女になりたい

みゆきじゅん

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第1章 女になった日

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オレはリビングに顔を出した。もう食事の用意ができている。
「玲奈、はやく椅子に座って食べなさい、あなたの大好きなマグロのお刺身よ、今日はお姉ちゃんが帰ってきたから奮発しちゃった、ウフッ」
お母さんがなんだか″るんるん″していた。
お姉ちゃん!?オレにお姉ちゃんなんて居なかった筈だ、オレは女になるまではひとりっ子だった。たしかに食卓テーブルに見知らぬ女性の姿がある。オレはその女性の横の椅子に座った。
「(独り言)うっ、なんかテーブル高さ高くなってる、ああ、オレが女になって背縮んだのか(普通に喋る)いただきまーす(思う)なんか食いずらいな」
隣の女性がお姉ちゃんなのか、いきなりのことでなんか照れくさくて目を合わせずに食事してる。
「しばらく見ないうちに玲奈ずいぶんと女らしくなったねー」
お姉ちゃんが言う。
「そ、そうかな」
オレは今さっき女になったのでそのまえなど知らなかった。そういうことかとオレはわかった、昔から、いや、生まれた時からオレは女だったことになってるらしい。
「あれっ、お父さんは」
父がいつもの席にいなかったのでオレがお母さんに聞いた。
「何言ってんの、お父さんはあなたが小さい時に天国に行ったでしょ」
お母さんは呆れた顔で言った。
「‥(悲しい)こっちでは、父さんいないのか」
オレは少し悲しくなった。
「ああーうまい、実家で飲むビール最高」
お姉ちゃんがしみじみしてるオレを差し置いてはしゃいでいた。キッチンとリビングを行ったり来たりしていたお母さんも席に着いた。
「いただきます、まったく、お嫁にいった娘がこう易々帰ってくるとはね、恐れ入りました」
お母さんはお姉ちゃんに皮肉たらたら言った。
「しょうがないでしょ、アイツ浮気してんだから、もー絶対に帰らない、ここに住む」
お姉ちゃんが怒って膨れっつらで言う。酒が進むお姉ちゃん。オレも飲みてーと手を伸ばしたが、お母さんに手をハタカレル。オレはこの家では酒禁止になってるらしい。もしかして、若返ってまだ未成年者なのかもなオレ。
「どうせ、また勘違いでしょ、よく確かめたの」
お母さんが言う。
「確かめるものなにも、スマホに着信やメールたくさんきてるし」
お姉ちゃんが言う。旦那さんのスマホ勝手に見たな、それ絶対やっちゃダメなやつだ。
「それはそうと、今日お風呂壊れちゃってるのよ、後で玲奈と一緒にそこの銭湯に行って来てね、お願い」
お母さんが言う。
「かしこまりっ」
軽いノリのお姉ちゃん、浮き沈み極端過ぎでしょ。
「(焦る)せ、銭湯、こ、この姿じゃ、お、女湯に入るしかないだろな、男湯じゃ、女が入って来たって大騒ぎになるだろうし、まさか、いきなり、女湯デビューかオレ、いや、ワタシ」
あまりの展開に食べ物を戻しそうになるオレ、いや、これからはワタシにしようもう女なのだから。
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