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第25話 魔王の封印? いいえ、ただの頑固汚れです
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吹雪の晴れ間に姿を現したのは、古代の石造りの祭壇――だったもの、と言うべきだろうか。
「うぷっ……なんだ、この臭いは……」
「目が、目が焼けるようだ……!」
護衛の騎士たちが次々と膝をつき、口元を覆った。そこにあるのは、石の建造物が見えなくなるほどドス黒いヘドロに覆われ、紫色の瘴気を噴き上げる不気味な塊だった。
鼻が曲がりそうな腐敗臭と肌を刺すような悪意。
それは、先日の広場に出た腐泥竜の比ではない「汚れ」の発生源そのものだった。
「ぐっ……!」
隣にいたクラウス様が苦悶の声を上げて胸を押さえた。
「クラウス様!?」
「大丈夫だ……。だが、共鳴が、きつい……」
彼の顔色は蒼白で、額には脂汗が浮いている。
この祭壇から溢れる瘴気が、彼の体内にある呪いと呼び合い、激痛を与えているのだ。
祭壇の中心には、かつて魔族を封じたとされる「聖なる石碑」があるはずだが、今は分厚い汚泥の層に埋もれて見る影もない。
『……キヒヒ……キヒヒヒヒ……』
どこからともなく、耳障りな笑い声が響いた。
汚泥がボコボコと泡立ち、人の顔のような形を作り出す。
『来たな、ヴィンターヴァルトの末裔よ……。我は「腐敗」と「淀み」を司るもの……。貴様の体、美味かったぞ……もっと絶望を喰わせろ……』
「出たな、悪霊め……!」
クラウス様が震える手で剣を抜こうとする。
しかし、私は彼の手をそっと制した。
「クラウス様、下がっていてください」
「エリーナ? 何を……」
私は祭壇――もとい、巨大なゴミの山を見上げ、腕まくりをした。
「まったく、信じられません。封印の祭壇って聞いてましたけど、これじゃただの『数百年掃除されていない換気扇』じゃないですか!」
私は腰に手を当て、プンスカと怒った。
「こんな不潔な環境にいれば、誰だって性格が捻くれますよ! 見てください、あの石碑の隙間のカビ! 排水路の詰まり! 不衛生にも程があります!」
『……あ? な、なんだその小娘は……』
汚泥の顔が困惑に歪む。
「私は通りすがりの定食屋の女将です! そして、貴方のような頑固汚れを落とすプロフェッショナルです!」
私は右手を突き出し、魔力を最大出力で練り上げた。
相手は土地神クラスの穢れだ。生半可な洗浄魔法では落ちない。
ならば、物理的な圧力を加えるのみ!
「食らいなさい! 【超高圧洗浄】!!」
ドォォォォォォォンッ!!!
私の手先から放たれたのは、鉄板さえも貫くごとき勢いの超高圧の水流ビームだった。
その水は、聖水よりも純度が高く、洗剤よりも強力な洗浄成分を含んでいる。
『ギャアアアアアアッ!? い、痛い!? 何だこれはァァァッ!!』
水流が直撃した汚泥が悲鳴を上げながら吹き飛んでいく。
バリバリバリッ! と音を立てて、数百年こびりついた穢れが剥がれ落ちていく様は圧巻だ。
「まだまだぁ! 隅っこも、裏側も、徹底的に削ぎ落としてあげるわ!」
私はホースで庭の水撒きをするように、高圧水流を振り回した。
騎士たちが「えぇ……」「あんな魔法見たことねぇ……」と呆然とする中、最強の汚れ落としショーが開幕した。
『や、やめろ! 我は偉大なる……ぶべラッ! 口に水が入っ……ゴボボボッ!』
「はいはい、喋ると泡が入りますよー! 次は【重曹爆撃】!」
シュババババッ!
白い粉末が嵐のように吹き付けられ、酸性の汚れと反応してシュワシュワと発泡する。
汚れが浮き上がったところを、再び高圧洗浄で洗い流す。完璧なコンボだ。
数分後。
そこには悪霊の悲鳴すら消え失せ、ただただ真っ白に輝く石造りの祭壇だけが残されていた。
一点の曇りもない。新築のような白さだ。
「……ふぅ。スッキリしました」
私は満足げに頷いた。
後ろを振り返ると、クラウス様がポカンと口を開けたまま固まっていた。
そして――。
「……軽い」
彼は自分の胸に手を当て、信じられないといった表情で呟いた。
「痛みが……消えた? 体の重みが、嘘のようになくなっている……」
どうやら、元凶である祭壇の汚れを落としたことで、彼への呪いの供給源が絶たれたようだ。
私はニッコリと笑って彼に駆け寄った。
「お掃除完了です、クラウス様! これでご飯、もっと美味しくなりますよ!」
「うぷっ……なんだ、この臭いは……」
「目が、目が焼けるようだ……!」
護衛の騎士たちが次々と膝をつき、口元を覆った。そこにあるのは、石の建造物が見えなくなるほどドス黒いヘドロに覆われ、紫色の瘴気を噴き上げる不気味な塊だった。
鼻が曲がりそうな腐敗臭と肌を刺すような悪意。
それは、先日の広場に出た腐泥竜の比ではない「汚れ」の発生源そのものだった。
「ぐっ……!」
隣にいたクラウス様が苦悶の声を上げて胸を押さえた。
「クラウス様!?」
「大丈夫だ……。だが、共鳴が、きつい……」
彼の顔色は蒼白で、額には脂汗が浮いている。
この祭壇から溢れる瘴気が、彼の体内にある呪いと呼び合い、激痛を与えているのだ。
祭壇の中心には、かつて魔族を封じたとされる「聖なる石碑」があるはずだが、今は分厚い汚泥の層に埋もれて見る影もない。
『……キヒヒ……キヒヒヒヒ……』
どこからともなく、耳障りな笑い声が響いた。
汚泥がボコボコと泡立ち、人の顔のような形を作り出す。
『来たな、ヴィンターヴァルトの末裔よ……。我は「腐敗」と「淀み」を司るもの……。貴様の体、美味かったぞ……もっと絶望を喰わせろ……』
「出たな、悪霊め……!」
クラウス様が震える手で剣を抜こうとする。
しかし、私は彼の手をそっと制した。
「クラウス様、下がっていてください」
「エリーナ? 何を……」
私は祭壇――もとい、巨大なゴミの山を見上げ、腕まくりをした。
「まったく、信じられません。封印の祭壇って聞いてましたけど、これじゃただの『数百年掃除されていない換気扇』じゃないですか!」
私は腰に手を当て、プンスカと怒った。
「こんな不潔な環境にいれば、誰だって性格が捻くれますよ! 見てください、あの石碑の隙間のカビ! 排水路の詰まり! 不衛生にも程があります!」
『……あ? な、なんだその小娘は……』
汚泥の顔が困惑に歪む。
「私は通りすがりの定食屋の女将です! そして、貴方のような頑固汚れを落とすプロフェッショナルです!」
私は右手を突き出し、魔力を最大出力で練り上げた。
相手は土地神クラスの穢れだ。生半可な洗浄魔法では落ちない。
ならば、物理的な圧力を加えるのみ!
「食らいなさい! 【超高圧洗浄】!!」
ドォォォォォォォンッ!!!
私の手先から放たれたのは、鉄板さえも貫くごとき勢いの超高圧の水流ビームだった。
その水は、聖水よりも純度が高く、洗剤よりも強力な洗浄成分を含んでいる。
『ギャアアアアアアッ!? い、痛い!? 何だこれはァァァッ!!』
水流が直撃した汚泥が悲鳴を上げながら吹き飛んでいく。
バリバリバリッ! と音を立てて、数百年こびりついた穢れが剥がれ落ちていく様は圧巻だ。
「まだまだぁ! 隅っこも、裏側も、徹底的に削ぎ落としてあげるわ!」
私はホースで庭の水撒きをするように、高圧水流を振り回した。
騎士たちが「えぇ……」「あんな魔法見たことねぇ……」と呆然とする中、最強の汚れ落としショーが開幕した。
『や、やめろ! 我は偉大なる……ぶべラッ! 口に水が入っ……ゴボボボッ!』
「はいはい、喋ると泡が入りますよー! 次は【重曹爆撃】!」
シュババババッ!
白い粉末が嵐のように吹き付けられ、酸性の汚れと反応してシュワシュワと発泡する。
汚れが浮き上がったところを、再び高圧洗浄で洗い流す。完璧なコンボだ。
数分後。
そこには悪霊の悲鳴すら消え失せ、ただただ真っ白に輝く石造りの祭壇だけが残されていた。
一点の曇りもない。新築のような白さだ。
「……ふぅ。スッキリしました」
私は満足げに頷いた。
後ろを振り返ると、クラウス様がポカンと口を開けたまま固まっていた。
そして――。
「……軽い」
彼は自分の胸に手を当て、信じられないといった表情で呟いた。
「痛みが……消えた? 体の重みが、嘘のようになくなっている……」
どうやら、元凶である祭壇の汚れを落としたことで、彼への呪いの供給源が絶たれたようだ。
私はニッコリと笑って彼に駆け寄った。
「お掃除完了です、クラウス様! これでご飯、もっと美味しくなりますよ!」
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