廻道めぐるは決まった道しか散歩しない

卯月春吉

文字の大きさ
7 / 31
第2話:廻道めぐるのアニヲタ地点

アニヲタの考え

しおりを挟む
   彼女にはハマっている深夜アニメがある。
    それは────



 【今日から僕等はアイドル!】
 【 ドリーム・トパーズ!(全員)】
    


   「かっこいい…。」
  

     そのアニメに心を揺らす彼女の明日の興奮度が心配である。

    

────翌日。

  「おはよー… え!?」
   
    彼女が何故かアニメ雑誌を持ってしっかり読んでいる。
    その目の輝きはまるでオタクそのものであり、同じオタクのクラスメイトの女子に声をかけられるくらい友達が多かった。

   「ねぇ、廻道さんどのキャラを押しているの?」    
  「他になんのアニメを見ているの?」

    やばい…オタク率が半端ない…。
    私は彼女を見なかったかのように立ち去ろうとした瞬間声をかけられた。

  「附田さん?」  
  
 (声かけてきた~!
   でもオタ友と話していたからゆっくり去ろうと思ったけど…。
   仕方がない、話すか…)

   「おはよう、めぐるちゃん。
     随分とまあ友達が多いけどオタク友達が居たなんて知らなかったよ…。」

   「友達?あの人たちは知り合いのような存在よ。
    いきなり話してくるし、お陰で自由が無くなったわ。」
   「そうなんだ…。
     めぐるちゃんはなんのアニメが好きなの?」

   彼女は持っている雑誌を私の目に入る近さで見させて来た。

   「“歌のキングダム様”と“銀盤に恋して”。」
   「これが好きなの?」
   「そう、ほとんどのアニメ以外余り興味がないから。」
  「SFとか恋愛ものとか?」
  「興味一切ないわ。」
  「ええ…。」

    昔、女の子向けアニメをみた頃からあの子のアニメ好きが始まった。
    そのアニメ好きが変化をするのは当たり前なのだろう。

   クールな顔をしてアニメ好きというものは当てはまらない感じだが、彼女は語ると面倒で熱い一面が今でもある。

    例えば、こんな時


   「歌のキングダム様を口遊みながら歌って登校するのはいいけど、他の人が見ているんだから恥ずかしいと思わなきゃ。」
  「この歌は頭をリフレッシュするために小言のように歌っているんだから大丈夫よ。」
  「大丈夫って…はあ…。」

  「ちなみにこの曲は“キングダムレボリューション♪”だから。」
  「知らないよ、それ…。」


    そしてこんな時


  「見て、今月の一面…。」
  「なに?」
  「私の好きな“銀盤に恋して”よ!
    あのキャラクターの表情と美しさが好きでキュンキュンしながら見ている訳。」
  「キュンキュン…。(想像する)
    なんだかパッと見想像出来ないな…。」
  「そう、残念だわ。」


 ────という感じを私はこの数年彼女を見続けてきたのだ。

    彼女はアニメ本を読み、学校を1日を過ごそうとする。
    彼女を見て私は何をすればいいのか分からないまま、また彼女のヲタ友が集まってくる。
   
    まるで張り込みをしているような感じだ…。
    なんだか恥ずかしいが、下校になるまで取り敢えず彼女の様子を伺う。



    帰り道、彼女と歩いて聞いてみた。

  「そのさ…アニメってどこがいい訳?
    あたしさ、余りアニメの良さというのとかそういうのが余り理解ができなくて、いつもどういう視点で見ているの?」

    私はたどたどしく質問をすると、ヲタクならではの回答をサラッとした答えが出た。



   「片思いの男子に思いを寄せるのと一緒よ。
    だから余り本物の人間に思いを寄せたり、した事がない。」   
                                              


    「なぜ?」
    「リアルの人間に恋をする気持ちなど私には生まれなかったのよ。
    まさか二次元に恋をするなんてって私も思って無かったから今ではその出会いが恋なのかなって思ってる。」
  
     彼女が恋を生まれなかったという言葉は単なるいい訳だと思っているが、自分の気持ちがそう言ってるのかもしれない。
    
    本音は言いたくても言わない事にした。

    「アニメ本、もし良かったら何十冊もあるから貴方に貸出できるけど?
    1人3冊までとして。」
   「いいよ、興味ないし…。」
   「そうね、貴方は元から興味無さそうで興味あるような寄り道感満載の性格をしているからね。」
  「それ、どういう事かな…。」

  「今度アニメ雑貨屋へ行かない?
    私、休日はいつも1人なの。」

   「多分分からないかも。」
   「分からない?」
   「部活動、する事になったから。」
   「あら残念。」


     彼女には部活動という事しか話していないが、私はずっとやりたかったものがある。
    また次回の話に持ち越しとなる。




                                                          続
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。

くずもち
キャラ文芸
楠 太平は模型作りが趣味の高校生である。 彼には昔から妖怪という普通の人間には見えない存在が見えているのだが、それはそれとして楽しく暮らしていた。 そんな太平の通う学校に、神木杏樹という転校生がやって来る。 彼女にも実は妖怪が見えているらしいのだが、どうやら彼女は妖怪が見えることを持て余しているらしい。 そんな神木さんに見えることが速攻でバレた楠 太平はマイペースにやっていくつもりが、彼女のペースに呑まれてゆく。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...