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事例 壱 『コウシュ村』
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僕が首からお守りを外した瞬間、今まで感じていた禍々しさが可愛く思えるほどズゥンと空気が重苦しくなった。
「よし、こっちに来たな。ジョシュアベよくやった! じゃあ後は二つとも首にかけてろ!」
「はい!」
「そんで物陰にでも隠れていろ!」
「っ、分かりました!」
己の仕事、囮はまずまず先生が求めるくらいのことはできたらしい。
それを先生の言葉尻から感じられて少しの達成感に満ち、あとはもう、先生が無事に今回の大元を倒してくれることを祈るしかない。
ちょうどよくそこにあったコンクリート壁の建物の裏に僕は隠れ、頭だけを出して先生の様子を窺う。
先生の前に現れた悪霊は、キリンと見まがうほど首だけが長い、それ以外はヒトガタの悪霊だった。
それも今まで出てきたモノの十倍くらいは禍々しい感じで、もはやアレを悪霊の類いに入れていいかと悩むほど。もっとおぞましいナニカにしか見えなかった。
ドォン、ドォンと派手に爆発する音をBGMに、いつものアレを唱える余裕もないらしい先生は、ひたすら潤沢な『霊力で』悪霊をぶん殴って力を削いでいっているらしかった。
普段の自堕落さを見慣れている僕としては、仕事をしている先生があんなに機敏に動けるのをこの目で見ては毎回驚いてしまうのだが……ああ、いや、今はそんなことよりも応援をしなければ、と考えを改める。
(よし、僕も援護を。)
僕は引き寄せやすい。それは幽霊達から見て僕の持つ『霊力』がご馳走級に質と量に富んでいるからだ、と先生は教えてくれた。
先生には遠く及ばないが、僕のその潤沢な霊力があれば悪霊を祓うことができるらしい。
しかしそれには年単位で鍛錬していく必要があるらしく、だから今の僕にはソレができない。
そんな僕でも、祈り──と言う名の応援──くらいなら貢献できるらしい。ただの祈りですら僕は霊力を垂れ流してしまうらしく、それが先生を助けることができる、とのこと。
「ああ、久し振りに骨のあるやつが出てきたなぁ!」
明らかに先生のセリフが悪役じみているが、まあ、いつものことなのでスルーして、僕は祈り続ける。
しかし先生の言うとおり、まだまだ全てを祓いきることは叶わないらしい。と言っても今だいたい六割くらいは祓えたみたいだが。
アレの姿はまだ変わらないけれど、それを纏っていた禍々しいやつはだいたい綺麗になっていた。
だんだん空気も軽くなっていて、詰まっていた息を深く取る。本当にあともう少しというところまで来ていたらしい。
「さあ、これで終わりにしよう。」
先生がギラリと目を光らせて、そう言い放った。僕もそれに祈りを併せる。
【怨念がおんねん】
ようやっと心身ともに余裕が出てきたらしい。いつものアレを決め台詞ばりに格好つけて先生は唱えた。
その途端にカッと眩い、しかしとても澄んだ光が辺り一面を包んだ。僕も目を開けていられなくてギュッと目を閉じる。
『ギ、ヤアア……ア……!』
そして目を閉じた暗い世界の中で、悪霊の断末魔が最後に一つ、轟いた。
「よし、こっちに来たな。ジョシュアベよくやった! じゃあ後は二つとも首にかけてろ!」
「はい!」
「そんで物陰にでも隠れていろ!」
「っ、分かりました!」
己の仕事、囮はまずまず先生が求めるくらいのことはできたらしい。
それを先生の言葉尻から感じられて少しの達成感に満ち、あとはもう、先生が無事に今回の大元を倒してくれることを祈るしかない。
ちょうどよくそこにあったコンクリート壁の建物の裏に僕は隠れ、頭だけを出して先生の様子を窺う。
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ドォン、ドォンと派手に爆発する音をBGMに、いつものアレを唱える余裕もないらしい先生は、ひたすら潤沢な『霊力で』悪霊をぶん殴って力を削いでいっているらしかった。
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しかしそれには年単位で鍛錬していく必要があるらしく、だから今の僕にはソレができない。
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「ああ、久し振りに骨のあるやつが出てきたなぁ!」
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しかし先生の言うとおり、まだまだ全てを祓いきることは叶わないらしい。と言っても今だいたい六割くらいは祓えたみたいだが。
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ようやっと心身ともに余裕が出てきたらしい。いつものアレを決め台詞ばりに格好つけて先生は唱えた。
その途端にカッと眩い、しかしとても澄んだ光が辺り一面を包んだ。僕も目を開けていられなくてギュッと目を閉じる。
『ギ、ヤアア……ア……!』
そして目を閉じた暗い世界の中で、悪霊の断末魔が最後に一つ、轟いた。
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