自由に、そして幸せに。

38

「ご飯できたわよ～」
しばらくするとヘレンさんの呼ぶ声が聞こえた。
「はい！今行きます！」
それに対してユウちゃんが慌てて返事をする。

「悪いんだけど、ダリアを起こしてくれない？まだ寝てるでしょ？」
「はい！分かりました」

「ダリアさん、起きてください。朝ですよ。ご飯ができたみたいですよ((ﾕｻﾕｻ))」
「ん～～～あさぁ～？」
「はい、朝です。起きてください」
「あれぇ～ヘレンはぁ～？」
「朝ごはんの用意をしてくれているみたいです」
「あ～～ねぇ～～
あ、そっかぁ、昨日君たち泊ったんだっけ～～？」
「はい。ありがとうございました」
「((ペコリ))」
「ああ、全然気にしなくていいよ～
じゃぁ、ごはんいこっか～」
「はい」
「((こくん))」




「あぁ、おはよう、ダリア」
「おはよ～ヘレン～」
「今日は早く起きるって昨日言ってたのに相変わらず遅いわね。あなたが最後よ」
「え～でも、子供たちもあの部屋にいたしそんなに遅くもないでしょ？同じくらいでしょ？」
「いいえ。この子たちが一番の早起きよ。私が起きた時にはすでに起きて話してたみたいだもの」
「えーー！ほんとにぃ？！早起きだね！！ちゃんと寝たの？寝れなかったとか？」
「いえ…大丈夫です。ちゃんと寝れましたよ」
「君も？」
「((ｺｸｺｸｯ))」
「…そう、ならいいんだけどね」
「はい。お気遣いありがとうございます」
「……ほんとに貴族の子じゃないの？」
「あ…わからないです。ごめんなさい……」
「あ、いや、いいのよ！
こらダリア！余計なこと言わないの！この子たちは記憶がないんだから！」
「あ、そっかごめん…」
「いえ、気にしないでください！全然気にしてませんから！」
「そ？ならこの話はもうお終いね！さ、スープが冷めちゃうわ！食べましょう！さ、席について」
「そうだね、早く座ろう！」
「はい」
「((ペコリ))」

さっきまでキッチン付近で話していたので、テーブルへ向かう。
テーブルにはヘレンさんが用意してくれた朝ごはんが並べられていた。
メニューは、野菜がたくさん入ったスープと昨日食べたあの固いパン。
…食べられるかな？

「ミカ、食べられる？((ｺｿｯ))」
「…大丈夫。頑張って食べるよ((ｺｿｯ))」
「……ムリするなよ。残ったら俺が食べるから((ｺｿｯ))」
「ありがとう…((ｺｿｯ))」

席について、食べ始めようかと思っていると、ヘレンさんが話しかけてくる。

「ねぇ、そういえばあなたたちの髪色、同じなのね」
「え？あ…そうですね（いつの間に黒にしたんだ？）」
「じゃあやっぱり双子なのかしらねぇ」
「ほかにも似たような髪色の人もいますけど…？」
「あぁ、黒髪の人はまぁ、普通に居るんだけどね。
君たちみたいに純粋な真っ黒ってのはあんまりいないから。二人の黒は黒の中でもひと際綺麗な黒だからもしかしたら双子なのかな～？ってだけだよ。
ここには少なくても、もっと栄えているところへ行けば別に珍しくもないかもしれないんだけどね。田舎で暮らす僕たちはあまり見ない黒だから。」
「……」
「あ、別に君たちの髪色が珍しいから何かある、ってわけじゃないから、全然気にしなくていいよ～」
「そうね…黒い髪の人なんて割と居てるしね。両親共に黒髪なら真っ黒にもなるだろうし、全然気にすることないわよ！」
「はい…」

やば…一瞬黒髪ダメなのかと思っちゃった。よかったぁ～問題なさそうで。
昨日は夜だったから、黒髪がいる認識しかしてなくて、黒の濃さなんて全然気づかなかった…。
たしかにユウちゃんの黒髪は特別綺麗。手入れすれば、つやが出てとってもきれいになると思う。
僕の髪色はそれを見て合わせたから、まったく同じ感じになっているんだろうと思う。
目論見通りと言うかなんというか、ちゃんと兄弟、双子認識されてる感じでよかった！