが、この道は私の通学路や彼女の通学路ではない所だが、どうしてだろう?
    彼女の口が開いた。

   「ここはおばあちゃんと通った懐かしい道なの。
    昔、おばあちゃんが生きていた時にこの道で転んでしまったり、アイスを食べて一緒に手を繋いで歩いた所。
    今は死んじゃったけど、私にとってこの道は忘れられない道なの。」

    今まで彼女が隠し続けていた過去がここで明らかにさせた私は気付かずに嫌だとか駄々をこねていたのだろう。 
    その気持ちを知った私はそうだったのかと  理解をしたのだ。

    「じゃあ昨日の事を教えてくれない?」
  「何を?」
  「ルールの事!」
  「またその話を繰り返すのね、無駄よ。」
  「話して!」
  「いつか。」

   
  彼女は今日も明らかにしなかった。
  そのルールというものはいつ教えてくれるのかさえ、素直に教えてくれない帰り道だった。



                                      
                                                              続
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。

くずもち
キャラ文芸
楠 太平は模型作りが趣味の高校生である。 彼には昔から妖怪という普通の人間には見えない存在が見えているのだが、それはそれとして楽しく暮らしていた。 そんな太平の通う学校に、神木杏樹という転校生がやって来る。 彼女にも実は妖怪が見えているらしいのだが、どうやら彼女は妖怪が見えることを持て余しているらしい。 そんな神木さんに見えることが速攻でバレた楠 太平はマイペースにやっていくつもりが、彼女のペースに呑まれてゆく。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...