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9.四者怪談(?)
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ぼく達は金曜日の夜、テレビで“洋画劇場”を見ていた。ぼく達というのはママとおばさんとぼくだ。このおばさんというのはパパの妹で、生まれた時からずっとこの家に住み、妖怪どもと付き合いながらフリーターの後、作家に転身したというけったいな人物だ。今だ独身、彼氏無し。ママの弁によると、「就職もし、彼氏もできるという年齢の時に、両親の介護とかあって、いい時期をのがしてしまったのよ。ちょうどヨシヒコが産まれたばかりの時で、私たちも忙しかったから、おばさんに頼りっきりで、申し訳なかったわ」ということで、おばさんとの同居が未だに続いているのだ。
それはともかくとして、居間のテーブルの上にはせんべいだのポテトチップスだのピーナツなどの袋が散乱していて、ママはビール、おばさんはもっぱらコーヒーで、“大型大衆娯楽活劇ラブロマンス添え”というのを鑑賞していた。
ぼくは映画にそれほどの興味はなかったけれど、ポテチやセンベイをお相伴しながら、なんとなくそこにいた。だっていやじゃないか? 夜、一人っきりでお化けの出る二階にいるなんていうの。
洋画劇場は夜中の12時近く、ヒーローの胸のすくようなアクションの後、お決まりのラブシーンで終了した。
さて、二階に引き上げるかとおばさんが立ち上がり、ぼくも立ち上がったとき、玄関のチャイムがなった。
パパのご帰還だ。ぼくたちはその足でぞろぞろと玄関に出た。
出てみると今日はパパだけではなく、会社の人らしい人たちが3人パパの後ろにいて、そのうちの一人はすっかり酔いつぶれているらしく、他の二人に肩をささえてもらっていた。
パパはぼくの姿を見ると「やあ、ぼうず、まだ起きておったか? 早くお休み」と、まずぼくに声をかけ、次にママに向かって
「ママすまん。部長がちょっと飲みすぎてしまったんだ。すまないけど寝る所用意してくれないかな」とたのんだ。
酔いつぶれていたのは部長さんらしい。課長のパパとしては面倒を見ざるをえなかったというところか。
パパはさらに
「大場くん、君も泊まっていけば? 独身なんだから、どうせ家に帰ってもただ寝るだけなんだろう? 今夜はうちに泊まって、あした朝飯でも食っていってくれよ」と言った後、
「里子! 里子!」とおばさんの名前を連呼した。
おばさんのペンネームは神無月ひかるだけど、本名は里子だ。しかし最近はめったにこの本名を使用していない。郵便物も銀行や役所からくるものを除けばほとんどが神無月ひかる様だし、時折訪れる出版社の担当さんも神無月先生と呼ぶ。ママも「里子さんだと、里子さん、って言っちゃって、何だか嫁と小姑の関係って感じがつきまとっちゃうのよね。その点、ひかるちゃん、って言うと隔てがないような感じがするから」ってひかるちゃん、と呼んでいる。
そんななかでパパだけが里子と呼ぶ。
「ひかるだって?」とパパはせせら笑って言うんだ。
「ひかるってどこが光るんだ。ほたるじゃあるまいし尻でも光るのか?」とか言って今だに里子、あるいは小さいときからの愛称だった里イモとかで呼んでいる。おばさんのほうはサトイモって呼ばれるとブスッとふくれるんだけどね。
今もパパが呼ぶ「里イモ! 里イモ!」
でもおばさんは今回はふくれなかった。お客さんの手前だからか、先ほど大場クンが独身とパパが言ったことに反応したのか、さほどブスッともせず、「ハイハイハイ」とママとぼくを掻き分けて前に出てきた。
「ちょっと里イモ、部長の靴を脱がせてくれ」
「ハイハイハイ」
「コートと上着も」
「ハイハイハイ」
その間、ママはリビング続きの和室に寝床を敷きにいった。ママは寝床を二つ敷いた。あれ? 二つ? 三っつじゃないのかな。だってお客さんは三人だよ。そうか、パパは大場くんにしか泊まってけって言わなかったもんな。だからなのかな?
部長を担いだおみこし集団がリビング経由で和室に到着した。大場くんが酔っ払いの頭のほうを抱え、パパが足のほうを持ってやってきて寝床に寝かせた。里子おばさんが一人で荷物を山のようにかかえている。もう一人の客はなにもしていなかった。あの人は会社でどういう立場の人なんだろうとぼくは子供なりに不思議に思った。
部長を寝かし終わった一同はほっとしたようにリビングのソファに座り込んだ。
「部長の家がトケなんだそうだ」
お茶を用意するママにパパが気をつかって話しかけた。
「トケってどこですか?」
「なんでも千葉県の外房線で行くところらしい。それで、遠いからさぞかしタクシーの運ちゃんも喜んでつれてってくれると思ったんだけどさ、これほど酔いつぶれていると道案内も出来ないから困るというんだ。だれか一緒に乗ってくれればいいって言うんだけど。そういうわけにもいかないしさ、ほっトケないから家にお連れしたんだ。な、大場くん」
パパがさりげなくオヤジギャクを飛ばしたけれど、誰も笑わなかった。
そんなことよりぼくはオキビキが出てきたので目がはなせなくなった。里子おばさんが両手一杯に受け取ったお客さんの荷物を、床にならべたり、ハンガーに吊るしたりしている横で、オキビキがうれしそうに手袋だのマフラーだのを物色している。
「おい、オキビキ、オキビキ」
ぼくはオキビキに呼びかけた。
「ほーい、なんですかあ?」
「なんですかじゃないよ。お客さんのもの、あんまりいじくらないでくれよ。それに持ってっちゃったりしないでよね。なんかなくなって疑われるのはぼくなんだからね」
「だいじょうぶっすよ。心配しなくても。あんだけ酔っ払っていたらどこでなくしたかなんて覚えちゃいませんから」
おい、大丈夫ってのはそっちかよ! そうじゃなくて、と言おうとしてオキビキの方を見ると、そのオキビキはあらぬ方をながめていた。そのあらぬ方の目線をたどると、その先にあの何にもしないお客さんがいた。なぜか、お客さんのほうもオキビキを見ている。あれ? あの人にもオキビキが見えるのだろうか?
しかし深く考えるまもなくぼくは大人たちからいっせいに追い立てをくらった。
「ヨシヒコ、子供はもう寝なさい!」
ぼくは大人たちから仲間はずれにされた腹いせをオキビキにぶつけた。
「ほら、おまえも一緒にこい! オキビキ」
「わかってますよ」
夜の夜中、妖怪を引き連れて誰もいない暗い2階の部屋へたった一人で行く小学生が他にいるだろうかと思いながらぼくは怪談…じゃなかった階段を昇った。
「ほら、部屋へ入れ」
「いいんですかい? 入っても。いつも入るな、入るなって……」
「ぼくの部屋じゃなくて、おばさんの部屋の方に入れって言ってるの」
と、オキビキに別れを申し渡して部屋に入ったはずなのに、明かりをつけてみたら待っていたのか出現したのか座敷オヤジとアマノジャクと、先ほど別れを申し渡したはずのオキビキまでいる。半ば予想していたことなので、ぼくはかまわず寝床を敷いて明かりを消し、布団にもぐりこんだ。
それでも妖怪どもは消えなかった。ぼくの布団を取り囲むようにして車座になっている。明かりを消していても妖怪たちというのは見えるから始末が悪い。
「おい、ぼくはもう寝るんだよ」
「わかってますよ。どうぞお休みください」
「どうぞって言ったって、おまえたちがここにいちゃ眠れないじゃないか。三者会談やりたかったらおばさんの部屋でやってよ」
「いいえ、四者会談です」
こいつらまったくずれてるんだ。ぼくが言いたいのは他でやってくれ、ということで、三者が四者になろうが五者になろうが一向にかまうこっちゃない・・・え、ええ?四者?
ぼくは目をこらして先ほど声のしたあたりを見た。
そしたら、いたんだ。あのお客さんが。あの、何もしなかった、会社ではどういう立場の人なんだろうと思っていた、オキビキと目を合わせていたあのお客さんがいたんだ。二階までついてきたのか!?
ぼくは思わず上半身を起して叫んでしまった。
「おじさんはいったい誰? パパの会社の人じゃないの?」
するとそいつは言った。
「へえ、あっしは会社の人ではありませんです」
「じゃあ、ママが寝床を二つしか敷いていなかったのは・・・」
「あっしが会社の人ではないからでしょう」
「でもおじさんはあの、酔っ払った部長とかいう人の肩を支えていたでしょう?」
「あれは支えていたんじゃなくて、憑(と)りついていたんでやす」
「憑りついていたって、おじさんは幽霊?……今は憑りついていなくていいの?」
「ひとつ訂正させていただきますと、あっしは幽霊ではなく、妖怪でやす。幽霊と妖怪は違うんですよねえ。幽霊は恨みがあって憑りつきますが、妖怪は用事があって憑りつくんでやす。“なんかヨウカイ?”なんちゃってね。(誰も笑わなかった)…… エヘン! そこんとこ、大事なんですよねえ~。はい、あっしは酒が飲みたくて部長に取り憑いていたんでやす。今は部長にくっついていても酒が飲めませんから」
「じゃ、なんでここまでついてきたの?」
「いや、はしご先で、また飲むかと思いやしてね。ところが、みんなして寝かしちゃいましたでしょう」
「ぼくんとこに来たって、お酒は飲めないよ。ぼくもこれから寝るもの。それにぼくは未成年でお酒は飲めないことになってるの。ここにいたって金輪際お酒は飲めません。帰って」
「……」
なぜかそいつはうつむいて、ときおり上目遣いで他のお化けたちにチラチラと目線を投げかけている。
「はい、はい、はい、はい」
オキビキがしゃしゃり出てきた。
「こいつ、なんか言いたそうじゃありませんか。聞いてやりましょうよ」
ぼくは思わず舌打ちをして叫んだ。
「だからあ、そういうのは隣の部屋でやったら?!」
すると、
「まあ、まあ、まあ、まあ」
座敷オヤジが割って入った。
「とりあえずね、聞いてやりましょうよ。なんか悩みがあるみたいで」
こうして“会談を隣の部屋でやる”という提案は再びさりげなく無視され、四者怪談(?)が始まった。
それはともかくとして、居間のテーブルの上にはせんべいだのポテトチップスだのピーナツなどの袋が散乱していて、ママはビール、おばさんはもっぱらコーヒーで、“大型大衆娯楽活劇ラブロマンス添え”というのを鑑賞していた。
ぼくは映画にそれほどの興味はなかったけれど、ポテチやセンベイをお相伴しながら、なんとなくそこにいた。だっていやじゃないか? 夜、一人っきりでお化けの出る二階にいるなんていうの。
洋画劇場は夜中の12時近く、ヒーローの胸のすくようなアクションの後、お決まりのラブシーンで終了した。
さて、二階に引き上げるかとおばさんが立ち上がり、ぼくも立ち上がったとき、玄関のチャイムがなった。
パパのご帰還だ。ぼくたちはその足でぞろぞろと玄関に出た。
出てみると今日はパパだけではなく、会社の人らしい人たちが3人パパの後ろにいて、そのうちの一人はすっかり酔いつぶれているらしく、他の二人に肩をささえてもらっていた。
パパはぼくの姿を見ると「やあ、ぼうず、まだ起きておったか? 早くお休み」と、まずぼくに声をかけ、次にママに向かって
「ママすまん。部長がちょっと飲みすぎてしまったんだ。すまないけど寝る所用意してくれないかな」とたのんだ。
酔いつぶれていたのは部長さんらしい。課長のパパとしては面倒を見ざるをえなかったというところか。
パパはさらに
「大場くん、君も泊まっていけば? 独身なんだから、どうせ家に帰ってもただ寝るだけなんだろう? 今夜はうちに泊まって、あした朝飯でも食っていってくれよ」と言った後、
「里子! 里子!」とおばさんの名前を連呼した。
おばさんのペンネームは神無月ひかるだけど、本名は里子だ。しかし最近はめったにこの本名を使用していない。郵便物も銀行や役所からくるものを除けばほとんどが神無月ひかる様だし、時折訪れる出版社の担当さんも神無月先生と呼ぶ。ママも「里子さんだと、里子さん、って言っちゃって、何だか嫁と小姑の関係って感じがつきまとっちゃうのよね。その点、ひかるちゃん、って言うと隔てがないような感じがするから」ってひかるちゃん、と呼んでいる。
そんななかでパパだけが里子と呼ぶ。
「ひかるだって?」とパパはせせら笑って言うんだ。
「ひかるってどこが光るんだ。ほたるじゃあるまいし尻でも光るのか?」とか言って今だに里子、あるいは小さいときからの愛称だった里イモとかで呼んでいる。おばさんのほうはサトイモって呼ばれるとブスッとふくれるんだけどね。
今もパパが呼ぶ「里イモ! 里イモ!」
でもおばさんは今回はふくれなかった。お客さんの手前だからか、先ほど大場クンが独身とパパが言ったことに反応したのか、さほどブスッともせず、「ハイハイハイ」とママとぼくを掻き分けて前に出てきた。
「ちょっと里イモ、部長の靴を脱がせてくれ」
「ハイハイハイ」
「コートと上着も」
「ハイハイハイ」
その間、ママはリビング続きの和室に寝床を敷きにいった。ママは寝床を二つ敷いた。あれ? 二つ? 三っつじゃないのかな。だってお客さんは三人だよ。そうか、パパは大場くんにしか泊まってけって言わなかったもんな。だからなのかな?
部長を担いだおみこし集団がリビング経由で和室に到着した。大場くんが酔っ払いの頭のほうを抱え、パパが足のほうを持ってやってきて寝床に寝かせた。里子おばさんが一人で荷物を山のようにかかえている。もう一人の客はなにもしていなかった。あの人は会社でどういう立場の人なんだろうとぼくは子供なりに不思議に思った。
部長を寝かし終わった一同はほっとしたようにリビングのソファに座り込んだ。
「部長の家がトケなんだそうだ」
お茶を用意するママにパパが気をつかって話しかけた。
「トケってどこですか?」
「なんでも千葉県の外房線で行くところらしい。それで、遠いからさぞかしタクシーの運ちゃんも喜んでつれてってくれると思ったんだけどさ、これほど酔いつぶれていると道案内も出来ないから困るというんだ。だれか一緒に乗ってくれればいいって言うんだけど。そういうわけにもいかないしさ、ほっトケないから家にお連れしたんだ。な、大場くん」
パパがさりげなくオヤジギャクを飛ばしたけれど、誰も笑わなかった。
そんなことよりぼくはオキビキが出てきたので目がはなせなくなった。里子おばさんが両手一杯に受け取ったお客さんの荷物を、床にならべたり、ハンガーに吊るしたりしている横で、オキビキがうれしそうに手袋だのマフラーだのを物色している。
「おい、オキビキ、オキビキ」
ぼくはオキビキに呼びかけた。
「ほーい、なんですかあ?」
「なんですかじゃないよ。お客さんのもの、あんまりいじくらないでくれよ。それに持ってっちゃったりしないでよね。なんかなくなって疑われるのはぼくなんだからね」
「だいじょうぶっすよ。心配しなくても。あんだけ酔っ払っていたらどこでなくしたかなんて覚えちゃいませんから」
おい、大丈夫ってのはそっちかよ! そうじゃなくて、と言おうとしてオキビキの方を見ると、そのオキビキはあらぬ方をながめていた。そのあらぬ方の目線をたどると、その先にあの何にもしないお客さんがいた。なぜか、お客さんのほうもオキビキを見ている。あれ? あの人にもオキビキが見えるのだろうか?
しかし深く考えるまもなくぼくは大人たちからいっせいに追い立てをくらった。
「ヨシヒコ、子供はもう寝なさい!」
ぼくは大人たちから仲間はずれにされた腹いせをオキビキにぶつけた。
「ほら、おまえも一緒にこい! オキビキ」
「わかってますよ」
夜の夜中、妖怪を引き連れて誰もいない暗い2階の部屋へたった一人で行く小学生が他にいるだろうかと思いながらぼくは怪談…じゃなかった階段を昇った。
「ほら、部屋へ入れ」
「いいんですかい? 入っても。いつも入るな、入るなって……」
「ぼくの部屋じゃなくて、おばさんの部屋の方に入れって言ってるの」
と、オキビキに別れを申し渡して部屋に入ったはずなのに、明かりをつけてみたら待っていたのか出現したのか座敷オヤジとアマノジャクと、先ほど別れを申し渡したはずのオキビキまでいる。半ば予想していたことなので、ぼくはかまわず寝床を敷いて明かりを消し、布団にもぐりこんだ。
それでも妖怪どもは消えなかった。ぼくの布団を取り囲むようにして車座になっている。明かりを消していても妖怪たちというのは見えるから始末が悪い。
「おい、ぼくはもう寝るんだよ」
「わかってますよ。どうぞお休みください」
「どうぞって言ったって、おまえたちがここにいちゃ眠れないじゃないか。三者会談やりたかったらおばさんの部屋でやってよ」
「いいえ、四者会談です」
こいつらまったくずれてるんだ。ぼくが言いたいのは他でやってくれ、ということで、三者が四者になろうが五者になろうが一向にかまうこっちゃない・・・え、ええ?四者?
ぼくは目をこらして先ほど声のしたあたりを見た。
そしたら、いたんだ。あのお客さんが。あの、何もしなかった、会社ではどういう立場の人なんだろうと思っていた、オキビキと目を合わせていたあのお客さんがいたんだ。二階までついてきたのか!?
ぼくは思わず上半身を起して叫んでしまった。
「おじさんはいったい誰? パパの会社の人じゃないの?」
するとそいつは言った。
「へえ、あっしは会社の人ではありませんです」
「じゃあ、ママが寝床を二つしか敷いていなかったのは・・・」
「あっしが会社の人ではないからでしょう」
「でもおじさんはあの、酔っ払った部長とかいう人の肩を支えていたでしょう?」
「あれは支えていたんじゃなくて、憑(と)りついていたんでやす」
「憑りついていたって、おじさんは幽霊?……今は憑りついていなくていいの?」
「ひとつ訂正させていただきますと、あっしは幽霊ではなく、妖怪でやす。幽霊と妖怪は違うんですよねえ。幽霊は恨みがあって憑りつきますが、妖怪は用事があって憑りつくんでやす。“なんかヨウカイ?”なんちゃってね。(誰も笑わなかった)…… エヘン! そこんとこ、大事なんですよねえ~。はい、あっしは酒が飲みたくて部長に取り憑いていたんでやす。今は部長にくっついていても酒が飲めませんから」
「じゃ、なんでここまでついてきたの?」
「いや、はしご先で、また飲むかと思いやしてね。ところが、みんなして寝かしちゃいましたでしょう」
「ぼくんとこに来たって、お酒は飲めないよ。ぼくもこれから寝るもの。それにぼくは未成年でお酒は飲めないことになってるの。ここにいたって金輪際お酒は飲めません。帰って」
「……」
なぜかそいつはうつむいて、ときおり上目遣いで他のお化けたちにチラチラと目線を投げかけている。
「はい、はい、はい、はい」
オキビキがしゃしゃり出てきた。
「こいつ、なんか言いたそうじゃありませんか。聞いてやりましょうよ」
ぼくは思わず舌打ちをして叫んだ。
「だからあ、そういうのは隣の部屋でやったら?!」
すると、
「まあ、まあ、まあ、まあ」
座敷オヤジが割って入った。
「とりあえずね、聞いてやりましょうよ。なんか悩みがあるみたいで」
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