34 / 127
6章 テスト
34 いちごside
しおりを挟む
週も明けてまた学校が始まった。いつものように同室の敦子ちゃんと通学する。
まあ、通学と言っても寮も花学の敷地内にあるからちょっと歩くだけでいいんだけど。
「敦子ちゃん、今日も放課後に勉強を見てもらう予定だから先帰ってて!」
「了解、と言いたいところなんだけど……あのさ、花蘇芳 藍って勉強教えるの上手い?」
「私でも理解出来るくらいだよ。」
「おう、それはすごい。……その人怖くない?」
「全然怖くないよ?」
この子ともう一人の友達に藍ちゃんは怖くないと散々言っているのに、まだ納得してくれない──音霧の皆さんも怖くないとは言っていない。何故ならまだ私自身怖いからだ──。
敦子ちゃんは何か考え込んでいる。どうしたんだろう。
「怖くないならあたしも教えてもらおうかな。ちょっと今回やばいから……」
「じゃあ一緒に行こうよ。きっとオーケーしてくれるよ。」
学校に着いたら藍ちゃんにメールしよう。A組の教室に行ってもいいけど、藍ちゃんがいつ登校しているか分からないからね。
学校に着いて少しして。もう一人の友達の静香ちゃんも登校してきたので、いつもの三人でお喋りしていた。
その時ピコンと携帯にメールが入ったようで。開いてみると藍ちゃんからだった。なになに……
「敦子ちゃん、放課後いいってよ。そうだ、静香ちゃんはどうする?」
「え、何の話さ。急にそこだけ言われても意味不明なんだけど。」
「ああ、ごめんごめん。あのね、今日の放課後に藍ちゃん……花蘇芳 藍ちゃんに勉強見てもらうことにしているんだけど、敦子ちゃんも一緒に行くことにしたのよ。だから静香ちゃんもどうかなって。」
「なるほどねー。……確かその人A組だよね?」
「うん。」
「その花蘇芳 藍って人、怖くないんだよね?」
「うん!」
「……私も行こうかな。今回やばい。なんだっけ、猫にもすがる……みたいな言葉あったよね? そんな感じ。」
「なんかそんな言葉あったね。じゃあもう一人追加でー!」
藍ちゃんにもう一度メールをする。
「大丈夫かな? 一人で三人教えるの大変じゃない?」
「ああー……それもそうだね……」
もうメール送ってしまったよ。どうしよう。藍ちゃんの負担が増えちゃう。
「……あ、もうメール来た。なになに……?」
『山吹さんと藤さんが手伝うって言ってくれているんだけど、どう? その友達さんが二人のことを怖く思っていないならいいかな? さすがに一人で三人は難しいかもしれないから。』
「やっぱりそうだよね、大変だよね。ねえねえ、二人ともー。」
「どした?」
「山吹 竜胆さんと酸漿 藤さんも同席しちゃ不味い?」
比較的怖くない且つA組という人選だ。色々な意味で大丈夫だとは思うんだけど……
「え……」
案の定二人の顔が強ばる。
「大丈夫! あの二人も怖くないよ!」
私の中で怖いと思うのは柊木さんと福寿さんだからね。
「う、うーん……」
「でもいちごが怖くないって言ってるならそうなのかなあ、とかも考えちゃうよねー。」
「それなー。」
二人はうんうん唸りながら考える。
「いちごの言葉を信じても大丈夫?」
「もち!」
「じゃあ教えてもらおう! 赤点だけは嫌だ!」
「そうだね。そうしよう。」
「じゃあそうメールするねー。」
「藍ちゃーん、来たよー!」
放課後になり、二人を引き連れてA組へ。二人ともA組に来るのも初めてで、その部分でも緊張している様子。
「いちごちゃん、とお友達さん。来てもらってありがとうございます。」
A組の人が驚いている。最近ずっと訪れているので私が来てもああまたか、くらいだったが、新しく二人も来たことでまたざわついた。クラスメイトなんだから音霧の皆さんのいい所とか分かるんじゃないのかな? と思う時もある。
「教えてもらう身だもん。あ、そうだ。こっちの茶髪ボブの子が敦子ちゃん、ハーフアップにしてる子が静香ちゃん。」
「板前 敦子です。よろしくです。」
「冴木 静香です。猫にもすがりたい気持ちで来ました。」
「ぶふっ」
静香ちゃんの言葉に藍ちゃん達三人は動きを止める。酸漿さんは吹き出してるけど。何かおかしいこと言ったかな? 自己紹介しただけだよね?
「さ、冴木さん……それを言うなら藁にもすがる、または猫の手も借りたい、ではありませんか?」
山吹さんに訂正されたのだが……すがるのは藁だったっけ?
「だ……駄目だ……ぶふっ、混ざってる……ぶっ、くくくっ」
「酸漿 藤って笑うんだ……」
「意外だね……」
ひそひそと敦子ちゃんと静香ちゃんは話す。私もここまで爆笑しているのは初めて見たかも……?
「ええと……まあ、言いたいことはなんとなく分かりますね……?」
藍ちゃん、自分で言いながら疑問形で終わってるよ?
「……あ、ええと、ご存知かもしれませんが花蘇芳 藍です。今日はよろしくお願いしますね。」
気持ちを切り替えた藍ちゃんは自己紹介する。敦子ちゃん達もその自己紹介を聞いて少し緊張を解いた。
「お願いします!」
「教えるのは私と山吹さんと藤さんです。」
「よろしくお願いしますね。」
「よろしくー。」
山吹さんも酸漿さんもいつもの一・五倍くらいフレンドリーな雰囲気が出ている。怖がらせないためかな?
「じゃあレッツ勉強!」
A組で勉強会、スタートです!
まあ、通学と言っても寮も花学の敷地内にあるからちょっと歩くだけでいいんだけど。
「敦子ちゃん、今日も放課後に勉強を見てもらう予定だから先帰ってて!」
「了解、と言いたいところなんだけど……あのさ、花蘇芳 藍って勉強教えるの上手い?」
「私でも理解出来るくらいだよ。」
「おう、それはすごい。……その人怖くない?」
「全然怖くないよ?」
この子ともう一人の友達に藍ちゃんは怖くないと散々言っているのに、まだ納得してくれない──音霧の皆さんも怖くないとは言っていない。何故ならまだ私自身怖いからだ──。
敦子ちゃんは何か考え込んでいる。どうしたんだろう。
「怖くないならあたしも教えてもらおうかな。ちょっと今回やばいから……」
「じゃあ一緒に行こうよ。きっとオーケーしてくれるよ。」
学校に着いたら藍ちゃんにメールしよう。A組の教室に行ってもいいけど、藍ちゃんがいつ登校しているか分からないからね。
学校に着いて少しして。もう一人の友達の静香ちゃんも登校してきたので、いつもの三人でお喋りしていた。
その時ピコンと携帯にメールが入ったようで。開いてみると藍ちゃんからだった。なになに……
「敦子ちゃん、放課後いいってよ。そうだ、静香ちゃんはどうする?」
「え、何の話さ。急にそこだけ言われても意味不明なんだけど。」
「ああ、ごめんごめん。あのね、今日の放課後に藍ちゃん……花蘇芳 藍ちゃんに勉強見てもらうことにしているんだけど、敦子ちゃんも一緒に行くことにしたのよ。だから静香ちゃんもどうかなって。」
「なるほどねー。……確かその人A組だよね?」
「うん。」
「その花蘇芳 藍って人、怖くないんだよね?」
「うん!」
「……私も行こうかな。今回やばい。なんだっけ、猫にもすがる……みたいな言葉あったよね? そんな感じ。」
「なんかそんな言葉あったね。じゃあもう一人追加でー!」
藍ちゃんにもう一度メールをする。
「大丈夫かな? 一人で三人教えるの大変じゃない?」
「ああー……それもそうだね……」
もうメール送ってしまったよ。どうしよう。藍ちゃんの負担が増えちゃう。
「……あ、もうメール来た。なになに……?」
『山吹さんと藤さんが手伝うって言ってくれているんだけど、どう? その友達さんが二人のことを怖く思っていないならいいかな? さすがに一人で三人は難しいかもしれないから。』
「やっぱりそうだよね、大変だよね。ねえねえ、二人ともー。」
「どした?」
「山吹 竜胆さんと酸漿 藤さんも同席しちゃ不味い?」
比較的怖くない且つA組という人選だ。色々な意味で大丈夫だとは思うんだけど……
「え……」
案の定二人の顔が強ばる。
「大丈夫! あの二人も怖くないよ!」
私の中で怖いと思うのは柊木さんと福寿さんだからね。
「う、うーん……」
「でもいちごが怖くないって言ってるならそうなのかなあ、とかも考えちゃうよねー。」
「それなー。」
二人はうんうん唸りながら考える。
「いちごの言葉を信じても大丈夫?」
「もち!」
「じゃあ教えてもらおう! 赤点だけは嫌だ!」
「そうだね。そうしよう。」
「じゃあそうメールするねー。」
「藍ちゃーん、来たよー!」
放課後になり、二人を引き連れてA組へ。二人ともA組に来るのも初めてで、その部分でも緊張している様子。
「いちごちゃん、とお友達さん。来てもらってありがとうございます。」
A組の人が驚いている。最近ずっと訪れているので私が来てもああまたか、くらいだったが、新しく二人も来たことでまたざわついた。クラスメイトなんだから音霧の皆さんのいい所とか分かるんじゃないのかな? と思う時もある。
「教えてもらう身だもん。あ、そうだ。こっちの茶髪ボブの子が敦子ちゃん、ハーフアップにしてる子が静香ちゃん。」
「板前 敦子です。よろしくです。」
「冴木 静香です。猫にもすがりたい気持ちで来ました。」
「ぶふっ」
静香ちゃんの言葉に藍ちゃん達三人は動きを止める。酸漿さんは吹き出してるけど。何かおかしいこと言ったかな? 自己紹介しただけだよね?
「さ、冴木さん……それを言うなら藁にもすがる、または猫の手も借りたい、ではありませんか?」
山吹さんに訂正されたのだが……すがるのは藁だったっけ?
「だ……駄目だ……ぶふっ、混ざってる……ぶっ、くくくっ」
「酸漿 藤って笑うんだ……」
「意外だね……」
ひそひそと敦子ちゃんと静香ちゃんは話す。私もここまで爆笑しているのは初めて見たかも……?
「ええと……まあ、言いたいことはなんとなく分かりますね……?」
藍ちゃん、自分で言いながら疑問形で終わってるよ?
「……あ、ええと、ご存知かもしれませんが花蘇芳 藍です。今日はよろしくお願いしますね。」
気持ちを切り替えた藍ちゃんは自己紹介する。敦子ちゃん達もその自己紹介を聞いて少し緊張を解いた。
「お願いします!」
「教えるのは私と山吹さんと藤さんです。」
「よろしくお願いしますね。」
「よろしくー。」
山吹さんも酸漿さんもいつもの一・五倍くらいフレンドリーな雰囲気が出ている。怖がらせないためかな?
「じゃあレッツ勉強!」
A組で勉強会、スタートです!
0
あなたにおすすめの小説
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる