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2.つけうまをつけられた
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おばさんがいなくなった。
その代わり、部屋の真ん中に一つの缶詰。
お化けたちはおばさんを缶詰にすると言っていた。とすると、おばさんはその缶詰の中にいるのではないか? あの缶詰の中に、何がどんな具合に入っているのだろうと想像してぞっとした。まさか、ミンチ? いやいやいや、考えるのは止めよう。
しかし、おばさんがいなくなったことは、とりあえずママに言わなくちゃいけないんじゃないかな?
ぼくは1階に降りていった。ママがリビングでテレビを見ている。
「ママ」
「なあに?」
なんて切り出そう。
「ママあのね、おばさんがいない」
ママはテレビから目を離さず言った。
「おばさんならキッチンにいるわよ」
「え!?」
ぼくは半信半疑で台所をのぞいてみた。
そしたらいたんだ。おばさんが。何かの缶詰をおかずにお茶漬けなんかを食っていた。
「おば、おばさんは缶詰になってたんじゃ…?」
おばさんはぼくをじろりとにらんだ。
「さっきは見捨ててくれたな」
なんか目つきが悪くなっている。
「だって、ぼくに何ができるってのさ。どうしようもないじゃん」
ぼくはしどろもどろ言い訳をした。
「まあ、しゃあない」
おばさんはタクアンをバリバリ言わせながら箸で隣の空間をを突き刺した。
隣に顔の長いへんな生き物がいる。
「この妖怪変化の化け物どもというより、ばか者どもが、分りもしない聞きっかじりのコトバなんか使ってさ、あたしを本当に缶詰にしようとしたんだよ。だから言ってやったんだ。おまえらバカじゃないの? 缶の中に入ったら、原稿なんか書けないじゃないか。編集者などがいう“かんづめ”っていうのは、ホテルのようなところに作家を監禁して、監視役として編集者を張り付けることなんだよ、ってね。ホテル代払ってくれるのかい?、お金出しなって言ったら、みんな『ひえーっ』とか言って一斉に消えたんだよ」
あの「ひえーっ」はおばさんじゃなくてお化けたちの悲鳴だったのか。
「赤坂のホテルにでも缶詰めになりたかったな」とおばさん。
「で、その隣の人は?」
「妖怪ツケウマだと。監視役としてあいつらがくっ付けてきたんだ」
「ツケウマ?」
「古いよね。昔遊郭かなんかで遊んで、持ち合わせが足りないなんて時、家までついていった取立てやのことツケウマって言ったんだよ。監視役としては適任かもしんないけどさ」とツケウマの方を向き、
「あんたどうせなら改名しな。妖怪タントウサンとかさ。ケケケケ」
なんだか、おばさんも妖怪じみてきた。
それはそうと、とぼくは最大の疑問をおばさんに問いかけた。
「おばさんの部屋に缶詰が落ちてたけど、あれは?」
「あ、あれ? あれに私が入つていると思った? ケケケケ! いや、昼飯にツナ缶とサバ缶とどっちにしようかなと迷ったあげく、サバ缶食べることにして、ツナ缶置いてきただけだよ」
ツナ缶!? よく見りゃよかった。怖くて確かめることもできなかったんだ。
ぼくはこれ以上かかわりあいにならないようにその場を離れてリビングに戻った。
ところが、そこでぼくは妖怪に出会った時以上にぞっとするものに出くわした。
「や、八木沢さん!」
その代わり、部屋の真ん中に一つの缶詰。
お化けたちはおばさんを缶詰にすると言っていた。とすると、おばさんはその缶詰の中にいるのではないか? あの缶詰の中に、何がどんな具合に入っているのだろうと想像してぞっとした。まさか、ミンチ? いやいやいや、考えるのは止めよう。
しかし、おばさんがいなくなったことは、とりあえずママに言わなくちゃいけないんじゃないかな?
ぼくは1階に降りていった。ママがリビングでテレビを見ている。
「ママ」
「なあに?」
なんて切り出そう。
「ママあのね、おばさんがいない」
ママはテレビから目を離さず言った。
「おばさんならキッチンにいるわよ」
「え!?」
ぼくは半信半疑で台所をのぞいてみた。
そしたらいたんだ。おばさんが。何かの缶詰をおかずにお茶漬けなんかを食っていた。
「おば、おばさんは缶詰になってたんじゃ…?」
おばさんはぼくをじろりとにらんだ。
「さっきは見捨ててくれたな」
なんか目つきが悪くなっている。
「だって、ぼくに何ができるってのさ。どうしようもないじゃん」
ぼくはしどろもどろ言い訳をした。
「まあ、しゃあない」
おばさんはタクアンをバリバリ言わせながら箸で隣の空間をを突き刺した。
隣に顔の長いへんな生き物がいる。
「この妖怪変化の化け物どもというより、ばか者どもが、分りもしない聞きっかじりのコトバなんか使ってさ、あたしを本当に缶詰にしようとしたんだよ。だから言ってやったんだ。おまえらバカじゃないの? 缶の中に入ったら、原稿なんか書けないじゃないか。編集者などがいう“かんづめ”っていうのは、ホテルのようなところに作家を監禁して、監視役として編集者を張り付けることなんだよ、ってね。ホテル代払ってくれるのかい?、お金出しなって言ったら、みんな『ひえーっ』とか言って一斉に消えたんだよ」
あの「ひえーっ」はおばさんじゃなくてお化けたちの悲鳴だったのか。
「赤坂のホテルにでも缶詰めになりたかったな」とおばさん。
「で、その隣の人は?」
「妖怪ツケウマだと。監視役としてあいつらがくっ付けてきたんだ」
「ツケウマ?」
「古いよね。昔遊郭かなんかで遊んで、持ち合わせが足りないなんて時、家までついていった取立てやのことツケウマって言ったんだよ。監視役としては適任かもしんないけどさ」とツケウマの方を向き、
「あんたどうせなら改名しな。妖怪タントウサンとかさ。ケケケケ」
なんだか、おばさんも妖怪じみてきた。
それはそうと、とぼくは最大の疑問をおばさんに問いかけた。
「おばさんの部屋に缶詰が落ちてたけど、あれは?」
「あ、あれ? あれに私が入つていると思った? ケケケケ! いや、昼飯にツナ缶とサバ缶とどっちにしようかなと迷ったあげく、サバ缶食べることにして、ツナ缶置いてきただけだよ」
ツナ缶!? よく見りゃよかった。怖くて確かめることもできなかったんだ。
ぼくはこれ以上かかわりあいにならないようにその場を離れてリビングに戻った。
ところが、そこでぼくは妖怪に出会った時以上にぞっとするものに出くわした。
「や、八木沢さん!」
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