怨念がおんねん〜事例 壱【完】〜

君影 ルナ

文字の大きさ
22 / 63
事例 壱 『コウシュ村』

弍拾弍

しおりを挟む
「取り敢えず、今考えて分からないことは置いておこう。ウン、そうしよう。」

 俺は、考えることを、放棄した!

 そして放棄したついでに恐怖心も捨てられたらなぁ、だなんてタラレバを願ってみるが……まあ、そうそう上手くはいかないものだ。

 目覚めてからはまだ何も起きていないけれども、いつ何が起きるか分からないのがこの村だしな。気を引き締めておくに越したことはない。

「さて、と……」

 取り敢えず、こんな村からは一刻も早く出ていきたい。だからできるだけ情報を収集して、親友の死について……首吊り病とこの村の関連について調べなければ。そのためにここに来たのだから。

 まずは今いるこの部屋からにするか。そう決めて相棒の懐中電灯で辺りを照らしてみると、どうやらここは放送室らしいことが見てとれる。

 大きな窓に面するように置かれている機器とかマイクとかもあるし、きっとそう。まあ、俺、放送系にそんなに詳しくないけど。

「そういえば、あの酷い放送……夕方のメロディー(仮)ってここが発信源なのかな。」

 もしそうだとしたら、ここはまだかろうじて使用可能だということになる。

「まあ、と言ってもお婆さんの件もあるし、現実とはかけ離れた現象の可能性も否定できないんだけど。」

 それが嫌な部分だ。何もしていないのに首が落ちたり、首を斬られたのにパッと一瞬で消えたり……

「あれ?」

 そこでふと一つ気がついた。

 首を落とされたお婆さんと、首を斬られたお婆さん……なんか風貌も似ていたような……

「……いや、同一人物では?」

 事切れた状態の二人の顔、同じだったわ。今全てを思い出したから分かった。あれは同一人物。

 だが村の境界で見た時には既に首が体から離れ落ちたのに、その後首をまた繋げた状態であの家に入ってきたのか?

 だとしたらオカシイだろう。何故一旦離れた人間の首が繋がるんだ?

「ああ、違う。もしかしたら……逆だったのかもしれない。」

 オカルト的な考え方をするなら、家で見たお婆さんの方が先だったのかもしれない。その後……あれ、それでも一度離れた首が繋がってる?

「村の境界で見たお婆さんが幽霊だった説くらいしか、あともう考えられるのはないな。」

 だとしたら幽霊である境界のお婆さんが事切れた時の『音』に説明がつかないし……。だって霊体にしては質量がある音だったから。

「分からない。分からないからこそ、恐ろしい。」

 グルグルと堂々巡りする思考に恐れをなして、俺は鳥肌の立つ腕をさするのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/9:『ゆうじんのかお』の章を追加。2026/1/16の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/8:『ついてきたもの』の章を追加。2026/1/15の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/7:『かわぞいのみち』の章を追加。2026/1/14の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/6:『まどのそと』の章を追加。2026/1/13の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/5:『おちゃ』の章を追加。2026/1/12の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/4:『かみ』の章を追加。2026/1/11の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

私の守護霊さん

Masa&G
キャラ文芸
大学生活を送る彩音には、誰にも言えない秘密がある。 彼女のそばには、他人には姿の見えない“守護霊さん”がずっと寄り添っていた。 これは——二人で過ごした最後の一年を描く、かけがえのない物語。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

処理中です...