ほら、ホラーだよ

根津美也

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58.マサルにレッドカード!

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「妖怪がうまれた家」と題してうちのグラビアが載った雑誌が発売された。その雑誌は発売されると書店の平台にのるような有名な雑誌だった。
 さっそく八木沢由美子がその雑誌をかかえて学校にやってきた。

「見て、ヨシヒコの家がこの雑誌に載ってるのよ! もちろんヨシヒコの家としてでなく神無月先生の家として載ってるんだけど」

 八木沢由美子はそれとなくぼくの近辺で雑誌を広げた。そこにクラス中の女の子たちが集まってくる。やや遅れて男子もやってきた。しかし、男の子たちは女子の障壁に阻まれて見ることが出来ない様子だ。だからか、マサルが外回りからヤジを飛ばした。

「お前の家じゃねーだろう。ヨシヒコが持ってきて見せるならともかく、なんでお前が出しゃばって見せびらかすんだよ。出しゃばり!」

 しかし、八木沢由美子は焦らず、慌てず。
「書店で売っていた雑誌を買って持ってきただけよ。誰がやったっていいじゃない。羨ましかったら、あんたも買って持ってくれば? それに神無月先生はヨシヒコのおばさんだけれど、私は神無月先生の弟子なのよ」

 マサルがいきり立つ
「誰が羨ましいだなんて言ったんだよ! 羨ましくなんかねえよ! おまえが出しゃばったからそう言ったんだよ!」

 八木沢由美子、挑発に乗らず。
「『出しゃばり』とか言う気持ちはね、自分がしたかったことを人がやったからなのよね。ジェラシーなんて醜いわよねェ。一角(ひとかど)の男なら、出る杭を打つんじゃなくて、自分が出る杭にならなきゃね」

 マサルは逆上した。
「黙れ! ブス! ブスのくせに偉そうに言うな!」

「はい、マサル、アウト! それ、使用禁止用語ね」
 八木沢由美子は臆する事なく、澄まし返って言い渡した。

 そうだった。ブスという言葉は5年の時、クラスでは使用禁止用語に指定されていた。クラスは持ち上がりだから、現在もその取り決めは有効だ。

 居並ぶ女子も口々に叫ぶ。
「マサルが使用禁止用語使った!」

 委員長の清水美恵子が群れから離れて教室の後ろに移動し、後ろの壁に貼ってあるルール違反者の表に赤いシールを張り付けた。
「はい! マサル、レッドカード!」

 女は怖~い ………。

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