『あなた次第』 【本編は完結】

君影 ルナ

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6章 テスト

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「おはよう。藍ちゃん先生、今日もよろしくお願いしまっす!」

 呼び鈴が鳴り、扉を開けると私服姿のいちごちゃんが。今日も可愛いです。

「上がって上がって。」
「お邪魔しまーす。うわあ、音霧寮ってこんな感じなんだ……!」

 目をキラキラと輝かせて中をきょろきょろと見回すいちごちゃん。何か物珍しいものでもあったのだろうか。

「あ、空木ちゃんおはよー。」

 二階から降りてきた藤さん。さっきまで勉強してたみたいだし、休憩かな。

「おはようございます。今日も藍ちゃん借ります。」
「いいよー。頑張ってね。」
「はい!」

 いちごちゃん、いつもよりいい笑顔だね。音霧寮に来てテンション上がってるからなのかな?

「じゃあ私の部屋行こっか。」
「うん。」
「あ、飲み物持っていくから先に部屋に行っててもらえる?」
「分かった。ありがとう。」
「うん。私の部屋は階段上って左の突き当たりだから。」
「了解した!」

 とたとたと軽い足音が遠くなる。

 そういえばいちごちゃんの暮らす寮ってどんな感じなんだろう。ふと気になったので後で聞いてみよっと。

 それよりも、と急いで麦茶をコップに注ぎ、部屋へと運ぶ。












 部屋に入り、座布団に座って一息。そうだ、いちごちゃんの寮はどんな風なのか聞こうと思ってたんだよね。

 勉強道具を出しながら聞く。

「そういえばさ、いちごちゃんの寮はどんな風なの?」
「え? そうだなあ……募希ボケ寮は普通に寮って感じかな?」

 普通とは一体。

「音霧寮のような一軒家って感じじゃないよ。大きな建物一つに女子寮と男子寮が分かれてあって、そこで花学の音霧寮以外の生徒は過ごしている感じだよ。」
「ほおー。」
「それでね、募希寮は二人部屋なんだよ。」
「なるほど。」

 それならエートスだけを分けるのも理解出来るかも。一緒にいればエートスとバレる確率も上がるし、バレたら色々大変だものね。エートスであることは理解されないことの方が多いものね。

「教えてくれてありがとう。じゃ、勉強しよっか。」
「藍ちゃん先生、お願いしまーす!」

 よし、勉強開始!












「ふわあー……疲れた……。」
「お疲れ様。でもまあまあ進んだんじゃない?」
「そうだね……。」

 二時間近く集中して勉強していたようだ。時計を見るともうすぐ十二時。そろそろお昼ご飯かな?

「お腹すいたー……」

 頭使ったからね。そりゃあお腹すいても仕方ない。ちなみに私もお腹すいてきた。教えるのも復習になっていいね。


 いつもなら山吹さんと二人でご飯の準備をしているのだが、今日は山吹さんにご飯の準備が出来ないかもしれないとあらかじめ伝えておいた。その分他の日にしっかり手伝おうと決意したところだ。

「そういえば音霧寮はご飯ってどうなってるの?」
「どうって……平日はご飯が届くけど、休日は自分達で作ってるよ。まあ、ほとんど山吹さんが作ってるけどね。」
「ほおー、やっぱりそうなんだ!」
「募希寮も同じなの?」
「同じだよ! 休日は自分達の部屋ごとにご飯を作ってるの。部屋の中にキッチンもあるんだ!」
「すごい……!」
「いやいや、ここの方がすごいよ。大きな一軒家みたいで!」
「そう、かな……。」

 ここしか知らないからすごいとかは分からない。が、いちごちゃんが言うならそうなのだろう。

 そんな話をしていた時、部屋の扉がノックされる。

「はい。」

 扉を開けて入ってきたのは柊木さん。

「藍、空木、昼飯出来たぞ。降りてこい。」
「柊木さんありがとうございます。行こっか、いちごちゃん。」
「うん!」










「わあ……!美味しそう!」

 今日のお昼はスパゲティだった。とても美味しそう。さすが山吹さん。

「おいでおいで。あ、空木ちゃんは藍ちゃんの隣がいいかな?」
「どこでも大丈夫です!」

 いつもより一つ多い椅子。これはどこに仕舞われてるんだろう、とどうでもいいことを考える。

「ほらほらあいさんも座ってよ。僕お腹空いたー。」
「はい。」
「皆座りましたね。では、いただきます。」







 ご飯を食べ終え、私の部屋に戻ってきた。

「美味しかったー! 山吹さんってすごいんだね。」
「うん。とても料理上手なんだよね。尊敬しちゃうよ。」

 山吹さんが作ったご飯はどれも美味しい。何故こんなにも料理が上手いのか教えてほしいくらいだ。

「私も一応料理出来るけど、あそこまで美味しくは出来ないなあ。」
「いちごちゃんのこの前のクッキーも美味しかったよね。」
「えへへ、今は勉強しないといけないからクッキーはまた後でね。」
「楽しみにしてるね。」

 よし、勉強再開!



────

ボケ
「平凡」
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