廻道めぐるは決まった道しか散歩しない

卯月春吉

文字の大きさ
19 / 31
第5話:上ノ江結人の余裕

初めての夏

しおりを挟む
   夏で恋人と楽しむというのはなんだろうか?
   初めての私はそれがよく分からない。
   中学生の恋はそのまま夢の中で終わって欲しい。
   だが、今の私は決意もないままただ流されて一体どこへ向かう気なんだ?
    正直な答えがないまま終業式が終わり、暑い夏が始まった。

     
   《ミーンミンミンミン…》

   「やっぱ夏だな仁花!
     祭りだろ?花火だろ?海だろ?
     いっぱいイベントがあるんだし、一緒に楽しもうぜ!
    キャッホーイ!!」
  「いいわね、アンタは楽しそうで。」
  「お前は楽しくないのかよ~。」
  「それどころじゃない。」
  「えー…。」

   彼と一緒に歩いていると彼女と委員長の2人がやって来た。

  「やっほー♪アツいねーそこの2人ぃ~♪」
  「ラブラブだからな!」
  「うるさい…。」
  「仁花ちゃん、最近上ノ江君となんかあった?」
  「別に…。」
  「アイツなんか突っ慳貪なんだよな~…なんか冷たいし、いつもめぐるちゃんと2人きりでコソコソしてるし。」
  「オイ!」
  「仁花ちゃ~ん…!」

    何故か私が委員長に睨まれた。

   「上ノ江君とどこか行く約束でもしているのかしら?」
  「いや全然…何にも考えていないけど…。」
  「このままだと上ノ江君に流されたまま貴方は後悔するわよ。」
  「分かってる…。」

    それぐらいかは理解しているつもりだ。
   彼とはきっぱり別れるつもりであり、友達になった方が気が楽。
    
    なのに…私と来たらといつも先延ばしにしてしまう。

  「じゃあ!夏お祭りに行かないかしら?」
  「へ?」
  「おっし!」
  「廻道さんは行く?」
  「行くわ、勿論。」
  「7月30日の夜の17時にやるからその時間を待ち合わせにするから、茜坂神社前に集合ね!」
  「は~い!」

    帰り道、その先の道が一緒の彼女と私は相談した。
  
   「こうなったらこの機会に結人に別れる決断をする、そうしなきゃなんかいつまでも引きずっている理由にはいかないもん。」
  「貴方がやりたいならすればいいと思う。
    私は何も言わない。」

    彼女はもう何も私に言わなくなった。
   それには私が迷ってずっとソロ充になりたかったからだ。

    家に帰ってから彼からのメールが書いてあった。


『来週初めての夏だからお前と一緒にいるから楽しみだな』


────というメール文だった。

   悪い性格じゃないのは理解しているが、なんだか自分が想像していない分楽しいという気持ちすらも無くなっている気がした。

    そして夏祭り当日、17時に委員長たちと待ち合わせた。

  「こんばんは!」
  「こんばんは!あれ?可愛い花柄のピンクだね!」
  「そう?」
  「あれ、廻道さんは黒蝶と紫なんだな!
    なんだか大人チックっていう感じだけど流石似合っているだけはあるよな…。」
  「上ノ江君それ褒め言葉と捉えてもいいのかしら?」
  「ああまあな…。」
  「間さんは青と黄色いひまわりなんだね~。
   可愛いくていい感じだよ♪」
  「ふふふっありがとう♪」
  「上ノ江君は意外と地味そうな甚平を着るのね、しかもベージュに近い…。」
  「うるせえよ。
    とにかく、入ろうぜ!」  

    そして中へと入った私達は人混みが凄かった。
    カップルも沢山いてなんだか賑わっている。
   私と彼はカップルだが2人揃って祭りデートなんてした事もない。

    その中で彼の目は何故かキラキラとひかっている…いけないいけない!別れる事を考えなきゃと考えた。

  「ねえ!たこ焼きでも買わない?」

   委員長が声をかけ、私はそれを買った。
  “1個500円というのはお手軽の金額だ…”私はそう感じ、1個食べた。

  「俺にも一口くれよ。」
  「仕方がないな…。」

    彼に1個あげ、満足そうな笑顔で楽しそうに食べる。
    
  「射的とかあるけど?」
  「やるわ。」
  
     彼女はまるで必殺仕事人のような睨みつけ、そのお菓子を狙いを定め、撃ち落とすとおじさんは大きく拍手しながら褒めた。

   「いや~凄い集中力だね、大した子だよ。」
  「そうかしら?」
  「いや~ミス・スナイパーに選んでもいいくらいだ!」

     祭りで楽しんだ私たちは盆踊りを目にする。

  
   「これは大会なのかしら?」
   「いいやただの踊りだよ、自由参加する所だから良かったら廻道さん参加して見る?」
  「ええ、いいわ。」
  「じゃあ行こう!」
   
    私と彼は2人きりになった。
    そしてジャストタイミングだと思い、私は切り出した。



   「ねえ結人話したい事があるんだけど」


──── その話は次へと続く。
    



                                                                 続
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。

くずもち
キャラ文芸
楠 太平は模型作りが趣味の高校生である。 彼には昔から妖怪という普通の人間には見えない存在が見えているのだが、それはそれとして楽しく暮らしていた。 そんな太平の通う学校に、神木杏樹という転校生がやって来る。 彼女にも実は妖怪が見えているらしいのだが、どうやら彼女は妖怪が見えることを持て余しているらしい。 そんな神木さんに見えることが速攻でバレた楠 太平はマイペースにやっていくつもりが、彼女のペースに呑まれてゆく。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...