21 / 31
第5話:上ノ江結人の余裕
彼女のきもち
しおりを挟む
彼は女子の考えに不満を持っていた。
彼の周りにいる友達3人でその話で盛り上がっている。
「でさぁ、俺の友達の付き合っている女子が昨日浮気されて散々だったって話していたんだよな…。」
「え?理由は?」
「それがさ『アンタがいるとつまんないんだよね』だってさ~。」
「ムカつくな…。」
「女子として言っていい事と悪い事がある。」
「だよ…。」
彼がその話題を思い出し、声をかけた。
「あのさっ!」
「ん?(3人)」
「昨日俺の彼女と彼女の友達と近所の祭りへいってきたんだ。」
「おっスゲー!」
「流石モテ男!」
「イケメンは違うな~…。」
「そうじゃなくてさ!
彼女と2人きりの時に話したんだけど、なんか態度が不機嫌だったのが急に元気になっちまってなんか変だと思わないか?」
腕を組み何か違うと言わせるような表情をして言った。
「それはどうでもいいとして受け流した方がいいんじゃねぇの?」
「女子ってたまに何考えてんのか理解できない時があるからな~…。」
男子でも受け流し上手な人間とそうでもない人間もいると思うが、彼は受け流せるような器用な人間では無いため、余り得意じゃない。
そして一人悩みながら廊下で彷徨いながら考えた。
“女子の考え方に受け流すか…
それも手順としてはアリだけど、でも流すのはそれは効果的とは言いづらい…。
だとすれば、俺はどうすれば…”
彼は答えのないまま考える。
そして私と彼女と委員長は昨日の祭りの話をしていた。
「昨日は楽しかったな~♪」
「また来年も行こうよ!あの茜神社のお祭り!」
「人が多い所は初めてだけど、盆踊りだけは忘れられないわ。
委員長が達人のように見えたし。」
「それは言い過ぎだよ…。」
話していると彼がその教室から通り過ぎて行く姿があった。
気難しそうな顔をする彼を見たのが初めてだった私は声をかけようと2人から離れて向かった。
「上ノ江く~ん!」
普段学校にいる時は名字で呼び、外では下の名前で言うというのが決まりを私個人で作った。
下の名前ではバリバリリア充だとバレるからだ。(もう友達にバレているが…。)
友達に装い、カップルとしての環境を整える。
それこそが私独自のあり方である。
「おう、なんだよ。」
「なんか悩んでいるような感じだから気になって来たんだ~…。
もし困っていたらいつでも相談に乗るからさ、委員長もいるし。」
「おう、そうだな。
ありがとう。」
そう言いながら去っていった。
何か抱え込んでいるのは知っているが、でも近づき過ぎてしつこく聞くのもなんだと思い、私は様子を伺う事もなく辞めた。
「どこへ行ってたの?附田さん。」
「彼氏に聞いてきたんでしょ?」
「別に大した事じゃあないんだけどさ、悩んでいそうなんだよね…。」
「悩んでいそうって、あのノー天気そうな上ノ江君が?」
「そうなんだよ、だから意外と心配性なのかもなって思って近づきずらいんだよね…。」
「そうか…。」
「もし、悩みで聞いて来たらその時は相談に乗ってあげて!」
「大丈夫よ、そんな深刻そうな顔をしなくたってのってあげるしさ。」
安心できた私は委員長が頼もしく思い、心配かける必要などなかった。
昼休みの事、彼が珍しく彼女に話しかけた。
「廻道さん、ちょっといいか?」
なぜ私じゃなく、彼女なんだろうと思い、影から聞くことに。
「アイツになんか変わった事などなかったか?」
「変わった事?」
「そう。」
「…。
特にそんな大した事がないんだけど、彼への思いを断ち切るのを止めたんじゃないかしら?」
「どうして?」
「それは貴方の優しさかも…。
だから余計離れたくなくなったんだと彼女はそう考えていると思う。」
「そっか…。」
「何故、そんな気にしているの?」
「俺、付き合ってからずっと彼女の冷たさに違和感が感じたんだ。
ひょっとして嫌われたんじゃないかって不安が…。」
“その事で気にしていたんだ…。”私は彼に申し訳なく思った。
個人的な感情で彼を振り回していたんだと自分の情けなさで一杯である。
そして彼女は答えた。
「それは無いと思う、ひーさんはそんな気持ちを持っていないから。
複雑した感情でも嫌いだとか思っていない、私はそう思う。」
「廻道さん…。
そうだよな、きっと!」
彼女は私をかばい、その思いを答えるかのようにその正しさを彼に伝えた。
本当の私の姿を知っている彼女しか分からない。
そして彼の中で少し安心しきったような顔をして笑った。
続
彼の周りにいる友達3人でその話で盛り上がっている。
「でさぁ、俺の友達の付き合っている女子が昨日浮気されて散々だったって話していたんだよな…。」
「え?理由は?」
「それがさ『アンタがいるとつまんないんだよね』だってさ~。」
「ムカつくな…。」
「女子として言っていい事と悪い事がある。」
「だよ…。」
彼がその話題を思い出し、声をかけた。
「あのさっ!」
「ん?(3人)」
「昨日俺の彼女と彼女の友達と近所の祭りへいってきたんだ。」
「おっスゲー!」
「流石モテ男!」
「イケメンは違うな~…。」
「そうじゃなくてさ!
彼女と2人きりの時に話したんだけど、なんか態度が不機嫌だったのが急に元気になっちまってなんか変だと思わないか?」
腕を組み何か違うと言わせるような表情をして言った。
「それはどうでもいいとして受け流した方がいいんじゃねぇの?」
「女子ってたまに何考えてんのか理解できない時があるからな~…。」
男子でも受け流し上手な人間とそうでもない人間もいると思うが、彼は受け流せるような器用な人間では無いため、余り得意じゃない。
そして一人悩みながら廊下で彷徨いながら考えた。
“女子の考え方に受け流すか…
それも手順としてはアリだけど、でも流すのはそれは効果的とは言いづらい…。
だとすれば、俺はどうすれば…”
彼は答えのないまま考える。
そして私と彼女と委員長は昨日の祭りの話をしていた。
「昨日は楽しかったな~♪」
「また来年も行こうよ!あの茜神社のお祭り!」
「人が多い所は初めてだけど、盆踊りだけは忘れられないわ。
委員長が達人のように見えたし。」
「それは言い過ぎだよ…。」
話していると彼がその教室から通り過ぎて行く姿があった。
気難しそうな顔をする彼を見たのが初めてだった私は声をかけようと2人から離れて向かった。
「上ノ江く~ん!」
普段学校にいる時は名字で呼び、外では下の名前で言うというのが決まりを私個人で作った。
下の名前ではバリバリリア充だとバレるからだ。(もう友達にバレているが…。)
友達に装い、カップルとしての環境を整える。
それこそが私独自のあり方である。
「おう、なんだよ。」
「なんか悩んでいるような感じだから気になって来たんだ~…。
もし困っていたらいつでも相談に乗るからさ、委員長もいるし。」
「おう、そうだな。
ありがとう。」
そう言いながら去っていった。
何か抱え込んでいるのは知っているが、でも近づき過ぎてしつこく聞くのもなんだと思い、私は様子を伺う事もなく辞めた。
「どこへ行ってたの?附田さん。」
「彼氏に聞いてきたんでしょ?」
「別に大した事じゃあないんだけどさ、悩んでいそうなんだよね…。」
「悩んでいそうって、あのノー天気そうな上ノ江君が?」
「そうなんだよ、だから意外と心配性なのかもなって思って近づきずらいんだよね…。」
「そうか…。」
「もし、悩みで聞いて来たらその時は相談に乗ってあげて!」
「大丈夫よ、そんな深刻そうな顔をしなくたってのってあげるしさ。」
安心できた私は委員長が頼もしく思い、心配かける必要などなかった。
昼休みの事、彼が珍しく彼女に話しかけた。
「廻道さん、ちょっといいか?」
なぜ私じゃなく、彼女なんだろうと思い、影から聞くことに。
「アイツになんか変わった事などなかったか?」
「変わった事?」
「そう。」
「…。
特にそんな大した事がないんだけど、彼への思いを断ち切るのを止めたんじゃないかしら?」
「どうして?」
「それは貴方の優しさかも…。
だから余計離れたくなくなったんだと彼女はそう考えていると思う。」
「そっか…。」
「何故、そんな気にしているの?」
「俺、付き合ってからずっと彼女の冷たさに違和感が感じたんだ。
ひょっとして嫌われたんじゃないかって不安が…。」
“その事で気にしていたんだ…。”私は彼に申し訳なく思った。
個人的な感情で彼を振り回していたんだと自分の情けなさで一杯である。
そして彼女は答えた。
「それは無いと思う、ひーさんはそんな気持ちを持っていないから。
複雑した感情でも嫌いだとか思っていない、私はそう思う。」
「廻道さん…。
そうだよな、きっと!」
彼女は私をかばい、その思いを答えるかのようにその正しさを彼に伝えた。
本当の私の姿を知っている彼女しか分からない。
そして彼の中で少し安心しきったような顔をして笑った。
続
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる