怨念がおんねん〜事例 壱【完】〜

君影 ルナ

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事例 壱 『コウシュ村』

弍拾壱

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 パチ、と目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。気を失うまで居たボロボロな和室ではなく、コンクリートの冷たい床に転がされていたらしいのだ。

「ここは、どこだ?」

 全てを思い出した今、

 ──まさか誰かがこの場所に運んだのか?

 ──それなら一体誰が?

 ──そもそもここに生きた人間は存在しているのか?

 と、次から次へと疑問が湧き出てくる。

 誰かが、何なら和室で鍵をくれたお助けキャラ(仮)でもいれば、そいつに今の状況なり何なりを聞けただろう。

 というか、こんな生きた人間すらいるのか不明な村でちょっと手助けしてくれたナニカを信頼しようとしている時点でオカシイのだが。

 まあ、あの時はもう色々キャパオーバーしていて、普段ならしないようなことを考えてしまっていたのだろう。二度も気を失い冷静になった頭でそう結論をつける。

「……答えが出ない問いを考え続けるなんて無駄無駄。今の俺には成すべきことがあるんだ。それに集中しないと。」

 ペチンと両頬を叩き、今思い出したことを少し整理していく。

 俺は安芸。親友が首吊り病で亡くなってから、ソレの原因を調べていた。で、辿り着いたのがこのコウシュ村だったんだ。

 俺は親友の死を解明するために、この村に来た。村の手前まで来たと思ったらそフッと意識が一瞬だけ落ちて、それまでの記憶が消えていたんだ。

 それからはもう、村の中を歩き回ったり隠れたり気を失ったりエトセトラ。今に至るってわけ。

 ということは、だ。これから俺はこの村で『首吊り病』について調べなければならないらしい。

 怖くて今にも帰ってしまいたいけれども、今は親友の死に何があったのかを知りたい気持ちの方が大きくなっていた。

「……よし、まずはこの部屋を探索だ。」

 相棒の懐中電灯はご丁寧に俺の隣に落ちていた。それだけが唯一の心の支えである。

 真っ暗な部屋は、コンクリート製だからこその底冷えがキツかった。半袖半ズボンを着てきてしまったことに深く後悔する。

「あれ? そもそも今は……夏だよな?」

 最後にカレンダーを確認したのは……ええと、七月の……下旬だったはず。だからそれくらいの時期に雪が降るなんて、まさか南半球にでも来てしまったと言うのだろうか? いや、ニホンだったはず、なんだけどなぁ……

 これまた俺が持つ記憶との齟齬に『ウゥーン』と首を傾げてしまったのだった。
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