4 / 19
第4話 初デートはオークの森
しおりを挟む
レイナさんと連絡先を交換した翌日。
俺はいつも通り、満員電車に揺られて会社に向かっていた。目の前の現実、まあ言えば仕事と昨夜の非現実的な出会いのギャップに頭がクラクラする。
(本当に、また連絡来るのかな……。昨日のあれは、夢だったんじゃないか?)
そんなことを考えていると、ポケットのスマホがブブッと震えた。
メッセージアプリの通知だ。
送り主は……レイナさん!?
『佐藤さん、おはようございます!(^▽^) 昨日はありがとうございました! 早速なんですけど、次のダンジョン、いつ行けますか? 私、いつでも大丈夫です!』
ものすごい勢いのメッセージだ。
絵文字がキラキラしている。本当に行く気満々らしい。
『おはようございます。こちらこそ、昨日はありがとうございました。次のダンジョンですが、俺は基本、平日の夜か土日なら大丈夫ですけど……』
『本当ですか!? じゃあ、今週末の土曜日なんてどうでしょう?』
『土曜日、大丈夫ですよ。それで、どこか行きたいダンジョンとかありますか? あまり危険じゃないところだと助かるんですが……(汗)』
Fランクの俺が行ける場所なんて限られている。せいぜい、ゴブリンの巣の上位互換『コボルト鉱山』くらいか?
コボルト肉は……まあ、食えなくはないが、あまり美味しくはないんだよな。
すると、レイナさんから予想外の返信が来た。
『私、行ってみたいところがあるんです! Dランクダンジョンの【オークの森】! オーク肉って、美味しいって有名じゃないですか? 佐藤さんの料理で食べてみたいです!o(>▽<)o』
『お、オークの森ぃ!?』
思わず、電車の中で声を上げそうになる。
オークの森は Dランク探索者向けの、中級ダンジョンだ。
出現するのは、その名の通りオーク。
ゴブリンとは比較にならない巨体とパワーを持つ、凶暴なモンスターだ。Fランクの俺が足を踏み入れていい場所じゃない!
『いやいやいや! 無理ですよ! オークなんて、俺が一撃でミンチにされちゃいますって!』
『大丈夫ですって! 私がちゃんと守りますから! ね? お願いします! オーク肉のステーキとか、角煮とか……想像するだけで、よだれが……(´﹃`)』
(よだれ垂らしてる絵文字送ってくるな!)
しかし、彼女の熱意は本物らしい。
「オーク肉」という単語に並々ならぬ執念を感じる。俺の貧弱さなど、彼女の食欲の前では些細な問題でしかないようだ。
(……まあ、レイナさんの実力なら、オークくらい楽勝なのかもしれないな)
昨日のゴブリン瞬殺劇を思い出す。
あれが本物なら、確かにオーク相手でも問題ないのかもしれない。それに……正直、オーク肉は俺も興味があるのは事実だ。
豚肉よりも濃厚で、ジューシーな味わいだと聞く。一度でいいから、調理してみたいと思っていた食材だ。
(……危険だけど、これも経験か? Sランクを目指すなら、いつかは通る道……いや、それは違うんじゃないか)
結局、俺はレイナさんの「美味しいオーク肉が食べたい!」という願いに押し切られる形になった。
『……わかりました。レイナさんがそこまで言うなら。でも、本当に危なくなったら、俺のこと担いで逃げてくださいね!』
『はいっ! お任せください!( ̄^ ̄)ゞ じゃあ、土曜日の朝10時に、オークの森の入り口ゲート前で待ち合わせしましょう!』
こうして俺の初オークの森の挑戦が決まった。
週末まであと数日。
それまでに、オーク肉のレシピを調べて、少しでもマシな装備を整えておかないと……。
あと、心の準備も。
その日の昼休み、俺はスマホで「オーク肉 レシピ」「オーク 攻略 Fランクでもできること」などと必死に検索していた。
隣の席の同期、田中がチラチラとこちらを見ている。
「佐藤、最近なんかスマホばっか見てない? しかも検索履歴『オークの肉汁』とか『ゴブリン 下処理』とか、物騒なんだけど。ついに、現実逃避して変な趣味に目覚めた?」
「う、うるさい! これは、男のロマンだ!」
「ふーん。まあ、ストレス溜まってるなら、今度飲みに行くぞ? 俺、最近いい店見つけたんだ。ダンジョン食材使った創作料理出す店でさ……」
「なっ……!?」
田中の言葉に、俺は思わず食いついた。
ダンジョン食材の店だと?
しかも創作料理?
(くそっ、先を越された……! いや、俺は自給自足派だ!)
俺は謎の対抗心を燃やしつつ、週末のオーク肉料理への謎の決意をするのだった。
俺はいつも通り、満員電車に揺られて会社に向かっていた。目の前の現実、まあ言えば仕事と昨夜の非現実的な出会いのギャップに頭がクラクラする。
(本当に、また連絡来るのかな……。昨日のあれは、夢だったんじゃないか?)
そんなことを考えていると、ポケットのスマホがブブッと震えた。
メッセージアプリの通知だ。
送り主は……レイナさん!?
『佐藤さん、おはようございます!(^▽^) 昨日はありがとうございました! 早速なんですけど、次のダンジョン、いつ行けますか? 私、いつでも大丈夫です!』
ものすごい勢いのメッセージだ。
絵文字がキラキラしている。本当に行く気満々らしい。
『おはようございます。こちらこそ、昨日はありがとうございました。次のダンジョンですが、俺は基本、平日の夜か土日なら大丈夫ですけど……』
『本当ですか!? じゃあ、今週末の土曜日なんてどうでしょう?』
『土曜日、大丈夫ですよ。それで、どこか行きたいダンジョンとかありますか? あまり危険じゃないところだと助かるんですが……(汗)』
Fランクの俺が行ける場所なんて限られている。せいぜい、ゴブリンの巣の上位互換『コボルト鉱山』くらいか?
コボルト肉は……まあ、食えなくはないが、あまり美味しくはないんだよな。
すると、レイナさんから予想外の返信が来た。
『私、行ってみたいところがあるんです! Dランクダンジョンの【オークの森】! オーク肉って、美味しいって有名じゃないですか? 佐藤さんの料理で食べてみたいです!o(>▽<)o』
『お、オークの森ぃ!?』
思わず、電車の中で声を上げそうになる。
オークの森は Dランク探索者向けの、中級ダンジョンだ。
出現するのは、その名の通りオーク。
ゴブリンとは比較にならない巨体とパワーを持つ、凶暴なモンスターだ。Fランクの俺が足を踏み入れていい場所じゃない!
『いやいやいや! 無理ですよ! オークなんて、俺が一撃でミンチにされちゃいますって!』
『大丈夫ですって! 私がちゃんと守りますから! ね? お願いします! オーク肉のステーキとか、角煮とか……想像するだけで、よだれが……(´﹃`)』
(よだれ垂らしてる絵文字送ってくるな!)
しかし、彼女の熱意は本物らしい。
「オーク肉」という単語に並々ならぬ執念を感じる。俺の貧弱さなど、彼女の食欲の前では些細な問題でしかないようだ。
(……まあ、レイナさんの実力なら、オークくらい楽勝なのかもしれないな)
昨日のゴブリン瞬殺劇を思い出す。
あれが本物なら、確かにオーク相手でも問題ないのかもしれない。それに……正直、オーク肉は俺も興味があるのは事実だ。
豚肉よりも濃厚で、ジューシーな味わいだと聞く。一度でいいから、調理してみたいと思っていた食材だ。
(……危険だけど、これも経験か? Sランクを目指すなら、いつかは通る道……いや、それは違うんじゃないか)
結局、俺はレイナさんの「美味しいオーク肉が食べたい!」という願いに押し切られる形になった。
『……わかりました。レイナさんがそこまで言うなら。でも、本当に危なくなったら、俺のこと担いで逃げてくださいね!』
『はいっ! お任せください!( ̄^ ̄)ゞ じゃあ、土曜日の朝10時に、オークの森の入り口ゲート前で待ち合わせしましょう!』
こうして俺の初オークの森の挑戦が決まった。
週末まであと数日。
それまでに、オーク肉のレシピを調べて、少しでもマシな装備を整えておかないと……。
あと、心の準備も。
その日の昼休み、俺はスマホで「オーク肉 レシピ」「オーク 攻略 Fランクでもできること」などと必死に検索していた。
隣の席の同期、田中がチラチラとこちらを見ている。
「佐藤、最近なんかスマホばっか見てない? しかも検索履歴『オークの肉汁』とか『ゴブリン 下処理』とか、物騒なんだけど。ついに、現実逃避して変な趣味に目覚めた?」
「う、うるさい! これは、男のロマンだ!」
「ふーん。まあ、ストレス溜まってるなら、今度飲みに行くぞ? 俺、最近いい店見つけたんだ。ダンジョン食材使った創作料理出す店でさ……」
「なっ……!?」
田中の言葉に、俺は思わず食いついた。
ダンジョン食材の店だと?
しかも創作料理?
(くそっ、先を越された……! いや、俺は自給自足派だ!)
俺は謎の対抗心を燃やしつつ、週末のオーク肉料理への謎の決意をするのだった。
11
あなたにおすすめの小説
田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜
咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。
笑えて、心温かくなるダンジョン物語。
※この小説はフィクションです。
実在の人物、団体などとは関係ありません。
日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。
俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~
あけちともあき
ファンタジー
冒険者ナザルは油使い。
魔力を油に変換し、滑らせたり燃やしたりできるユニークスキル持ちだ。
その特殊な能力ゆえ、冒険者パーティのメインメンバーとはならず、様々な状況のピンチヒッターをやって暮らしている。
実は、ナザルは転生者。
とある企業の中間管理職として、人間関係を良好に保つために組織の潤滑油として暗躍していた。
ひょんなことから死んだ彼は、異世界パルメディアに転生し、油使いナザルとなった。
冒険者の街、アーランには様々な事件が舞い込む。
それに伴って、たくさんの人々がやってくる。
もちろん、それだけの数のトラブルも来るし、いざこざだってある。
ナザルはその能力で事件解決の手伝いをし、生前の潤滑油スキルで人間関係改善のお手伝いをする。
冒険者に、街の皆さん、あるいはギルドの隅にいつもいる、安楽椅子冒険者のハーフエルフ。
ナザルと様々なキャラクターたちが織りなす、楽しいファンタジー日常劇。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる