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第3章
143.受け入れる準備。
しおりを挟む「ユキ、これ、お誕生日プレゼントだ。おめでとう」
「おばあちゃんからもプレゼントよ!おめでとう」
「ユキ、おめでとう」
おじいちゃん、おばあちゃん、父様、の順番でおめでとうとプレゼントを受け取る。
その後、ガイさんとライさんからもプレゼントを貰い、使用人一同からだというプレゼンとも受け取った。それは5歳という節目だからだそうで、毎年は“一同”という形では貰わず、個人から貰うことはあった。
全員からプレゼントを受け取り、皆に感謝の言葉を伝え、早く開けてみろと急かされ渡された順番にプレゼントの包みを丁寧に破らないように開けた。
おじちゃんからは絵本5冊で、おばあちゃんからはおままごとセット。父様からは俺とリスくん(リスさんより言いやすいように変更済み)、それからアミュートに合わせたお揃いのアクセサリーだった。俺とリスくんはいつも同じ服を着て、アミュートだけ何も無いのが気になっていたが、ブレスレットと言う形でお揃いのものができてとても嬉しかった。
そして、ガイさんからはいつか買ってあげると言われていたグリフォンのぬいぐるみで、ライさんからはお絵描きノートとクレヨンだった。
使用人の方たちからは、ドールハウスで、最近増えたひとり遊びの足しにして欲しいとの事だった。
みんなからのプレゼントにはそれぞれの気持ちが籠っており、使用人さん達からのは、一人一人のおめでとうメッセージカードつきだった。
みんなは俺のプレゼントを開けた時のリアクションをみて喜び、嬉々としてプレゼントを選んだ理由を話してくれた。
みんなが一生懸命俺のことを考えて選んでくれたのがよく伝わり、本日何度目かの愛を感じて心がポカポカして、鼻の奥がツンとして涙がこぼれそうになった。
その様子を隠すようにアミュートに顔を埋めて隠せば、みんなはどうしたのかとオロオロとしていて、その様子さえ俺の涙腺を刺激する要素になっていた。
そしてとうとうたまらなくなって、声を殺してできるだけ気付かれないように努めながら、俺は嬉し涙が溢れることを許した。
「ユキ、大丈夫か?体調悪いか?」
俺の体は相変わらず虚弱で、すぐに体調を心配されてしまうのは少し複雑だが、それだけ愛されているんだろうなと、また、溢れる涙が増す。
そんな俺をアミュートはヨシヨシと撫でるようにしっぽを動かし、慰めてくれる。
おじいちゃんも心配して背中を摩ってくれ、おじいちゃんは不器用だがちゃんと優しいんだよなと思ってまた涙がこぼれた。
俺は今、前世と今世の家族の形の差を改めて感じて、いい意味で不安定なんだと思う。
前までの不安でたまらない恐怖からの荒れる心じゃなくて、俺は漸く今のこの暖かい環境を受け入れる準備をするために不安定なんだと思う。
前向きな心の変化に、これからはもう本当に大丈夫だと感じ、俺は声を上げて泣き始めてしまった。
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