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事例 壱 『コウシュ村』
弍拾弍
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「取り敢えず、今考えて分からないことは置いておこう。ウン、そうしよう。」
俺は、考えることを、放棄した!
そして放棄したついでに恐怖心も捨てられたらなぁ、だなんてタラレバを願ってみるが……まあ、そうそう上手くはいかないものだ。
目覚めてからはまだ何も起きていないけれども、いつ何が起きるか分からないのがこの村だしな。気を引き締めておくに越したことはない。
「さて、と……」
取り敢えず、こんな村からは一刻も早く出ていきたい。だからできるだけ情報を収集して、親友の死について……首吊り病とこの村の関連について調べなければ。そのためにここに来たのだから。
まずは今いるこの部屋からにするか。そう決めて相棒の懐中電灯で辺りを照らしてみると、どうやらここは放送室らしいことが見てとれる。
大きな窓に面するように置かれている機器とかマイクとかもあるし、きっとそう。まあ、俺、放送系にそんなに詳しくないけど。
「そういえば、あの酷い放送……夕方のメロディー(仮)ってここが発信源なのかな。」
もしそうだとしたら、ここはまだかろうじて使用可能だということになる。
「まあ、と言ってもお婆さんの件もあるし、現実とはかけ離れた現象の可能性も否定できないんだけど。」
それが嫌な部分だ。何もしていないのに首が落ちたり、首を斬られたのにパッと一瞬で消えたり……
「あれ?」
そこでふと一つ気がついた。
首を落とされたお婆さんと、首を斬られたお婆さん……なんか風貌も似ていたような……
「……いや、同一人物では?」
事切れた状態の二人の顔、同じだったわ。今全てを思い出したから分かった。あれは同一人物。
だが村の境界で見た時には既に首が体から離れ落ちたのに、その後首をまた繋げた状態であの家に入ってきたのか?
だとしたらオカシイだろう。何故一旦離れた人間の首が繋がるんだ?
「ああ、違う。もしかしたら……逆だったのかもしれない。」
オカルト的な考え方をするなら、家で見たお婆さんの方が先だったのかもしれない。その後……あれ、それでも一度離れた首が繋がってる?
「村の境界で見たお婆さんが幽霊だった説くらいしか、あともう考えられるのはないな。」
だとしたら幽霊である境界のお婆さんが事切れた時の『音』に説明がつかないし……。だって霊体にしては質量がある音だったから。
「分からない。分からないからこそ、恐ろしい。」
グルグルと堂々巡りする思考に恐れをなして、俺は鳥肌の立つ腕をさするのだった。
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そして放棄したついでに恐怖心も捨てられたらなぁ、だなんてタラレバを願ってみるが……まあ、そうそう上手くはいかないものだ。
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「さて、と……」
取り敢えず、こんな村からは一刻も早く出ていきたい。だからできるだけ情報を収集して、親友の死について……首吊り病とこの村の関連について調べなければ。そのためにここに来たのだから。
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