199 / 218
第4章
199.俺と私、ハルとルル。
しおりを挟む
抱きつくケルに気付いたルルが俺からケルを引き剥がす。
「なんですかあなた。坊ちゃんに触らないでください」
「ルル」
「あ…ユキ、様…」
「ルル」
「ユキ…さ」
「ルル。」
「…………ユ、キ……」
「ん」
この学園ではユキと呼ぶようにと伝えていたのにルルは俺を坊ちゃんと呼ぶ。すごく言いにくそうにしているが俺をユキと呼び捨てに出来たルルの頭を撫でるとルルは少し照れ、嬉しそうにしていた。しかし直ぐにその顔は真顔に戻り、ケルを見据える。俺はルルの頭を撫でることをやめなかった。
「ユキ…に、なぜ抱きついていたのですか?あなたは誰ですか?私が緊張で固まっている間にあなたはユキ…と、知り合って抱きついていたというのですか?そうなのですか?」
「え……あ…えっと…まぁ、そうだな」
「はぁ…ユ、キ…、本当ですか」
「そうだよ」
「そうだよって……はぁ」
「クスクス…」
「笑わないでください!」
「いや、まぁそんなことよりさ。この子はケルっていってちょっと話しただけだけどすごくいい子そうだから仲良くしよ?」
「……そんなまだ少ししか話してもいないような人にあなたは抱きつかれていたのですか?!」
「……ごめんね」
「はぁ…」
呆れた様に頭を指先でクリクリと押さえながら下を向いてため息を着くルルの頭からさすがに手を離して撫でるのを辞めた。
「クス…なに、お前ら仲良すぎないか?」
「ん?そうだね」
「頭ずっと撫でてたかと思ったら今度は心配そうに見つめてるとか…坊ちゃんとか言ってたしお前達は貴族とその従者的な仲なのか?」
「…一応はそうだね。でも友達だよ」
「はい。友達…ですね。でも私はぼ…ユキ、の従者見習いです。」
「で、ルル?も、貴族なのか?」
「…ルルと呼ばないでください。私は、ハルラルク。ルル以外ならなんと呼んでもらっても構いません」
「じゃ、ハルな」
「…いいですよ」
「ハル、敬語やめてくれ。学園は身分差なしだろ」
「……わかった。じゃあ俺もケルって呼ぶ…」
「おう!」
「いやいやいやいや…!え?ちょっとまって?いや待って?まってまってまって……」
2人のやり取りを見ていたら、ものすごいことが起きた。
2人が距離を縮めたのはいい。むしろよろこばしい。だが、最後のはなんだ。
『“じゃあ俺もケルって呼ぶ”』だ?俺って言ったか?言ったよな?いや、しかもケルにはタメかよ!俺には何回行っても敬語で接してくるくせに!
そりゃ、分かるよ?ルルは俺の専属執事になるのが夢らしいし、あくまで従者としての振る舞いを意識している訳だし、そう簡単に友達だからという理由でそれをないがしろにすることが出来ないのは分かってるつもりだ。だから、ルルのペースで少しずつ慣れてくれればと思ってた。実際最近はちょこちょこ敬語が抜けている。
のに!
あって数分のやつに負けた。
しかも!
ルルの一人称が“俺”だなんて知らなかった。
キャラが違う!
混乱するななんて無理な話である。
「どうしたんだ?」
「……や、まって…ちょっと頭整理したい。」
「ユキ…、私がなにかしましたか?」
「……」
俺には敬語なんだね。なんか悲しくなってきた。
「なんですかあなた。坊ちゃんに触らないでください」
「ルル」
「あ…ユキ、様…」
「ルル」
「ユキ…さ」
「ルル。」
「…………ユ、キ……」
「ん」
この学園ではユキと呼ぶようにと伝えていたのにルルは俺を坊ちゃんと呼ぶ。すごく言いにくそうにしているが俺をユキと呼び捨てに出来たルルの頭を撫でるとルルは少し照れ、嬉しそうにしていた。しかし直ぐにその顔は真顔に戻り、ケルを見据える。俺はルルの頭を撫でることをやめなかった。
「ユキ…に、なぜ抱きついていたのですか?あなたは誰ですか?私が緊張で固まっている間にあなたはユキ…と、知り合って抱きついていたというのですか?そうなのですか?」
「え……あ…えっと…まぁ、そうだな」
「はぁ…ユ、キ…、本当ですか」
「そうだよ」
「そうだよって……はぁ」
「クスクス…」
「笑わないでください!」
「いや、まぁそんなことよりさ。この子はケルっていってちょっと話しただけだけどすごくいい子そうだから仲良くしよ?」
「……そんなまだ少ししか話してもいないような人にあなたは抱きつかれていたのですか?!」
「……ごめんね」
「はぁ…」
呆れた様に頭を指先でクリクリと押さえながら下を向いてため息を着くルルの頭からさすがに手を離して撫でるのを辞めた。
「クス…なに、お前ら仲良すぎないか?」
「ん?そうだね」
「頭ずっと撫でてたかと思ったら今度は心配そうに見つめてるとか…坊ちゃんとか言ってたしお前達は貴族とその従者的な仲なのか?」
「…一応はそうだね。でも友達だよ」
「はい。友達…ですね。でも私はぼ…ユキ、の従者見習いです。」
「で、ルル?も、貴族なのか?」
「…ルルと呼ばないでください。私は、ハルラルク。ルル以外ならなんと呼んでもらっても構いません」
「じゃ、ハルな」
「…いいですよ」
「ハル、敬語やめてくれ。学園は身分差なしだろ」
「……わかった。じゃあ俺もケルって呼ぶ…」
「おう!」
「いやいやいやいや…!え?ちょっとまって?いや待って?まってまってまって……」
2人のやり取りを見ていたら、ものすごいことが起きた。
2人が距離を縮めたのはいい。むしろよろこばしい。だが、最後のはなんだ。
『“じゃあ俺もケルって呼ぶ”』だ?俺って言ったか?言ったよな?いや、しかもケルにはタメかよ!俺には何回行っても敬語で接してくるくせに!
そりゃ、分かるよ?ルルは俺の専属執事になるのが夢らしいし、あくまで従者としての振る舞いを意識している訳だし、そう簡単に友達だからという理由でそれをないがしろにすることが出来ないのは分かってるつもりだ。だから、ルルのペースで少しずつ慣れてくれればと思ってた。実際最近はちょこちょこ敬語が抜けている。
のに!
あって数分のやつに負けた。
しかも!
ルルの一人称が“俺”だなんて知らなかった。
キャラが違う!
混乱するななんて無理な話である。
「どうしたんだ?」
「……や、まって…ちょっと頭整理したい。」
「ユキ…、私がなにかしましたか?」
「……」
俺には敬語なんだね。なんか悲しくなってきた。
49
あなたにおすすめの小説
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める
亀野内アンディ
ファンタジー
「佐藤さんはお亡くなりになりました」
「え?」
佐藤竜、独身リーマン。ビルの倒壊で享年(40)案内役に連れられ天へと向かうが⋯⋯⋯⋯
「佐藤竜はさぁ、色んな世界でも特に人気の高い地球の日本に産まれて一体何を成し遂げたの?」
「え?」
「五体満足な体。戦いの無い安全な環境で育ち、衣食住は常に満たされて、それで何をしたの?」
俺は恵まれた環境であまりにもショボい人生を送っていたらしい。このままでは⋯⋯⋯⋯
「はぁ。どうしようかな。消すかな」
「な、何をですか?!」
「君を」
「怖いです!許して下さい!」
「そう?消えれば無に還れるよ?」
「お、お願いします!無は嫌です!」
「う~ん。じゃあ君は佐藤と真逆の人生を歩ませようかな?そこで人生経験ポイントを佐藤の分まで貯めなよ?佐藤とこれから転生する君の二人分の体験だよ?失敗したら今度こそは無にするからね」
「はい、死ぬ気で頑張ります!!」
ここから真逆の人生で経験ポイント貯める佐藤の戦いが始まる?!
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
転生したらちびっ子になって、空を落ちていた件 〜もふもふたちのお世話はお任せあれ。ついでに悪もやっつけます!〜
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした高橋凛は、お詫びとして理想の世界へ転生することに。しかし気がつけば幼児の姿で、しかも空を落下中だった!?
バカ神、あいつまたミスったな!? そう思いながらも、凛はどうすることもできず、空を落ちていく。しかも更なるアクシデントが凛を襲い……。
が、そのアクシデントにより、優しい魔獣に助けられた凛は、少しの間彼の巣で、赤ちゃん魔獣や卵の世話を教わりながら過ごすことに。
やがてその魔獣を通じて侯爵家に迎え入れられると、前世での動物飼育の知識や新たに得た知識、そして凛だけが使える特別な力を活かして、魔獣たちの世話を始めるのだった。
しかし魔獣たちの世話をする中で、時には悪人や悪魔獣と対峙することもあったため、凛は、『魔獣たちは私が守る!!』と決意。入団はできないものの、仮のちびっ子見習い騎士としても頑張り始める。
これは、凛と魔獣たちが織りなす、ほんわかだけど時々ドタバタな、癒しとお世話の物語。
モブっと異世界転生
月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。
ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。
目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。
サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。
死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?!
しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ!
*誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。
小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!
ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。
一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて?
主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍?
「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」
『わふっ』
もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる