髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

文字の大きさ
174 / 218
第3章

174.久しぶりの取り合い。

しおりを挟む
今日からお勉強再開で、ライさんが教えてくれる日だ。
少しワクワクする気持ちと、大きな不安を抱えて、あれ以来入っていなかった学習室に足を踏み入れる。今日はアミュートも一緒だ。
ライさんはもう着いていて、俺が来て笑顔で手を広げてしゃがみ構えてくれる。
入るのに勇気の言ったトラウマになりかけのこの部屋は、そんなライさんの暖かい歓迎で払拭された。

「らいさん!」
「ユキ~~!は~~癒しだぁ~~」
「らいさん?」
「ごめん疲れたからちょっとだけ…」
「おつかれさまぁ」
「ふぅぅっ…ユキが可愛くて辛い…」
「え?」
「んーん!よし、じゃあ始めようか!」
「うん!」

ライは俺を抱きしめてエネルギーチャージをした後、俺を席に座らせる。

「まずね、どこまでやったか確認したいんだけど…」
「…ここまでやった!でも、ここまではよしゅう、したよ!」
「そっか~!偉いねユキ!」

今日やる歴史の教科書は習ってある範囲からさらに10ページ先くらいまで予習していた。それをハグされながら頭を撫でまくられ褒められ嬉しくなる。

「なら、とりあえずやってある範囲までの問題を出すから答えてみてくれる?復習ね」
「はーい!」
「いい返事!なら──」

そこから、初めからやってある範囲までの問題を全問正解で答え、またライさんに滅茶苦茶に褒めてもらい、予習範囲も満点で、抱き上げてクルクル回りながら褒められた。

「ユキ~!天才!天才だよユキー!」
「えへへ~」
「えーもー可愛すぎー!じゃあどうしよっか…復習してあるところ、教える必要なさそうだもんね……なにか質問とかある?」
「…ない、かな」
「だよね~あったら満点じゃないよね~…うーんじゃあ今日はこっちやる?」
「あ、それ、いっかいもならってない!」
「だよねだよね!じゃあこっちやろっか」

そういってライさんが用意したのは数学の教科書。俺はあの人に教わっていたのはマナーと歴史、座学の魔法、この3つだった。数学はまだ習っていない。前世と同じだろうか?物語あるあるでは前世と一緒だよね。

「じゃあちょっと教科書ぺろぺろとめくって見ててくれる?私ちょっとノアに自慢してくるから」
「じまん?」
「そ!仕事終わらなくって私が今日教えることになったから、ユキの天才ぶりを真っ先に褒められた事を自慢しに行くんだよ」
「…いってらっしゃい」
「いってきま~す!」

ライさんは楽しそうに出ていった。

『年々ライさんのキャラが崩れてる気がする…』
『…隠すのを辞めただけだと思うよ』

ライさんは初めの頃、父様とガイさんの仲裁をしていて、こんな感じじゃなかったはずなのに…まぁ、楽しそうだから全然いいんだけどね。

「ただいま~!どう?どんな感じ?難しいでしょう?」
「ユキ!俺も教えるから頑張ろうな!」
「とうさま?」
「ちょっと、なんでついてきてるの?仕事は?」
「いい!」
「いや、ダメだから。早く戻って」
「…とうさま、おしごとがんばってね!」

教科書をぼーっと眺めているとライさんが戻ってきて、後ろから父様がひょっこり現れた。
自慢されて着いてきてしまった父様に抱きついて応援する。
すると、俺をぎゅーっと抱きしめてエネルギーチャージした父様は、後ろ髪を引かれる用に部屋から出ていった。

「さ、続きしましょう。ぺろぺろみてどんな感じだった?これから教えていくけど、その前に質問ある?」

ぺろぺろって言い方が気になります。とは言えないし、物語通り前世と一緒な感じで簡単すぎてびっくりしましたとも言えない。どうしよう。だってこの教科書最後まで見ても掛け算とか出てこない。ずっと足し算引き算の問題だ。そりゃ、前世のたかし君の奇行みたいな文章問題とかあったけど、だとしても簡単すぎる。これは数学の教科書じゃなくて算数の教科書だ。

「……」
「ユキどうしたの?やっぱり難しいよね」
「……」

難しいと言うべきか言わないべきか……

『アミュート、どう思う?』
『どうせバレるし言った方がいいんじゃない?別の科目するかもだし』
『そうだね…』

「ねぇライさん」
「どうしたの?質問?」
「ん~…あのね、これ、さいごまでよんだんだけど、かんたん…だった…ぜんぶ、わかるよ……」
「え、嘘でしょ?!」
「……」
「ちょっちょっちょ……まって、じゃあこれ解いてみて?」
「…」
「じゃあこれは?」
「…」
「うそ……ちょ、ちょっとまってて、アミュートと遊んでていいから待ってて!」

ライさんさ紙に問題を書いては俺に見せ、俺が直ぐに答えを書けば慌てて部屋から出ていった。さっき戻ってきたばっかりなのに大変だね。

『アミュートなにしてよっか…』
『もふもふしてて』
『ふふっ、いいよ~ブラシも持ってるよ』
『ブラシがいい』
『任せて!』

そうしてアミュートを綺麗にもっふんもっふんにして待っていると、なぜかガイさんが勢いよく入ってきて俺を抱き上げてクルクル回った。

「え、ちょ、なに?ガイさん?ちょ、ちょっちょ、」
「ユキーー!最高だなー!天才だなーー!」
「おいガイっ!お前がずるいぞ!俺が1番初めに褒めようと思ったのにっ!」
「はっ!お前いっつもユキの事独り占めしてるじゃねぇか!お前の方がずるい。俺たちがどれだけ我慢してるかお前知らねぇだろ!まったく…他の奴らがいると我慢せざるをえないってのにお前はドヤ顔でユキのこと可愛がりやがって」

ガイさんの文句が止まらない。
ところでライさんは?

「ねぇ、ガイさん。ライさんは?」
「母さん達に捕まってるんだ。俺が押し付けてきたんだ」
「はっ、それで俺に負けてたら世話ないな」
「はぁ?お前マジで……ユキ、おいで」
「渡すわけねぇだろうが。ユキは今俺の腕の中がお気に入りなんだよ」
「はぁ?俺に決まってるだろうが!」
「ちょっと!2人とも!いい加減にしてよ!」
「「……早かったな」」
「はぁ…」

ライさんは現れるなり2人の喧嘩を止めて、しれっとガイさんの腕にいる俺を攫っていく。あぁなんかこういう所は変わってないよね。

「母さん達は?」
「…パーティの準備をするとか言ってたよ」
「なるほどな」
「パーティ?するの?」
「そう、ユキがとっても賢いから、沢山褒めるパーティするんだって」

おぉ!なんかそれ楽しそうだなっ!






しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ
ファンタジー
「佐藤さんはお亡くなりになりました」 「え?」 佐藤竜、独身リーマン。ビルの倒壊で享年(40)案内役に連れられ天へと向かうが⋯⋯⋯⋯ 「佐藤竜はさぁ、色んな世界でも特に人気の高い地球の日本に産まれて一体何を成し遂げたの?」 「え?」 「五体満足な体。戦いの無い安全な環境で育ち、衣食住は常に満たされて、それで何をしたの?」 俺は恵まれた環境であまりにもショボい人生を送っていたらしい。このままでは⋯⋯⋯⋯ 「はぁ。どうしようかな。消すかな」 「な、何をですか?!」 「君を」 「怖いです!許して下さい!」 「そう?消えれば無に還れるよ?」 「お、お願いします!無は嫌です!」 「う~ん。じゃあ君は佐藤と真逆の人生を歩ませようかな?そこで人生経験ポイントを佐藤の分まで貯めなよ?佐藤とこれから転生する君の二人分の体験だよ?失敗したら今度こそは無にするからね」 「はい、死ぬ気で頑張ります!!」 ここから真逆の人生で経験ポイント貯める佐藤の戦いが始まる?!

転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。

まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。 温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。 異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか? 魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。 平民なんですがもしかして私って聖女候補? 脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか? 常に何処かで大食いバトルが開催中! 登場人物ほぼ甘党! ファンタジー要素薄め!?かもしれない? 母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥ ◇◇◇◇ 現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。 しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい! 転生もふもふのスピンオフ! アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で… 母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される こちらもよろしくお願いします。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

モブっと異世界転生

月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。 ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。 目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。 サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。 死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?! しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ! *誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

処理中です...