髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

29.モンスターのとか言わないで。

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「……ユキ、ユキ…!」
「…んぅ?」
「店、着いたぞ」
「…ふぅぅん……みしぇ?」

どうやら完全に寝てしまったらしい。
ガイさんに揺すられ、起こされた。
店ってなんだ?なんの店?
俺は伸びをしながら、質問したが、質問のしかたをミスったかもしれない。言葉が足らなかった気がする。伝わるか?

「あぁ、お店だ。今日はおじさんが奢ってやるから一緒にご飯食べような。」

あれ?ずんぐりむっくりのおっちゃんがいる。
あーそれで、おっちゃんが戻ってくるの一緒に待ってたわけね。
でも俺、寝起きでお腹すいてないんだけど?

「…ぉはん?」
「「……」」

あー、俺記憶喪失設定だったな。普通に子供っぽくオウム返ししただけなんだけど…そんな困ったような顔しなくていいから!そんな同情の目を向けないで!知ってるから!ご飯がなにかくらい!

「あー…お腹、空いてるだろ?とにかく食べような!注文してるのがそろそろ来るはずだから」
「そうだそうだ。もうそろそろ来るぞ~!さっき飲み物持ってきてくれたお姉さんが言ってたからな!」
「……?」

お腹すいてないけど、どんなものが出てくるのか楽しみだ!
ワクワクして、どんなのが来るのか聞きたいが、2歳児だからな。理解できないフリをしなきゃだよね。
そう思い俺は、子首を傾げながら何かわかんないけど、楽しみなことが起こるの?みたいな顔をした。

「コンコン、失礼しま~す!ご注文の品お持ちしました~!」
「おっきたきた~!」

ここは個室になっているのでノックをして若いお兄さんが料理を持って入ってきた。

「以上でおそろいですか?」
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」
「いえいえ、では、失礼致します!」

そう言ってお兄さんは出ていった。

テーブルの上に並べられた料理は肉料理メインだった。
野菜はちょこっとお皿の端に乗ってるくらいのものと、スープに浮かんでいるものがほとんどで、あまり無かった。
そして、肉料理なのに、パン!ご飯じゃなくパン!異世界っぽい!……けど、お肉はご飯でしょ。
正直お腹空いてないからお肉要らないってのもあるけど、ご飯なしでお肉食べたくない。というか食べれない。だって日本人だもの。
大人しくスープでも飲んでようかな。正直今の気分は何か食べるならお粥なんだけど、肉にパン合わせてるし無いんだろうな…無いんだろうなぁ~……。

「ユキ、何食べたい?これとかどうだ?」

そう言ってガイさんが勧めてきたのは、なんかよくわからんやつ。
肉団子みたいな…茶色くて、まぁるい形をしていて。そしてめちゃくちゃでかい。拳くらいのサイズ。あ、2歳児の拳サイズだからそんなに大きくはないか?

「こりぇ、なんれしゅか?」
「あぁ、これは肉丸塊にくがんかいと言って様々なモンスターの肉を混ぜて丸めたものだ。店によって混ぜてある肉が違うんだが、聞いてみるか?何が入ってるか」

うぇ…異世界っぽいけど……聞きたくなかった。もちろん何が入ってるかも聞かない。
異世界の食文化はやはり異世界だった。ゲテモノすぎる。食えんわ

「い、いいれしゅ……」
「そうか?とりあえず食ってみろよ。うまいぞ」
「……いいれしゅ」

お腹すいてないし、元々食欲そんなにないのにさらに無くなった。だからそれは食べません。

俺はブンブンと首を振りながらいらないと伝えた。

「そうか?うまいのに。食ってみろよ」
「ほんとにうまいぞ?俺もこれ好きだ」
「だよな、俺もこれ好きなんだよ。店によって味が違ったりするのがまたいい。食べ比べ甲斐があるからな」
「だよな!売ってる店があるとついつい頼んじまう」
「俺もだ」

……なんか2人で盛り上がり始めた。そんなに美味しいの?ちょっと食べてみる?食わず嫌いは良くないもんね?
……でも、今日は無理だどっちにしろ。お腹すいてない。

「ぼく、おにゃか、すいちぇにゃい、れしゅ…」
「「え?!」」
「お前、今日何も食ってないだろ?会ってから1度も食ってないじゃねぇか!俺たちはお前に会う前に昼食ったから忘れてたが、さすがに空いてるだろ。俺はペコペコだぞ?!」
「…しょ、しょれれも、おにゃか、しゅいちぇにゃい……れしゅ……ぉめんにゃしゃい…」

なんか凄い勢いで言われて、つい謝ってしまった。癖だ。前世の癖。おっきい声で一気に話されると、つい謝ってしまう。

「あっ…わるい、いや、別に怒ってるわけじゃないんだ…わるかった」
「ま、まぁまぁ、お腹すいてないのは寝起きだからじゃないか?さっきもずっと寝てたしな~初めはスープとか飲んどくか?」

「しゅーぷ?」
「そう、スープだ。色々あるぞ?なにがいい?俺のおすすめはこれだ!」








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